家族の介護や家事を一手に担う子どもたち「ヤングケアラー」を知っていますか?

「ヤングケアラー」という言葉を聞いたことはありますか? ヤングケアラーとは、家族の介護や家事を日常的に担っている18歳未満の子どもを指す言葉です。家族同士で助け合うのは当たり前とされ、その苦悩を誰にも認知されないまま抱え込んでいる子どもたちが今も社会の狭間に存在しています。
レタスクラブでは、『48歳で認知症になった母』の原作者である美齊津康弘さんのお話を元に、ヤングケアラーについてのアンケート調査を実施しました。ヤングケアラー問題について全5回で特集します。
ヤングケアラーの認知度は? テレビや新聞で知ったとの声が多数
レタスクラブユーザー190人(23歳以上、既婚女性) にアンケートを実施。「ヤングケアラー」という言葉を知っているか聞きました。

その結果、約7割が「知っている」と回答。テレビ番組やニュース、新聞などでヤングケアラーの存在を知ったという人が多いようです。
「テレビの特集で知りました。中学生とか若い子が親の介護をしていて、苦しんでいるのになかなか助けを求められないことを知りました」
「学校に通いながら親の介護をする学生さんの特集をテレビ見ました。朝早くに自分のお弁当を作りながら朝食、親の介護、学校、帰ってまた家事の日常で、自分の時間がないヤングケアラーの方でした」
「ニュースアプリや会話の中で。年の離れた兄弟を親代わりに見ている子は聞いたことがあります」
「今、読んでいる地方新聞の小説のテーマがヤングケアラーです。元々知ってはいましたが、難しい問題だと思います」
「市議会で問題に上がっていて、息子の同級生も実際にそうだったので気になっていた」
回答の中には、自分自身が病気療養中で我が子をヤングケアラーにしてしまっているのではないかと悩んでいるといった声もありました。
夕飯作りに排泄物の処理。小5で経験した母の介護
現在ケアマネージャーとして働く美齊津康弘さんは、小学5年生の頃、48歳で若年性認知症を発症した母親をケアしていた経験があります。
美齊津さんが感じた母の異変は近所のショッピングセンターでの出来事でした。
おもちゃ売り場を見るために離れて行動していたそうですが、美齊津さんが戻った時、店内にお母さんの姿はありませんでした。駐車場に車もなかったことから「お母さんに置いていかれた…」と家に自力で戻ると、家にはお母さんの姿が。ぼんやりと「…やることがあったの…」と力なく答える姿に子どもなりに胸騒ぎを感じたといいます。

その後認知症の症状は進み、料理の仕方を忘れてしまった母に代わって夕飯作りなどの家事を美齊津さんが担います。生活はどんどん荒れていきました。

学校から帰宅すると、徘徊する母を探して連れ戻すのが毎日の役割です。

症状が進行するにつれトイレの失敗も増え、排泄物の処理をすることも。今振り返っても辛い作業だったと美齊津さんは語ります。
自分の境遇が理解されることは一生ないと思っていた
元ヤングケアラーの美齊津康弘さんに「ヤングケアラー」という言葉を初めて知った時のことを聞きました。
美齊津さん「3年ほど前に初めてこの言葉を聞いて調べてみたら、自分の子ども時代にぴったり当てはまるので驚きました。私のような境遇はレアケースで、世間から注目されることなどないし、誰からも理解されることなく、また私自身も誰にも語ることなど一生ないと思っていました。だからまさか、ヤングケアラーが注目される時代が来るなんて考えたこともありませんでした。自分を語る言葉ができたという意味では、世の中の人々に少しずつ認識され始めてきたような気がします」
ーー「ヤングケアラー」という存在の認知度について、現在はどのような状況だとお考えでしょうか?
美齊津さん「私の周りでは、何となく半分くらいの人がこの言葉を知ってるかなという印象です。ヤングケアラーは、その境遇から自尊心を失ってしまったり、進学や就職をあきらめざるを得なかったりと、様々な問題を抱えていることが多いのですが、『家族だから手伝うのは当たり前』とか『子どもの時の苦労は将来役に立つ』という認識の人も結構いて、問題の本質まで理解している人は、まだまだ少ないと思います」
アンケートでは約7割の人が「知っている」と答えたヤングケアラーですが、現実的に身近な問題として感じている人はまだまだ少ないようです。自ら声を上げられない子どもたちのためにも、ヤングケアラーの問題について一歩踏み込んで考えてみませんか?
取材・文=宇都宮薫
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