感染経路を知って適切な対策を/岡田晴恵先生の「家族と自分を感染症から守るには」(6)

#くらし   
感染経路を知り、適切な対策をとる

『家族と自分を感染症から守る本』6回【全11回】


ニュースで毎日目にする「新型コロナ」の文字。パンデミックによって、感染症は身近な病気なのだと改めて意識した人は多いのではないでしょうか。

でも、感染症は新型コロナウイルスだけではありません。
家庭でよく起こる様々な感染症について、感染症研究の専門家である岡田晴恵先生が、イラストと図解でわかりやすく解説した『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』。本書から、知ってるようで知らない「そもそも感染症って何?」や、今さら人に聞けない「日常生活で気をつけることは?」といった基本的知識をご紹介します。

症状や対処法を知って日頃からできることを実践し、大切な家族と自分自身を守っていきたいですね。

※本作品は著/岡田晴恵、監修/小林弘幸の書籍『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』から一部抜粋・編集しました

感染経路

病原体が人の体の中に入ってくるルートを「感染経路」といいます。感染経路を知り、適切な対策をとることで、病原体が体の中に入ってくるのを防ぐことができます。具体的にどのような感染経路があるのかを紹介します。

1.飛沫感染

せきやくしゃみで飛び出した病原体を含んだ飛沫を、近い距離で吸い込むことにより感染することをいいます。これらの飛沫は、鼻水や唾液などの液に病原体が含まれたごく小さな水滴となっています。その重さにより、数メートルの範囲に、重力によって落ちていきます。感染者との距離が2メートル以内になると、とくに飛沫感染が起こりやすくなるとされています。距離を広げると起こりにくくなります。

2.エアロゾル感染

感染者のせきやくしゃみなどで飛び出した病原体が、エアロゾルとよばれる小さな粒子になって、空中をふわふわ漂い、それを吸い込むことによって感染することをいいます。病原体を含むエアロゾルは飛沫よりも小さく、これによる感染はエアロゾル感染とよばれます。

3.空気感染

さらに小さい「飛沫核」は唾液などの水分が蒸発して、ウイルスや細菌などがそれだけで空中を漂い、それを吸い込むこともあります。伝播の効率が高く、人の集まる部屋の中などで感染が起こりやすくなります。

感染者がいなくなっても、部屋の中に病原体が漂いつづけることもあります。病原体は空中を漂いやすいため、広範囲に感染を広げます。

4.接触感染

病原体のついた手指で目、鼻、口などに触れることにより、病原体が体の中に入った結果、感染することをいいます。ドアノブ、つり革、パソコンのマウスなど、不特定多数の人の指が触れる部分は、接触感染が起きやすいところです。

5.経口感染

汚染された食べ物や手指を介して病原体が体の中に入ってくることによる感染をいいます。糞便などに含まれるウイルスや細菌などがトイレのドアノブにつき、それが手を経由して口に入り感染が成立する糞口感染も、経口感染のひとつです。

6.血液感染

感染者の血液に含まれている病原体が、別の人の体の傷や粘膜、ときには輸血などから体の中に入り込んで感染することをいいます。

感染経路を知り、適切な対策をとる

出典: 日本医師会資料を一部改変

著者プロフィール

 著/岡田晴恵

著者/岡田 晴恵
白鷗大学教育学部教授。共立薬科大学大学院修士課程修了、順天堂大学大学院医学研究科博士課程中退。アレクサンダー・フォン・フンボルト奨励研究員としてドイツ・マールブルク大学医学部ウイルス学研究所に留学、国立感染症研究所研究員、経団連21世紀政策研究所 シニア・アソシエイトなどを歴任、現職に至る。

 監修/小林弘幸

監修/小林 弘幸
順天堂大学医学部教授、日本スポーツ協会公認スポーツドクター。1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学大学院医学研究科(小児外科)博士課程修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属小児研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学医学部小児外科学講師・助教授を歴任、現職に至る。自律神経研究の第一人者としてプロスポーツ選手・アーティスト・文化人へのコンディショニング・パフォーマンス向上指導にかかわる。

著=岡田晴恵、監修=小林弘幸/『予防と対策がよくわかる 家族と自分を感染症から守る本』(KADOKAWA)

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