やり直せないのが人生、だから今を大切に ゆるっと哲学(5)
ニーチェ
「この人生を何度繰り返してもいい」今からでも、そう思えるよう生きる
「人生、やり直したい」
「後悔ばかりで辛い」
私たちは、ついつい、「あの時、こうしていれば」と後悔の念に取り憑かれることがあります。
しかし、後悔ばかりしていても仕方がありません。そのことを教えてくれるのが、現代思想にも多大な影響を与えた哲学者、フリードリヒ・ニーチェの「永劫回帰(えいごうかいき)」という仮説です。
まず、ニーチェは、「人の生を支えるありとあらゆる価値が一切なくなること」を「ニヒリズム」と呼びます。ニーチェによると、すでに歴史には「ニヒリズム」が浸透しているそうです。確かに、現代の私たちにとって、一生すがりつくことができるような「絶対的なもの」は、もはや存在しないように見えます。
有名な「神は死んだ」という言葉は、人の生に根拠を与えていた「宗教や道徳などはもはや、存在しない」ということを、強く指摘する言葉です。
そして、この「ニヒリズム」が極限まで行ったところに現れるのが、「永劫回帰」という世界像です。この「永劫回帰」は、「あらゆる出来事が同じ順番で、永遠に繰り返し起こるような世界像」のことを指します。
例えるなら、同じCDをずっとリピート再生するようなものです。この世界では、過去や未来、前世や来世がなく、時間が永遠に円を描くように、無限に回り続けるのです。
これを、私たちの人生として考えれば、どうなるでしょうか?
「永劫回帰」の中では、私たちの人生も何度も繰り返されます。そう考えると、いまの私たちの人生も、もはや何回目の人生なのかもわかりません。
つまり、「嬉しいことも辛いことも含めて、私たちの人生はすでに決まっており、それを無限に繰り返す」ことになります。
このように、「同じ人生を永遠に歩むことになる」のであれば、あらゆることが無意味に感じられるでしょう。だからこそ、「永劫回帰」を「ニヒリズムの究極形」としたのです。
ニーチェはこう言います。
万物は永遠に回帰するのだ。われわれ自身も万物と共に。そしてわれわれは無限の回数にわたって現に存在していたのだ、万物もわれらと共に。
『ツァラトゥストラかく語りき』
それでも自分の人生を肯定する
この「永劫回帰」では、後悔しようが何をしようが無駄です。私たちを救ってくれる「あの世」や「来世」もありません。
しかし、ニーチェは、それでも、「『勇気』を持って、この『永劫回帰』を、強く肯定することが大事だ」と言います。つまり、何度同じ人生を歩もうが、その人生を「もう一度歩んでも良い」と思えるよう生きることが重要、と主張したのです。
そして、自分の人生を肯定できるようになることで、私たちは、人間の弱さを克服し、最も健康で最も強い人間である「超人」になる、とニーチェは考えました。
勇気はこう語るからだ。「これが生だったのか。よし、もう一度」と。
フリードリヒ・ニーチェ(Friedrich Nietzsche)1844ー1900
プロイセン王国(現ドイツ)出身の哲学者、古典文献学者。実存主義の代表的な思想家の一人として知られる。ハイデガー、バタイユ、フーコー、ドゥールズなど、ニーチェの哲学は以後の文学や哲学に多大な影響を与えた。
著=ただっち、監修=小川仁志/「不安を力に変える ゆるっと哲学」(ぱる出版)
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