【インタビュー】人生を変える片づけのメソッドが物語になった⁉ 近藤麻理恵×川村元気の最強タッグでおくる短編小説集『おしゃべりな部屋』

#くらし 

家事に育児に仕事に…私たちの毎日はやることがたくさん! 長らく本を読んでいないな~という方も多いのではないでしょうか。
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今回は、読んだあとは自然に片づけたくなる!と話題の『おしゃべりな部屋』の著者、近藤麻理恵さんのインタビューをお送りします。

近藤麻理恵さん

一度片づけたら二度と散らからず、人生まで好転する片づけのメソッドを紹介した『人生がときめく片づけの魔法』が、1300万部を超える世界的なベストセラーとなり、米『TIME』誌でも「世界でもっとも影響力のある100人」に選出され、さらにはNetflixの冠番組『KonMari ~人生がときめく片づけの魔法~』で大ブレイクするなど、さまざまなメディアで活躍している片づけコンサルタント・近藤麻理恵さん。これまで、おもに実用書やリアリティ番組でメッセージを伝えてきた彼女が、今回、発信の手段として選択したのは、なんと小説だ。

新聞連載時から話題沸騰、近藤さんが片づけてきた1000以上の部屋にまつわる実話をもとに、映画プロデューサー・小説家の川村元気さんが紡ぐ7つの部屋の物語をまとめた『おしゃべりな部屋』(近藤麻理恵・川村元気/中央公論新社)――その単行本化を記念して、近藤さんにお話をうかがった。

片づけは「どんな人にとっても"自分ごと"」

単行本化を記念して、近藤さんにお話を伺いました

――本書は、どのようなきっかけで制作されることになったのですか?

近藤麻理恵さん(以下、近藤) 執筆をご担当くださった川村元気さんとは、アメリカで活動している日本人同士、おたがいの名前が聞こえてくる状態でした。人の紹介でお目にかかったとき、なにか一緒にお仕事ができるといいねと話していたのですが、今回、みなさんが家にいなくてはならなくなったコロナ禍の入り口で、新聞連載の企画を考えていた川村さんが、「家の中だけで完結する物語を作りたい」と、わたしのことを思い出してくださったそうです。

物語は、わたしの体験談をお話しするだけではなく、川村さんが片づけ経験者を取材されたり、わたしのもとに届く片づけや著書の感想メールについて彼にお伝えしたりと、実際に片づけをしてくださったすべての方の経験をもとにして書いていただきました。たとえば、子育てを終えて自分を見つめ直す時期に入った主婦の部屋、お仕事を引退した新聞記者の本棚、独り立ちしようとしている娘さんの引っ越しや、彼らの片づけの手伝いをしている主人公のミコとおばあちゃんの思い出など、でき上がった7つの片づけにまつわる物語は、自然といろいろな方に共感していただけるものが揃ったのではないかと思います。川村さんが、わたしの持っていた断片的なストーリーをうまく組み合わせてお話を作り、しかもそれが1冊の本としてまとまっていく過程を見ていると、とても感慨深かったですね。

――おしゃべりをする不思議な小箱・ボクスを相棒に、どんな部屋でも見事に片づけ、その部屋の住人の未来まで照らし出す主人公のミコは、近藤さんにそっくりですね。近藤さんご自身は、この本に登場する部屋の住人たちに、共感する人はいますか?

近藤 正直、どの人も共感します(笑)。片づけって、それ自体が、片づけを仕事にしているわたしだけでなく、どんな人にとっても“自分ごと”ですしね。物語のもとになった片づけ経験者のみなさんのメッセージも、自分の手で自分の部屋を片づけて、自分の人生を変えたという経験をされているからこそ、強く感じられるんだと思います。

個人的に印象的だったキャラクターを選ぶなら、ミコが"片づけのお手伝い"という風変わりな仕事をはじめるきっかけをくれた、ミコのおばあちゃんでしょうか。わたしの祖母をモデルにしたキャラクターなのですが、自分のものを大切にしながらていねいに暮らしている生き方だったり、そんなふうに大切にしていたティーカップを孫であるミコが割ってしまったとき、「いいのよ。このカップの役目は、こうやってわたしがあなたを抱きしめるきっかけをくれることだったのよ」と言える考え方だったり、「こんなおばあちゃんがいたら幸せだろうな」と思える、理想のおばあちゃんを書いていただけました。

――物語仕立てになることで、より登場人物たちの片づけに感情移入することができますね。

近藤 そうですね。実用書のように「近藤麻理恵が言うメッセージ」だと、どうしても"わたし"そのものが影響してしまう部分があったんですよ。今回は物語になったことで、よりフラットに、自分の片づけに向き合っていただける作品になったと思います。純粋にストーリーとしても楽しんでいただきたいですし、読んだあとは、自然に、絶対に、片づけをしたくなっているはず。「片づけたい」「変わりたい」と思えたその気持ちで、ぜひ、片づけに取りかかっていただきたいですね。

さらに今回、書籍化にあたっては、絵本作家の大桃洋祐さんがかわいいカラーイラストをつけてくださったり、出版社さんやデザイナーさんが手触りにまでこだわって装丁を考えてくださったりしたことで、この作品の世界観にふさわしく「触ってときめく」ものを仕上げることができました。もちろん電子書籍もありますが、ぜひとも本屋さんで、実物を手に取ってみてほしいですね。生活に変化があるシーズンでもありますし、プレゼントにもすごくいいと思います。片づけにも使える小箱に、この本とハーブティーなんかを詰め合わせた「小箱セット」とかいいんじゃないかな?

片づけとは、自分の中で未処理だったものに向き合い、「片をつける」ということ

「片づけの『人生を変える力』はすごい!」

――近藤さんのメッセージは、ご著書を刊行されるたび、メディアに出演されるたびに、シンプルで強いものになっているような気がします。ご執筆やご出演が、近藤さんご自身の思考の"片づけ"になっているのでしょうか?

近藤 本当に、おっしゃるとおりなんですよ。伝えれば伝えるほど、「こういう言い方をすれば伝わるんだ」といったポイントがわかってきますし、活動を続けていると、片づけを実践してくださった方からの感想が永遠に届き続けるので、そのたびに、「ああ、やっぱり片づけっていいなあ」と、繰り返し思うことができます。「片づけの『人生を変える力』はすごい!」という気持ちが、どんどん強くなっていくんですね。

自分自身のこれからについて、あまりはっきりとしたビジョンは持っていない状態ですが、次のご縁があったとき、それに気づくことができ、すぐに動ける自分でありたいと思います。そのためにも常に片づけをして、「本当にときめくこと」に時間と情熱を注ぎ込む準備をしておきたいですね。

――近藤さんがお仕事をされることで、確実に誰かの人生が変わっていくということもすごいなと思います。ちなみに、片づけがいのある部屋とは、どんな部屋でしょうか?

近藤 どんな部屋でも大丈夫、片づけられますよ(笑)。ただね、クライアントさんのやる気の影響は大きい。「こんまりさん、片づけてください」って言う人よりも、どうにかして自分の人生を変えたいと思っていらっしゃる方のお部屋を片づけるほうが楽しいんです。

片づけって、言葉どおり「片をつける」、つまりは自分の中で未処理だったものに、ひとつひとつ向き合っていくということなんですよね。時間がかかるし、面倒くさいし、体も心もしんどいし、自己嫌悪にも陥るし……大変なことがたくさんありますが、それ以上に大切なものに気がつけますし、これからの人生で大事にしたいと思うものが明確になります。この機会に、本を手に取っていただき、物語を楽しんでいただいて、人生を変えるきっかけにしてほしいですね。自分の内面を見つめ直す行為としての"片づけ"、やってみなきゃ損ですよ。

近藤麻理恵×川村元気の最強タッグでおくる短編小説集『おしゃべりな部屋』


取材・文=三田ゆき 撮影=干川修

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