小6娘の字が壊滅的に汚いです。雑に書いてるわけじゃないのになぜ?【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て 

2021年1月発売の書籍『自分で学べる子の親がやっている「見守る」子育て 』の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第82回目のお悩みはこちら。

【お悩み】

小6の娘の字が汚いことについての相談です。そもそも字を書けるようになったのも遅いほうで、小学校に入学する時点で慌てて公文に入れたという経緯があります。公文の先生からは特別指摘されたことはなかったのですが、2年生になっても「しゃ、しゅ、しょ」などの拗音や、小さい「つ」などの撥音の表記が全くできていませんでした。そこで、書字障害や発達性強調運動障害などを疑い、小2の時に療育センターに相談に行ったのですが、「書けているほうですよ」とのこと。特別な診断を下されることもなく、私も「こんなものかな?しばらく待っていれば上手になるかな?」と思い引き下がりました。

小6娘のノートに書かれた文字

ところがその後も一向に上手にならず、小6の現時点でも一向に改善されない状態です。特に板書を書き写すのが苦手で、とにかく遅いようです。ちなみに絵に関しては、上手ではないけれども、他の子たちに見劣りすることもなく普通に描けているほうだと思います。

小学校の先生には事情を話して理解してもらっています。先生によると、娘の学習態度はかなり真面目で意欲的に見受けられるとのことで、本人があまりへこまないよう、漢字テストではあまり厳しめに採点しないよう配慮してくれています。今は事情を理解している担任の先生が大体の教科をみてくれるので、問題なく学校生活を送れていますが、中学に入ると状況が一変してしまうため心配です。(Aさん・39歳)

【小川先生の回答】

注目点を定めて、そこをトレースするように再現させる

人の動きを映像で捉えて、それをCG化するモーションキャプチャーを知っていますか?あれは、人体にいくつかの注目点を定めて、その点の動きをトレースすることで、体の動きをCGに再現するものです。同じように、文字にもいくつかの注目点というものが存在します。どこから書き始めて、どこへ向かって、どこで止めてなど、注目点を意識しないと正しい文字を再現することはできません。

娘さんの場合、漢字は曲がるところがひとつの目印となって認識できているようですが、ひらがなの注目点に関してはあいまいなまま書いてしまっている印象を受けます。「め」なども、注目点を意識せずに単に丸っぽく書いている感じですよね。まずはひらがなの中に3つくらい注目点をつけてあげ、その点を再現させるつもりで書く練習をするのがおすすめです。「め」を書くときも、左下へ下ろしたら、少し左上に上げ、そこから右上方向へ弧を描くようにして、最後にはらうというように、注目点を意識させてあげましょう。そうすることで、見え方が大分違ってくると思います。

ビジョントレーニングで「見る力」を鍛える

また、板書が遅くて苦手とのことですが、娘さんの文字から感じ取れるのは、黒板の文字を書き写す時の目の置き所が安定してないのではないかということ。文字がマス目からはみ出してしまうのも、単に小さい字を書くのに慣れていないというだけではなく、目の置き所が安定していないことがひとつの要因な気がします。これは本人が適当に見ているというわけではなく、視線を動かす目の動きが弱いことに原因があるもの。ですから、ビジョントレーニングのようなものを意識的にしたほうがいいかもしれません。

ビジョントレーニングとは、目の「見る力」を高めるためのトレーニングで、アメリカなどではかなり研究が進んでいる分野です。この場合の「見る力」とは、いわゆる眼科で測る視力とは異なり、目で見た情報を脳で正しく認識する力を指します。黒板は見えているのに書き写せなかったり、走ると斜めに走ってしまったりするのも、この「見る力」が弱いことに関係しているとも言われています。ビジョントレーニングは、「見る力」を運動機能からのアプローチで鍛えるもの。左右のボールを追いかけて動くなど、目を意識的に使う遊びを取り入れることで、脳が見える状態に導いていきます。そういったものを楽しく習える場所もあるので、一度試してみるのも手だと思います。

視線が迷わないようノートのマス目や幅を工夫する

視線のブレを防ぐには、ノートの工夫も有効です。娘さんの場合、マス目の中に収めようという努力は見受けられるものの、はみ出して隣の文字と重なってしまい、余計に見えにくくなっています。これだと、本人のストレス量も多いし、目の置き所も安定しにくいと思うので、もう少しマス目の大きいものに代えてあげたほうがいいでしょう。学校指定のノートなのかもしれませんが、先生に相談してみてもいいと思います。

また、ノートの幅を半分くらいに縮めて改行させるのも一案。左右の目の動きをなるべくコンパクトにして、縦で見ていくだけの視野にとどめておいてあげたら、そのぶん集中しやすくなるのではないでしょうか。そうやって本人にとって見えやすくしてあげる工夫をしていくと、見え方が楽になり、勉強面も大分変わってくると思います。そのためにも、本人が書いたり見たりする時の姿勢や距離を観察して、本人の目にはどう見えているのかをというのを考えてあげるようにしましょう。そうすれば、今よりもっと助けてあげ方が見つかると思いますよ。

小中連携については担任の先生に早めに確認を

小学校から中学への移行に関しては、中学の先生にも理解の引継ぎを丁寧に聞いてもらえるのがベストですよね。いきなり、「中学生らしくしなさい」みたいに一蹴されてしまったら、せっかく丁寧に積み上げてきたものが台無しだし、内申で変な解釈をされてしまってもかわいそうです。ですから今のうちから、担任の先生に中学校への連携について、中学校側がきちんと聞く耳をもっている学校なのか否かを確認しておきましょう。もし聞く耳のある中学なら細やかに伝えてウェルカムな体制を作っておいたほうがいいし、聞く耳のない中学なら、中学生活の予行演習を6年の3学期のうちにしておいたほうがいいと思います。

文字の乱れの裏にはさまざまな原因がある

文字が綺麗に書けない、整わないというのは、実はいろいろな原因が考えられます。今回の娘さんの場合は、おそらく視界や視線の問題が大きいと思うのですが、文字というのはメンタルもものすごく影響していたりします。子どもたちの学習に関わるベテランの指導者たちも、字体が変わるとまずメンタルを確認するくらい、文字の乱れはSOSのサインでもあるのです。字が汚いと、「綺麗に書け」とか「もっと丁寧に」という言葉で片づけられてしまうことが多いですが、それだと助けてもらうべき心の問題や病状に気づいてあげられるポイントが見過ごされ、本人はますます苦労に追い込まれてしまうことも。単に「汚い」で片づけずに、その裏の事情を考えてあげることが大切です。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。YouTubeチャンネル小川大介の「見守る子育て研究所」で情報発信中。


文=酒詰明子

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大手進学塾や個別指導塾での経験から、子ども一人ひとりの持ち味を見抜き、強みを生かして短期間で能力を伸ばす独自ノウハウを確立。教育家・小川大介氏が、自分軸を伸ばす子育てのコツを公開した話題の一冊。




■小川先生のTwitter:@Kosodate_Ogawa
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