【#ねばからの解放】「部屋は常にキレイにせねば」できていないことが視界に入る苦痛から逃れる「仕組み作り」

#くらし 
「部屋は常にキレイにせねば」できていないことが視界に入る苦痛から逃れる「仕組み作り」

家族で暮らす家、部屋。本当は、急な来客にも困らないくらいきちんと片づけておきたいのに、子供が遊べば散らかるし、食事をすれば汚れるし、毎日毎日キレイにせ「ねば」と追い立てられている気がする…。「レタスクラブ」が実施したアンケート(※)では、理想通りにできない罪悪感で、日々苦しんでいる主婦の姿が見えてきました。
「ねば」が生まれた背景や正体を解明しながら、「ねば」と思う気持ちと時代のズレをYahoo!ニュースとレタスクラブが全5回で問いかけます。今回は3回目です。
(※2020年4月実施、末子の年齢が3歳以上11歳未満の20~40代の既婚女性332人)

苦痛な家事、第2位は「掃除」
レタスクラブが実施したアンケートによると、掃除を「もっとも苦痛に感じる家事」と挙げた回答は全体の26.5%を占めました。回答者の4人に1人が、「掃除が一番イヤ!」と感じていることになります。

苦痛な家事、第2位の「掃除」

なぜ、そこまで掃除が苦痛なのでしょうか?
都内在住の兼業主婦のオオツカさんは、「掃除って、やることが無限にあるんですよね」とため息をつきます。

「掃除」のひと言でくくられる膨大なタスク

オオツカさんは2児の母。小学校低学年の男の子と、年長さんの男の子を育てています。

「片づけても片づけても、どんどん散らかっていくんです。掃除機をかけたいのに、床には子供のおもちゃがあふれてる。手が回らないうちに、ホコリは積もるし、お風呂やトイレは汚れるし…。それに、トイレ掃除ひとつとっても、やることが多いじゃないですか。しかも、細かくて大変なところほど、掃除しても目立たないし、だれも褒めてくれない。トイレや洗面台が汚れていると不潔に見えるし、お風呂にカビがあると汚いですよね。きれいな状態が普通で、それを維持できない自分が不出来なんだと思っちゃう。だけど、何時間あったって家中の掃除は終わらない。片づける端から汚れていくんです」

「家族のために掃除をしなければ」という強烈なプレッシャー

アンケートでも、「掃除」を自分の仕事として抱え込んでいる主婦は、全体の50%以上にのぼりました。

自分が掃除せねばと思う人が過半数

また、「自分が掃除を毎日しなければいけないと思うのはなぜですか?」という質問には、80%以上もの主婦が「家族のため」と答えています。

掃除は「家族のため」

家族に清潔な家で元気に暮らしてほしいという思いから、「掃除」を抱え込んでしまう主婦が多いのかもしれません。いっぽうで、「掃除をせねば」という思いと現実との間に、ギャップがある家庭も少なくありません。

できていないと感じている人も多い

「自分は家の掃除を毎日できていると思いますか?」という質問に、自信をもって「いつもできている」と回答できたのはわずか8.4%でした。それに対して、「できていない」「あまりできていない」と回答した人は、全体の60%近くを占めています。また、我が家と他の家庭を比較して落ち込んでしまう人が多いことも、アンケートの結果から判明しました。

他人の家の掃除具合と比べて落ち込むことも…

これらの結果からは、「自分が掃除をすべきだと思っているけど、満足するほど完璧にできない」「片付いている家を見ると、同じようにできない自分に落ち込む」という主婦の苦悩が見えてきます。

掃除嫌いほど「仕組みづくり」で楽になれる

「私も、実は掃除が嫌いです。なので、できるだけやりたくないんです」ときっぱり本音を語ってくれたのは、知的家事プロデューサーの本間朝子さん

本間朝子さん


本間朝子さん/知的家事プロデューサー。自分自身が仕事と家事の両立に苦しんだ経験から、家事の効率化役立つメソッド「知的家事」考案し、メディアや講演等を通じて提案している。『著書に「写真で分かる!家事の手間を9割減らせる部屋づくり(青春出版社)」「ゼロ家事(大和書房)」など』。

本間さんは、もともと掃除嫌いでした。仕事が忙しいために平日は手が回らず、週末に時間を作って掃除していたそうです。しかし週の後半にかけてどんどん汚れていく家も、週末にのしかかる掃除のプレッシャーも、嫌になってしまったといいます。

「掃除って、溜めれば溜めるほど大変になっていくんですよ。たとえば、ホコリは10~12時間くらい空気中を漂ってから、床や棚の表面に落ちてくるんです。このとき、すぐに拭いてしまえばサッと落ちるけど、時間が経つと水分や油分と結びついて『汚れ』になる。掃除に手間をかけたくない人ほど、ちょこちょこやって簡単に終わらせた方がいいんです」

とはいえ、分かっていても「毎日やらなきゃ」と思うとプレッシャーになってしまいますよね。

「『掃除をちゃんとこまめにしよう』じゃなくて、『ついでにやっちゃおう』と考えてみてください。たとえば、手を洗ったときに、石鹸を泡立てた手で洗面ボウルを洗っちゃう。毎日手を洗うたびにやれば、『ちょっとした汚れ』が『頑固な汚れ』になる前に予防できます。私は、専用の道具を使うのが面倒なので、普段使うハンドソープやタオルで、どこでもさっと拭いてしまうんですよ」

本間さんは、フロアワイパーや粘着クリーナーなどの掃除グッズも、常に「使う場所」の近くに置いているそうです。

寝室には、毎日使うフロアワイパーを

<寝室には、毎日使うフロアワイパーをセット>

「朝起きたら、ベッド横に置いてあるフロアワイパーを持って、それで拭きながらリビングまで移動。で、寝る前にまたリビングからベッド横まで拭きながら持ってくる。家庭内を移動する際の動き方を『生活動線』というのですが、この『生活動線』に掃除を組み込んで、汚れが深刻になる前に『予防』できるようになると、家の中が自然にきれいになっていく『仕組み』ができます」

また、清掃に加えて、「片付け」も掃除の大きな悩みの一つですよね。

「『使っていない物を整理したのに片づかない』という相談をよく受けます。その場合は、『定量』という考え方を取り入れてみて。たとえば、何年も着ていない衣類5着を、もったいないから部屋着にしたとする。でも、クローゼットがいっぱいなら、部屋着5着は多すぎますよね。この場合、収納に合わせて部屋着の数を決め、それ以上は常に手放してしまうんです。『定量』を取り入れると、持ち物の量を見直すきっかけになります」

家族を家事に巻き込むためのこんなアイデアも。

「使うところに道具をおいておけば、家族にも参加してもらいやすい。あれ持ってきて、掃除して、片づけて…は大変ですけど『それでちょっと拭いて』なら言いやすいですよね。最初のハードルを下げて、完璧を求めないことが、家族を家事に巻き込んでいくコツです。もう一つ大切なのは、『足りないところを減点しない』こと。たとえば、せっかく床を拭いたのに『角がちゃんと拭けてない!』と言われたら、『もういいや、やらない』と思ってしまいますよね。そういうときは『…惜しい!』と言ってみてください。相手のことを一度承認してから、『ここもできてたら120点だった!』と、足りないところを伝えます。そうすればると、『次は120点目指してがんばろう』と家族もやる気を持ちやすくなります。」

冷蔵庫の側面にスプレー式のフロアモップを

<冷蔵庫の側面にスプレー式のフロアモップを吊るしておき、調理が終わったら床をサッとひと拭き。モップから水がシュっと出るので、家族も楽しく参加する>

子供や夫に家事を頼むと、つい行き届かないところが目について、注意したくなってしまうもの。しかし、先々のことを考えると、それは家族の不参加を招く「マイナス」になってしまうのだそう。

家がきれいでも、清潔でも、自分がぴりぴりして家族の顔を暗くしてしまったら、意味がない…。それに気が付いたとき、本間さんはすとんと肩の力が抜けたといいます。

「だから、私はできるだけ『家事を仕組み化して、減らしたい』んです。省ける手間は省きたいし、便利なものがあればそれを使って楽をしたい。大切なのは、いろいろなやり方を試してみて、自分や我が家にぴったりのカスタマイズを見つけること。掃除や収納に「こうやるべき」という正解はない」と本間さんは断言します。

一口タイプのコンロガードで油ハネによる汚れを大幅に軽減

<本間さんの家では、炒め物や揚げ物をする際に一口タイプのコンロガードを活用している。油ハネによる汚れを大幅に軽減>

家族構成も、自宅のつくりも、習慣も、掃除へのこだわりも人それぞれ。だからこそ、家族を巻き込んで、我が家にぴったりの「掃除の仕組み」をカスタマイズしてみましょう。そのために、まずは「自分が掃除をせねば」という重荷を、ゆっくり下ろしてみてくださいね。


文=高橋星羽(株式会社デコ)、撮影=林ひろし

◇「ねばからの解放」
この記事はレタスクラブニュースとYahoo!ニュースの共同企画記事です。
誰かに命令されているわけでもないのに、今も家庭に残る「こうせねば」。でもそれって本当?「そうせねば」という気持ちの正体と時代のズレを問いかけます。がんばり過ぎて疲れてしまう「ヘトヘトさん」へ暮らしのヒントを、全5回の連載でお伝えします。


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