親の介護はひとつのプロジェクト!離れて暮らす子どもの役割は?/安藤なつの「知っトク介護」(2)

状況が変わったら介護体制は見直すこと


太田:親の介護で子どもがやるべきもう1つの役割として、親の介護を「マネジメント」していくことを提案します。

安藤:「マネジメント」とは?タレントのマネージャーみたいですね。

太田:最初にお話した通り、親も子どもも105歳まで生きる可能性があります。いつ終わるかわからない介護を息切れせずに、続けられるように、環境を整えてあげることが「マネジメント」の考え方です。

安藤:環境を整える?確かにマネージャーは、タレントが仕事をしやすいように環境を整えてくれる存在ですね。介護でも、ヘルパーさんと一緒になって介護の現場に入り込むより、冷静な視点で介護がスムーズにいく環境を整えることが大切なのですね。

太田:まず、マネジメントの手始めとして、親は、何ができて何ができないのかを確認します。親ができないことを自分がサポートできないなら、手を出さずに代役=サービスや制度を探すようにしましょう。

安藤:子どもが離れて暮らしていると、日々の身の回りのお世話のために通うわけにはいかないからサービスを使うことは必須ですね。

太田:適切なサービスや制度を探すためには、情報収集が不可欠です。介護保険制度や便利なサービスは、勉強していきましょう。

安藤:介護保険制度って言われても難しそうで理解できる気がしない!でも、弱っている親より子どもが勉強して理解しておくべきですよね。

太田:その通り!たとえば、親の体調が思わしくなく、歩行が難しくなってきた、ということで相談が必要な場合、親は説明に手間取るでしょう。子どもが、代わりに状況を説明して、適切な手立てを段取りする必要があります。

親に代わって状況を理解して、適切なサービスを受けられるように環境を整えていくことが「マネジメント」の役割です。

安藤:わかりました。難しいと嫌がらずに、理解するように頑張ります!

「親のこと」気づきメモを作ろう

親のことメモ

親の異変を早く察知することもマネジメントのひとつ。「この前の電話でおかしかったな」と思った場合など、感じた異変の内容を日付と一緒に、メモしておくこと。きょうだいでグループLINEを作り、状況を報告し合うのも良い。おかしいと感じたら、病院の受診やサービス導入を検討しましょう。

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介護については「自分が何とかしなければ」と孤独になってしまいがち。
でも実はプロに頼ったり、悩みをシェアすることで最新の情報が得られたり、心や金銭的な負担が軽くなることも。ひとりで抱えこまず、できるだけ周りを頼りたいものですね。

介護歴約20年の安藤なつさん

安藤なつ(メイプル超合金)
東京都出身。2012年に相方カズレーザーと「メイプル超合金」を結成。ツッコミ担当。
2015年M-1グランプリ決勝進出後、バラエティを中心に女優としても活躍中。介護職に携わっていた年数はボランティアも含めると約20年。
ヘルパー2級(介護職員初任者研修)の資格を持つ。厚生労働省の補助事業『GO!GO!KAI-GOプロジェクト』の副団長。

介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子先生

太田差惠子
介護・暮らしジャーナリスト。京都市生まれ。1993年頃より老親介護の現場を取材。「遠距離介護」「高齢者住宅」「仕事と介護の両立」などの情報を発信。AFP(日本FP協会認定)の資格も持ち、「介護とお金」にも詳しい。一方、1996年遠距離介護の情報交換の場、NPO法人パオッコを立ち上げ、2005年法人化。現理事長。「親が倒れた!親の入院・介護ですぐやること・考えること・お金のこと」(翔泳社)など著書多数。

著=安藤なつ(メイプル超合金)、太田差惠子/『知っトク介護 弱った親と自分を守る お金とおトクなサービス超入門』(KADOKAWA)

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