【#令和サバイブ】親の「私たちのことは心配しなくていい」子の「親はいつまでも元気」――なぜ見えなくなる?「介護の始まり」

#くらし 
うちの親は大丈夫、それって本当?

リモートなどで久々に親と会ったら「あれ?うちの親ってこんなに年老いていたっけ...?」そう思った人もいるのではないでしょうか。親の老化と介護といった現実は、誰もが直面することなのに、話し合うタイミングがわからず、いざその時になって後悔してしまったという人もいます。なかなかオープンには話しづらい「老いと介護」。私たちが今からできる備えとは。親の老いと介護との向き合い方を、Yahoo!ニュースとレタスクラブが問いかけます。全5回でお送りします。

レタスクラブユーザー413人(23歳以上、既婚女性) にアンケートを実施。介護未経験の266人に、親と老後についての話し合いをしたことがあるかどうか聞きました。

親(実の親、義理の親)と老後について話し合ったことがありますか?


その結果、約7割が「親と介護について話し合ったことがない」と回答。
そのうち、「すぐに話そうと思っている」「いつか話そうと思っている」人が7割以上を占めました。親と老後について話す必要性を感じながらも話せていない…これはなぜでしょうか。


切り出すタイミングがわからない「親の将来」。具体的に話そうとしても「元気なのに」と泣いて拒否…


「その時が来たら考えればいいと思う」(39歳、親60代)
「両親がそろっているうちは自分たちでやっていくと言われている」(41歳、親60代)
「実感がわかない。親も自分は認知症にならないと言っている」(50歳、親70代)

自分の親はまだ元気だから必要がない、と親の老いをまだまだ身近に感じていないことがうかがえます。
一方で、話したいのに躊躇している人にはこんな声が多く聞かれました。

「まだ健康で、話をするタイミングがわからない」(41歳、親60代)
「終活として実家の整理をすすめたらケンカになったことがある」(45歳、親70代)

東京都在住のユウさん(43歳)も、困惑する一人。隣県に住む父は70代、母は60代。

「母が歩くのを嫌がるようになって衰えを感じ、『老後のこと、どう考えている?』と聞いてみたんです。施設入居を考えているか、ずっと家で暮らしたいかなど具体的な話をしようと思ったら『お母さんは元気なのに、そんなこと言うなんて!』と泣いてしまって…。親が大切だから話したいんですけど、もう切り出せない雰囲気で…」

何でも話せる両親と、なぜか話してこなかった「介護」。後悔しても遅く…


両親の介護をユーモラスに描いたコミックエッセイ『健康以下、介護未満 親のトリセツ』の著者でブロガーのカータンさんは、親と介護について話してこなかったことを後悔していると話します。

「父は緑内障からある日突然、視力を失いました。父の介護をするようになった母はそれをきっかけに、老人性うつから認知症に。母は昔から天然なところがあったので、最初のうちは『またそんなこと言って〜』と私も笑っていました。 でも、もしかして…と思い始めたきっかけは、『ゴミがたまる』『お金の管理ができない』『感情がうまくコントロールできない』でした」

いつも元気だった母に訪れた変化。「健康以下、介護未満 親のトリセツ」より



親の介護が突然やってきたカータンさん。昔からオープンに何でも言える家庭だったという一方で、「介護だけはなぜか話してこなかった」と言います。

「親は『私たちは子どもの世話にはならないから大丈夫!』と言っていて、『それなら問題ないね』と安心していました。『ホームに入るから』と言っていたけれど、実際に親は施設の資料請求や見学はしていなくて…誰かの助けが必要になった時には、そういった手続きも自分たちではできない状況になっていました」

現在、父親は介護施設に入居。「話し合っておくべきだった」と痛切に感じることがあると語ります。

「定期的に延命治療についての希望を提出しないといけません。それを私たち娘が決めるのは、すごく気が重いんです。人工呼吸などの延命治療を“望まない”に○をつけたら、冷たいんじゃないか? と思うし、でも、意識もないまま人工呼吸器に繋がれてることは父の希望なのか? と。もっと元気なうちにさらりと聞いておけばよかったと思っています」

介護は突然始まる。何も聞いてこなかったことを後悔する日が来ることも…


親側の「子どもの世話にならない」子側の「うちの親だけはいつまでも元気」の思い込みの怖さ


「親も子も『老い』という現実から目をそらしてしまう。でも、介護は突然にやってきます」と話すのは、介護当事者を支援するNPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジンのスタッフ で、自身も子育て真っ最中に突然母親の在宅介護に突入した経験を持つ、森川恵子さんです。

森川恵子さん


森川恵子さん/NPO法人 介護者サポートネットワークセンター・アラジンのスタッフ・理事。介護者のための電話相談「心のオアシス電話」、親を介護する息子、娘の交流の場「息子サロン」「娘サロン」の運営などを担当。娘が3歳のときに実母が認知症を発症し、子育てをしながら在宅介護を経験。

「子は、『話さなくては』と思う反面、『ある程度の物忘れは歳をとったから仕方ない。まだ自分で買い物も行けるし大丈夫』と、老いから目を背けてしまう。つい大丈夫な理由を探してしまうんです。親に元気でいてほしいという気持ちと、自分の生活に影響が出ることが怖いという思いもあるんですね。
親は親で子に負担をかけたくなくて『大丈夫だから』と言ってしまう。プライドもあるかもしれません。体操や脳トレなど『自分が元気を維持するための準備』はするのに、『何かあったときの準備』はしていません。親も子も、徐々に弱っていくことを想定している人は多い。しかし、脳梗塞や転倒などをきっかけに『ある日突然』その時がやってくるケースは多々あります」

話さないまま、親に急に介護が必要になり、子がパニックに陥るケースが非常に多いと森川さん。

「施設入居や延命治療など、親の希望がわからないまま判断することは、子に迷いや後悔が生まれてしまいます。この選択は正しかったのか?という問いは、親が判断できない状態になってからでは答え合わせはできないんです」


では「介護未満」の親と、子はいまからどう備えておけばいいのでしょうか?

親が「元気ないまのうち」しかできない。子が親と必ず話しておきたいこと


森川さんによると、親が元気なうちに話し合っておきたい「最低限のこと」は4つ。

・希望する老後の過ごし方
・延命治療の意思
・お金の流れと資産
・葬儀・お墓への意向


「親の意向が分からないときょうだいでもめることも多い。一人っ子は相談できる人がいなくて抱え込んでしまうかもしれない。話し合っておくことで、子は少しでも親の意向に沿った判断ができます。親側には自分の希望を伝えることが子のためになる、と知っていただきたいですね」

とはいえ、なかなか言い出しにくいもの。

「共感しやすい身近な人や有名人の病気などをきっかけにするのはどうでしょうか。『〇〇さんは食べるの大好きだったのに、最期は点滴だけだったみたい。私だったら胃ろうはやめておきたいかも。お母さんはどうしたい?』と、さらっと聞いてみる。問い詰めるような形にならないよう、自分はどう思うか、ということを伝えるのもポイントです。
最初から全部話す必要はありません。ざっくりでも1度話せば2回目はもっと話しやすくなります。最初はこうだったけれども、あの後よくよく考えたらやっぱりこうかも…と意向は変わっていくことも。でも情報は更新していけますから」

それは『親を知る』ことにつながると、森川さん。

「親の現在の友人関係は? かかりつけ医は? 近所とのつながりは? 子どものころと違い親との会話が減っている方も多いと思いますが、新たに関係を構築するつもりで話す時間を持ってみてください」

カータンさんは
「母に何か頼むといつも決まって『任せなさい!』と返事がくる。そんな母がまさか! とショックでした。両親もこんな突然に自分たちに介護が必要になるなんて思ってもいなかったのでは」と話します。

誰もが「親の老い」には直面するのに、話題としてどうしても避けてしまう「老後」と「介護」。でも「話したくても話せない時」が来るとしたら…。
この夏、少し先の未来について話してみませんか?

取材・文=ほなみかおり
【レタスクラブ(WEB)編集部】

◇「#令和サバイブ」
この記事はレタスクラブとYahoo!ニュースの共同連携企画です。
家族と介護をテーマに令和の時代をどうサバイブするか考えます。今は仕事や子育てで手一杯。でも、着実にやってくる親の老い。それに対して私たちはどう向き合うべきでしょうか。自分の少し先の未来や家族について考えるヒントを、全5回の連載でお伝えします。


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