「なんで私だけ?」日々の不満を解消する答えは哲学にあり!『ゆるっと哲学』のただっちさんに聞く「幸せになれる思考法」

#くらし 

「こんなに家事をがんばっているのに…見返りもないし感謝もされないのが辛い」
「小言ばかりいう姑。どうして私だけこんな目に合わないといけないの?」
生活している上で次々とわいてくる不安や悩み、不満や愚痴…
心の中のモヤモヤを解決してラクになりたい、と思うこと、ありますよね。そんなときに私たちの助けになってくれるのが「哲学」。ちょっととっつきにくい、と思うかもしれませんが、実は哲学には今を生きる私たちの悩みを解決するヒントがたくさん含まれているのです。

哲学の賢人たちの言葉をわかりやすく噛み砕き、生き方のヒントを学ぶことができると話題の本『不安を力に変える ゆるっと哲学』。著者のただっちさんに、不安の時代を生き抜くコツと自分らしく生きるためのアドバイスを聞きました。


義務教育で必修にすればいいのに…と思うほど、哲学は生きる上で役に立つ


――現代人の悩みや生きづらさを哲学で読み解くという内容に共感するところが多かったです。この本を書いたきっかけについて教えてください。

ただっち 『普通の主婦が東大大学院に合格して自分の人生を見つけた超勉強法(K A D O K A W A)』で詳しく書いたのですが、専業主婦になってから自分の生活に嫌気がさし、自分の人生について深く考えるようになりました。願望をノートにざっと書き出し、どんな人になりたいか、どんなことをしたいか、あれこれと言語化しました。そのうちの一つに「難しいものを分かりやすく人々に伝えることで、誰かの役に立つ」という目標がありました。
そこで、義務教育で必修にすればいいのに・・・と感じるくらい、生きる上で役立つと思っている「哲学」を題材にしたいと考えました。小難しそうで、つまらないイメージを持たれている(おそらく)哲学こそぴったりだと思ったのです。

――そもそもただっちさんはなぜ哲学を学ぼうと思ったのでしょうか?

ただっち 学部時代に哲学書を何冊か読んで、自己啓発書に書かれていることがずっと昔から哲学者が主張していたことばかりであると気づいたことです。
哲学書は難解なものばかりで、読破するのにも時間がかかるのですが自己啓発書を100冊読むよりも一冊の哲学書を読む方が何倍も価値があるんじゃないかと思い、哲学の勉強を始めました。


「幸せって何だろう?」日常に対して疑問を持つことが哲学の始まり


――この本では、日常のちょっとした悩みや不安に絡めて哲学者たちの言葉を取り上げているので、哲学を身近に感じることができました。このような哲学を私たちは日常生活の中でどのように取り入れていけばいいでしょうか?

ただっち 哲学を日常生活に取り入れるために必要なことは、何よりもまず、日常に対して疑問を持つことです。すべての哲学は日常生活を送る中で心の中に自然に沸き上がる疑問から始まっているといっても過言ではありません。『幸せって何だろう?』『私たちが見ている世界は本当に存在するのだろうか?』など、童心に戻って、日常に違和感を抱くことが一歩目だと思います。

次に、もし疑問を持ったなら自分でいろいろと考えてみる。しかし、独力で考えることには限界があります。そこで、ヒントを得るために哲学者の言葉や考えに触れることをおすすめします。最初から哲学書を読むのはハードルが高いと感じる場合は、解説書や入門書などから入るのもいいですね。

哲学の根本には、普段生きている「人間」、さらには「私たち」がいることを意識すれば、次第に哲学的思考を日常に取り込んでいけると思います。



家事や子育てを女性がやるって誰が決めたの?



――レタスクラブ描き下ろし記事について。見返りのない家事労働に縛られて疲弊してしまう主婦は実際とても多いと思います。自分の本来の意思とは裏腹に、社会からの見えない圧力に苦しむ女性たちにアドバイスをいただけますか?

ただっち レタスクラブニュースの連載でもご紹介した「シャドウ・ワーク」という考えなどもそうですが、実は、家事全般や子育てなどは、歴史的に見れば比較的最近になって女性の役割だと思われるようになったものばかりです。これらは、社会の中で「女性が果たすべき仕事」とみなされるようになった、というだけで、それを女性がしなくてはならない、という絶対的な根拠などはないのです。

『ゆるっと哲学』の本編でも紹介したジャン=ポール・サルトルのパートナーでもあった哲学者シモーヌ・ド・ボーヴォワールは、このことを次のように表現しています。

「人は女に生まれるのではない、女になるのだ」
『第二の性』

つまり、「女性が果たすべき仕事」とされるものは、社会の中で作られたもので、それらを身に着けていくことで「主婦=女性が果たすべき仕事を担う人」というイメージが再び生み出されていくというメカニズムになっているのです。

よって、「主婦らしくすべてのことをきちんとこなさなければならない」という「主婦らしさ」に自分が取りつかれていると感じているのであれば、まずは、徹底的に疑うことから始めてほしいです。「なんで、私がこれをしなければならないのだろう?その根拠は?」など。そうすれば、おそらく絶対的な根拠がないことに気が付き、「主婦らしくあらねばならない」という呪いを解くための糸口をつかめるはずです。

幸せなんて自分の意識次第で決まる曖昧なもの



――「幸せなんて自分の意識次第で決まる曖昧なもの」という言葉にこの本で述べられていることが集約されているように感じました。「わざわざ不幸を数えてすでにある幸せに見向きもしない」のは、多くの人に心当たりがあるのではないかと思います。そのような思考のくせから抜け出すにはどうしたらいいでしょうか?

ただっち イヤなことが続いたり、つらい時に幸せそうな人を見ると、誰でも自分がどんどん不幸に感じてしまうかと思います。このような心の状況を心理学では「気分の一致効果」という言葉で表します。ネガティブな思考に陥ると、無意識にネガティブなものばかりに目がいったり、思い出してしまうのです。これは無意識下で起こることなので、自分でコントロールすることはとても難しいです。

ですが、そういうものであると理解していれば、ネガティブ思考に陥りそうになったときに意識的にポジティブなものに目を向けることもできますし、もし辛いことがあっても、その時の辛さが一過性(少なくとも一生悲しい状態が続くわけではない)のものであると理解できていれば、少しは楽になるはずです。

また、様々な哲学者が「幸福」について言及しています。ある人は他人と関わるから不幸になるといったり、またある人は幸福になるためには健康が大切だと主張したり、色々なことがずっと昔からあれこれと議論されています。これは明確な答えがあるものではありませんが、哲学者の考える「幸福」を知って、自分なりの「自分が幸福だと思える思考法」を見つけておくことも一つの方法だと思います。

――この本を通してただっちさんが最も伝えたかったことを教えてください。

ただっち 人間が持っている悩みは、いつの時代もそんなに変わらないし、それらしい答えは哲学者が既に出してくれている、ということです。

生きることは、不確定なことばかりでとても大変ですが、私たちは書籍などを通して簡単にそれらを得ることができます。特に若者の中で読書をする人が減っているから今だからこそ、それを最も伝えてきたいです。

◆ ◆ ◆

日常の不安や悩みについて、哲学者の思考を基に考える『不安を力に変えるゆるっと哲学』。哲学を日常に「ゆるっと」取り入れて、肩の力を抜いてラクになってみませんか?
文=宇都宮薫

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