【#令和サバイブ】介護するのは長男? 近くに暮らす人? どうすればいい?「きょうだい間での介護負担の不公平」

#くらし 
きょうだいそれぞれの生活を尊重 してできることを協力し合えれば、互いに介護の力強いサポーターに


かつては二世帯や三世帯の大家族が当たり前でしたが、核家族化が進む現代では必ずしも親子一緒に暮らしているわけではありません。そんななか、親の介護を巡るきょうだい間のトラブルが増えているといいます。そこで、親の介護についてきょうだいと話し合ったことがあるか、レタスクラブユーザーの23歳以上既婚女性413人にアンケ―トを行いました。

結果、「介護経験がない」と答えたきょうだいのいる方245人中「話し合ったことがない」という人が6割以上を占めました。そのうち「すぐに話そうと思っている」「いつか話そうと思っている」と、きょうだいと話し合いたいと思っている人は半数以下でした。

きょうだい間で実親の介護について話し合ったことがありますか?

「まだ話し合っていない」と答えた方にうかがいます。今後話し合いたいと思っていますか?


介護未経験のきょうだい間で介護はどう考えられているのでしょうか。レタスクラブユーザーで「介護ときょうだい」をテーマに座談会を開催、実際の声を聞きました。

【参加者】
木原さん(40代前半・女性)
夫、3人の子ども、義両親と東京都の二世帯住宅で暮らす。実父(70代)と実母(60代)は神奈川県で二人暮らし。実家の近くで暮らす2歳下の妹(既婚)と、九州で暮らす3歳下の弟(既婚)がいる。

佐藤さん(30代後半・男性)
妻、2人の子どもと千葉県で暮らす。実の両親(ともに60代)は車で30分の場所に二人暮らし。実家の近くで暮らす40代の姉(既婚)と、他県で暮らす7歳離れた弟(未婚)がいる。

赤松さん(40代半ば・女性)
夫と2人の子どもと埼玉県で暮らす。実の両親(父70代、母60代)は九州で二人暮らし。実家の近くで暮らす3歳下の妹(既婚)がいる。

「長男なのに帰ってこない」「家族のことを私だけ知らない」きょうだいに言えない内なる思い

(木原)長男である弟が両親の介護についてどう考えているかがすごく気になるけど、話したことはないんです。弟とは10年ほど前にもめて、やっと最近、関係が修復されてきたので、切り出しにくくて…。

(佐藤)僕は長男だから、もしもの時は自分が親の面倒をみるつもりでいます。弟は若いから将来の事もまだわからないし、姉は結婚してる。父からは最近、「お前には話しておく」って、実家のお金事情を聞きました。

(木原)すごい!将来のこと、ちゃんと考えているんですね。うちの弟は、結婚して事前に親きょうだいに相談せず転勤先の九州に家を構えたから、帰ってくる気があるのかどうか…末っ子だから親も弟に甘くて。何かあったら通うつもりはあるけど、私も妹も長男の嫁で、義父母もいるので実親と同居は難しくて…。

(赤松)私は木原さんの弟さんと状況が少し似ているかもしれませんね。大学から家を出て県外で一人暮らしをしていたから、母が大病をした時も、父が入院した時も、妹が両親の世話や家のことを全部やってくれました。それを後から知ってショックで…。

(佐藤)僕はきょうだいと仲は良いけれど頻繁には連絡取り合っていないですよ。親のどちらかが一人になったら、一緒に暮らすことも考えようと思っているけど、まだ誰にも伝えてはいないです。

(赤松)妹とは仲良しだけど、このまま親に介護が必要になったら妹に負担をかけてしまうことになるのかと思うと、正直後ろめたい。今も自分の知らないところで何か起きているのかもしれず、怖くて現在の状況すら聞けなくなってます。

こうした不安、不満を抱えたとき、きょうだいとどのようにコミュニケーションをとったらよいのでしょう。介護者メンタルケア協会の橋中今日子さんに話を伺いました。


「きょうだいだから仲良し」は幻想。まずは自分と自分の家族を大切に

橋中今日子さん

「きょうだいだから仲がいいというのは幻想。介護はトラブルが起きて当然です。親の介護をきっかけに縁を切るケースも多い」と、橋中さん。なぜなら、子によって置かれている状況も、考えもさまざまだから。

「『長男だから』介護をしなければいけないということはありません。長男だからやってくれるだろう、近くに住んでいるから任せていいだろうというのは、周囲の勝手な思い込み。話さなければお互いの状況も考えも伝わりません」

家から巣立ち、現在は個々の暮らしがある私たち。橋中さんによると、木原さんのケースでは、長男である弟が実家に戻らないと、親の近くで暮らす“自分が介護を担わなければいけない”というプレッシャーから、感情のもつれにつながることも多いとか 。
「自分の生活を犠牲にして介護をすると『私はこんなに頑張っているのに弟は何でやらないの?』となってしまい、トラブルが起きやすい。自分が頑張っている分、周囲にも同じことを期待してしまうんですね。しかし、きょうだいといえども、独立した生活を営む“個人”です。だから、まずは自分と自分の家族の生活を大切にしていいという意識を持つことが大事です」。

実際に自身の生活を大切にしてうまくいっているこんな事例を教えてくれました。
「家族との時間や趣味の時間を大切にするため、自身は週2回ほど実家に通い、介護保険のデイサービスや訪問介護のほか、保険外の宅食サービスなどを利用しながら近所で暮らす認知症の母親の介護を続けている女性がいます。最初は介護サービスを利用せず一人で抱え込んで抑うつ状態に陥っていたのですが、自分の時間を守ることで母親にも優しく接することができるようになったとおっしゃっていました。県外に住む兄妹は頻繁に通えない分、兄が介護の情報収集、妹が月1回母親の話し相手になったり買い物に出かけたりして協力しています。
『それぞれの家族を優先する』ことをきょうだいで共有すると、お互い話しやすくなるのではないでしょうか。そのうえで『介護で自分ができること』を考えてみてください」

また、佐藤さんのように“長男だから”という責任感の強さにも危険信号が。
「『介護=同居』ではありません。介護保険などの社会制度をきちんと使えるようにすることが、『介護の責任』です。一人で抱え込んだ結果、つぶれてしまうケースも多いんです。介護では思いがけないことも起こるし、終わりも見えません。突然トラブルが発生することもあります。事態が重くなってから相談すると、きょうだいもパニックになってしまいますよね。
周囲に負担や心配をかけたくないなら、小さなことから情報の共有を。自分が話すことで、相手も思いを打ち明けやすくなりますよ」

まずは自分の家族を優先することが大切


離れて暮らしているからこそ気づくこと、できることがある


親の近くで暮らす子は主介護者になりやすく、必然的に負担がかかります。一方で、赤松さんのように遠くで暮らすきょうだいは、すぐに動けないという負い目や、「何か求められたら自分にできるのか」という恐れがあります。でも、「生活や身体の世話をすることだけが介護ではありません」と橋中さんは力を込めます。

「離れているからこその利点は『客観的に見られる』こと。私も家族3人の介護をしていましたが、時間的に余裕がなく細かなことに目が届かなくなることがありました。そんなとき、離れて暮らす姉が『新しい制度ができたの知ってる?』と教えてくれたり、かさばるおむつやティッシュペーパーを宅配で送ってくれたりするのがとても助かりました。実はもともと介護に消極的だった姉とは、関係がうまくいってない時期もありました。でも、月に1度2~3時間の留守番をお願いするうちに次第に泊まってくれるようにもなりました。実際に体験したことで介護の大変さが分かったのだと思います。
離れていてもできるサポートがあるので、『すぐに駆け付けることはできないかもしれないけれど、何か必要なものや困っていることがあったら教えてほしい』と聞いてみることが、離れて暮らすきょうだい間でうまくいくためのコミュニケーションの第一歩となります」

そして介護中は、「親よりも介護をしているきょうだいの様子を気にかけてあげてほしい」と橋中さん。
「親は時々顔を見せる子に甘い傾向があります。『親らしくありたい』という自尊心を高めてくれるからなんですよね。だから離れて暮らす子が遊びに来ると、その日はすごく機嫌がいい。
でも一方で、介護をするきょうだいにつらく当たっている可能性もあるんです。だから『何か困っていない?』と聞いたり、プレゼントを贈るなら親よりもきょうだいへ! 数時間でも介護を変わる“息抜きの時間”のプレゼントとかね」

また、きょうだいはいても親の近くに誰も住んでいないという方もいるでしょう。いわゆる「遠距離介護」です。
「いまはインターネットと電話でできることがたくさんありますし、地域包括支援センターに相談すると柔軟に対応してくれることも多いです。実際、東京で暮らす女性で実家の鹿児島の両親の介護を、ケアマネジャーと電話やメールで密に連絡を取り合って乗り切っている方も。通所リハビリテーションや家事支援サービスを利用し、見守りは民生委員の方にお願いされています。離れている分、インターネットで地域包括支援センターや市の高齢者に関する情報を事前に収集しておき、帰省をする機会を利用して実家の周囲の方々と良好な関係を築いておくといいですね」


介助や介護が必要な平均期間は男性8.84年、女性12.35年といわれています(平成28年の平均寿命と健康寿命の差より)。きょうだいがいるのに助けてもらえないと、大きな喪失感になります。一方で、先が見えない介護をきょうだいで助け合えれば、それは力強いサポートに。
「介護では治療方針、看取り…命にかかわる判断が最もつらく、大きな痛みを伴います。でも、きょうだいはその痛みを共有できる人なんです。ケンカもするけれど、トラブルの先に関係を築くこともできる。心強い存在になりえるのが、きょうだいです」と橋中さん。

介護は、家族の関係を見直す機会にもなります。お互いの今の家族の状況、兄弟姉妹、親のことで不安に思うことなど、たわいもないことからでいいので、この夏、少しずつ話し合ってみませんか。

取材・文/ほなみかおり
【レタスクラブ(WEB)編集部】

橋中今日子さん

橋中今日子さん/介護者メンタルケア協会 代表。理学療法士として病院に勤めながら、寝たきりの母、認知症の祖母、知的障害の弟3人を介護。介護生活は20年以上に及ぶ。その経験から、現在は心理カウンセラーとして介護者をサポートする活動を行う。著書に『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)

◇「#令和サバイブ」
この記事はレタスクラブとYahoo!ニュースの共同連携企画です。
家族と介護をテーマに令和の時代をどうサバイブするか考えます。今は仕事や子育てで手一杯。でも、着実にやってくる親の老い。それに対して私たちはどう向き合うべきでしょうか。自分の少し先の未来や家族について考えるヒントを、全5回の連載でお伝えします。


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