【#令和サバイブ】親の介護問題で夫婦が険悪に…⁉ うまくいくために夫婦が向き合うコツとは

#くらし 
夫婦で協力し合えば家族の絆も深まる

夫婦における両親の介護問題。「ゆくゆくは義母と同居?」「うちの親が倒れたら、協力してくれるかしら」…そんな不安に、気づいていないフリをしていませんか? そこでレタスクラブユーザー413人(23歳以上、既婚女性)にアンケートを実施し、介護未経験の260人に、互いの両親に介護が必要になったときの対応を夫婦で話し合っているかを聞きました。すると「対応が固まっている」のは、1割にも満たないという結果になりました。

しかし親の介護は突然始まります。核家族化に加え夫婦共働き世帯も多い昨今、それぞれの親の介護について夫婦でどのように向き合ったらよいのでしょう。介護者メンタルケア協会の橋中今日子さんに伺いました。

橋中今日子さん

【義父母の介護】を任せきりになるのは「現実を受け止めきれないから」


実際、夫婦間でどのようなトラブルが起きるのでしょう。介護経験者で既婚(または過去に結婚していた)女性へのアンケート結果では、妻が義父母の介護を1人で担うことへの不満が目立ちました。

・自分の親なのに妻である私に任せきりで冷たかった。(60代)
・義父の介護なのに夫は知らん顔。むしろ夫自身の世話が手薄になる事を怒っていた。(50代)

なぜ夫婦でこのような軋轢が生じてしまうのでしょうか。橋中さんに伺った事例とともに紐解いていきましょう。

<ケース1>夫が義母の介護を任せきり。どうしたら手伝ってくれる?(妻・50代)


50代の夫と、夫の母と共に暮らしています。夫は地域のトラブルには積極的に対処するほど面倒見がいいのに、母親が認知症を発症すると、私に任せきり。介護で疲れた時に料理を簡単なものにすると怒るし、介護について相談を持ち掛けても「俺の仕事じゃない」と言われ…自分の母親なのに介護に関しては一切何もしてくれません。

「介護にかかわらない人は、実親の老いを受け入れられない人が多い傾向です」と橋中さん。「このケースの場合、夫は外の問題解決には積極的ですよね。家族のことではないから感情に左右されないので解決しやすいんです。でも、実の親が認知症で少しずつ変わっていく様子を見るのはつらく、現実から目を背けたくなります。結果、介護に非協力的になってしまうのです。こういう場合、「あなたの親なんだから!」と迫るのは逆効果です。

『親のことをよりわかっているのは、子であるあなた。私がどれだけつくしても、できることは限られている』と伝えてみましょう。ただし、伝えるタイミングには注意が必要です。トラブルの渦中や我慢が続いた直後は、本心からズレた言い合いになりやすいので、話し合いはお互いに気持ちに余裕がある時に行うのがいいですね」

1人で抱え込まず、まずは話し合いを

一方で、最近の相談者では30~40代の人に意識の変化が見られ、“それぞれの親はそれぞれで介護する”と考える方も増えているそうです。

実際に、30代の夫が主介護者として実親の介護に当たり、うまくいった例を教えていただきました。

「共働き世帯なのですが、夫が介護休暇や時短勤務など介護休業制度を活用して、就業時間を調整。夫婦の出退勤時間の差を利用し、親のデイサービスや子どもの保育園の送迎を分担するなどして、介護生活を送った方がいます。夫が介護に積極的なため奥さんも快くサポートに当たったそうで、夫婦関係も良好でした。

この方は会社で初めての“男性社員の介護休業制度を利用した事例”だったので、利用するには勇気がいったと思います。

でも、『自分が動くことが家族にとって良いと思った。制度を利用することで介護ができただけでなく、子どもとの時間も持てたことが良かった』とおっしゃっていました。介護は不幸なことばかりではなく、人生がより豊かになったり、人生観が変わったりすることもあるんですよ」

【実親の介護】にパートナーが非協力的なのは、「何をしていいかわからないから」


それでは“パートナーの親”に対してはどのように向き合えばよいでしょうか。アンケートでは、「私の親の介護に夫が無関心」というトラブルも多くみられます。

・夫が単身赴任だったので義両親の介護を1人で頑張った。それなのに私の両親の介護は、夫は自宅にいたが何も手伝ってくれなかった。(60代)
・主人からみたら私の両親は所詮は他人。施設に入れようか悩んでいるときも一緒に考えてくれない。(60代)

特に、アンケートに回答された50代以上の世代の夫は、「介護は女性が担うもの」という考え方が残り、妻の両親に対して無関心なケースが多いようです。

「ただ、介護に無関心、協力的でない態度が、愛情がないことに直結していないケースも多いのです。相手のことを気づかっているつもりでも妻が困っていることや求めていることに気付かない人、自分では協力しているつもりだったという人…『何もしてくれない!』と泣かれてはじめて妻の窮状に気づいたという夫も少なくありません。このような夫婦間の認識のズレを修正するために、協力して欲しいことを具体的に伝える必要があります。

『5分、ただ黙って話を聞いてほしい』、『今週末、15時に実家に到着できるよう車で送ってもらえる?』など具体的にリクエストしてみましょう」と橋中さん。

一方、30~40代の世代の夫婦では、「夫側からは、『介護に疲れている妻に対して、どうしたらよいかわからない』という相談も多いんです。妻が何をしてほしいか、自分が何をすべきかがわからないので何もしないんですね」と言います。

そこで成功事例をもとに役割分担のポイントを教えてもらいました。

<ケース2>私の親の介護を夫がサポート。ケンカもしたけどうまくいきました(妻・30代)


夫は30代。子どもが生まれたのを機に一人暮らしをしていた私の母親(60代)と同居を始めたところ、母の若年性認知症が発覚。一人っ子で頼れる人がいなくてパニックになった私の代わりに、情報収集や介護保険の申請などをしてくれました。介護生活のなかで私がつい母親につらく当たってしまうときも、冷静に諫めてくれたのは夫です。認知症の進行が早く、介護生活が3年たつ頃に介護施設に入居。施設入居をためらう私を、「施設に入居することは親を捨てることにはならないと僕は思うよ」と背中を押してくれました。

このケースの成功のポイントは2つあるといいます。

「1つは夫が得意分野で妻をフォローしたこと。何をしてよいかわからない夫に対しては『私は情報収集が苦手だから代わりに制度を調べてもらえる?』と、本人が得意そうなことをお願いすると、かかわり方に自信を持ってくれます。

2つめは夫が客観的に見つつ、妻の気持ちに寄り添ったこと。例えば施設入居は、『親を捨てることになるでは』と子は自身を責めてしまいがち。夫は実親ではない分、状況を客観的に見られ、施設入居を勧めつつ妻の心の痛みを分かち合えたことが大きいですね。

介護がうまくいっているご夫婦は、互いの気持ちを伝えている方が多い。普段コミュニケーションが取れているかが、介護が始まってからも大切になってきます。『話を聞いてくれたらうれしい』『あなたの親の介護をサポートする。だから私の親の時もサポートしてほしい』と伝えましょう」

情報収集は夫に頼るなど、上手に役割分担を


介護にトラブルはつきもの。「介護の4つの時期」を夫婦や家族で共有して


ご自身も現在進行形で家族の介護をしている橋中さん。「経験していないと『介護』に対して漠然としたイメージしかありませんよね。夫婦や家族で話し合う際、まずは介護には4つの時期があることを共有してほしい」と言います。

資料提供:介護者メンタルケア協会

資料提供:介護者メンタルケア協会

上図は、介護者が経験する4つの時期を橋中さんが図解したもの。

1.パニック期:家族のケガや病気が発覚した直後。事実を受け入れる心理的負担が大きい
2.環境調整期:状態が落ち着き、介護保険の申請など暮らしの環境を整える時期
3.生活期:介護保険サービスなどを使って実質的な介護生活を営む時期
4.看取り期:最期の過ごし方を決める時期

「介護は1から4へ順に進んで終わるのではなく、何度もパニック期が訪れます。生活期に入り落ち着いたかなと思ったら、新たな病気やケガが起きてまたパニック期に戻ってしまうんです。

介護期間は10年以上続くことも多く、先が見えないなか何度も1~3の時期を繰り返すことも。だからこそ周囲の人や、ケアマネジャーなどプロのサポートが必要だということを、まずは知識として知り、夫婦や家族で共有してください。そのうえで、いつかやってくる介護をどうするのかを考えましょう」

誰しも自分の親が弱っていく姿を一人で体験していくのはつらいもの。その時、妻が、夫が、最強のサポーターになってくれたらそんなに心強いことはありません。

妻も夫も自分の親の介護は自分が中心に担い、パートナーがそれをサポートする。家族のカタチが多様化しているなか、新しい介護のカタチの一つかもしれません。夫婦がお互いの生き方をよりよくするために、少しずつ話し合ってみませんか。

取材・文/ほなみかおり
【レタスクラブ(WEB)編集部】

橋中今日子さん

橋中今日子さん/介護者メンタルケア協会代表。理学療法士として病院に勤めながら、寝たきりの母、認知症の祖母、知的障害の弟3人を介護。介護生活は20年以上に及ぶ。その経験から、現在は心理カウンセラーとして介護者をサポートする活動を行う。著書に『がんばらない介護』(ダイヤモンド社)


◇「#令和サバイブ」
この記事はレタスクラブとYahoo!ニュースの共同連携企画です。
家族と介護をテーマに令和の時代をどうサバイブするか考えます。今は仕事や子育てで手一杯。
でも、着実にやってくる親の老い。それに対して私たちはどう向き合うべきでしょうか。自分の少し
先の未来や家族について考えるヒントを、全5回の連載でお伝えします。


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