注意された子どもが「わかってる」と答えたとき。次にかけてあげるべき言葉とは?/子どもに本当に伝わる言葉がけ(4)

子どもが話を全然聞いてくれない…。そんな悩みを持つ方は多いのではないでしょうか。
教育関連の著書多数、「小川大介先生の子育てよろず相談室」でもおなじみ、過去6000回以上の相談を受けてきた教育家の小川大介さんは、実際に親御さんから「遊び優先で、宿題をなかなかやらない」「注意しても、右の耳から左の耳へ抜けていき、同じことを何度も言っても変わらない…」といった相談を非常によく受けているそうです。
小川先生によると、子どもへの言葉がけのポイントの9割は「子どもを観察すること」で、あと1割が「言い方を変えること」と語ります。
子どもとの関わり方を見直すことで言葉がけのポイントが見えてくる、小川大介著『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)から、「注意された子どもが『わかってる』と答えたとき。次にかけてあげるべき言葉とは?」をお送りします。
※本作品は小川大介著の書籍『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』から一部抜粋・編集しました
「聞こえてない」ときの決まり文句は「わかってる」
親の言葉が「聞こえてない」時の決まり文句が「わかってる」です。
大人から見ると「わかってる、って言ったのにやらない。うそをついた」という解釈になるのですが、この「わかってる」は自動反応なので、本当の意味の「わかってる」だとは思わないほうがいいでしょう。
私の息子が小学生だったころにもよくありました。妻が言ったことに対し「うん、わかったぁ」と、かわいい声でいい返事をするのですが、そのまま遊び続けている。
おかしいな? と思って私が横から口をはさむと、「えっ? 何だっけ」と聞き返すことが…。
「わかってる」と返事があったからといって子どもの心に届いたとは限らないのです。
ですから、子どもに何かを伝えたいときには、もう一言添えたいですね。
「じゃあ、いつから始める?」と、行動を意識させる問いかけをするのもいいですし、「念のため、今ママがなんて言ったのか教えてくれる?」と、理解の度合いを確認するのもいいでしょう。
「聞こえてなかった」ことがわかれば、もう一度伝えてあげればいいのです。
今見えている子どもの姿、聞こえた言葉から感じた第一印象が、必ずしも大人の捉えた通りとは限らないよな、と考えてひと息入れる。
そうするだけで、子どもの事情をだいぶ理解できるようになってきます。
もしわからなければ、子どもに聞いてしまって構いません。たとえば「なかなか始めない」なら、「始めたくないのか、始め方がわからないのか、始める時間になったことに気づいていないのか、3つのうちどれ?」と本人に聞いてみましょう。
この「聞かない」「聞けない」「聞こえてない」の3分類のどれに当てはまるかを捉える練習をしていけば、子どもの事情に寄り添うスキルはどんどん磨かれていきます。
Profile
小川大介
(おがわ だいすけ)
教育家。見守る子育て研究所 所長
1973年生まれ。京都大学法学部卒業。学生時代から大手受験予備校、大手進学塾で看板講師として活躍後、社会人プロ講師によるコーチング主体の中学受験専門個別指導塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。塾運営を後進に譲った後は、教育家として講演、人材育成、文筆業と多方面で活動している。6000回の面談で培った洞察力と的確な助言が評判。受験学習はもとより、幼児期からの子どもの能力の伸ばし方や親子関係の築き方に関するアドバイスに定評があり、各メディアで活躍中。『頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある』(すばる舎)、『頭のいい子の親がやっている「見守る」子育て』(KADOKAWA)など著書・監修多数。
著=小川大介/『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)