【育児中の就活】面接での自己PR、離職期間が長くても大丈夫?

#くらし   

物価の上昇や子どもの教育費の高騰が話題になる昨今、「そろそろ再就職して家計を助けよう」と考え始める子育て中の女性も多いのでは?でも、結婚や出産による離職期間が長いと、採用面接でアピールできるスキルが足りない…と不安になってしまいますよね。
そのような読者の方の共感を得ているのが、『ママ 今日からパートに出ます!15年ぶりの再就職コミックエッセイ』。人気イラストレーター野原広子さんがつづる、40歳からの再就職にまつわる現実を描いた奮闘記です。就活の壁、家事との両立など、仕事復帰を考えている方のヒントになりそうなシーンが満載。その中から今回は、面接にまつわるエピソードをご紹介します。
また、面接での自己PRについて、しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家の川上敬太郎さんに伺いました。

アピールポイント? ない

いざ、15年振りの社会復帰へ!でも、採用面接で大失敗…その理由は?

主人公のユリコは家事に育児に奔走して、はや15年。はたと気づけば夫の給料は下がっているのに、成長した子どもの塾代など、教育費は増えるばかり。家計のピンチをひしひしと感じるようになっていました。これはもう私が働くしかない!と再就職を決意したユリコ。ハローワークでパートタイムの求人を探していると、同じく求職中のママ友に偶然出会います。

3か月通ってる

資格なしの私は…

看護師の資格を持ちながらも「ハローワークに3ヵ月通っているけど、仕事が決まらない」と言うママ友。資格を持っていないユリコは若干不安を感じますが「正社員での採用を目指しているわけじゃないし、大丈夫!」と、前向きに求職活動に取り組みます。そして気に入った求人を見つけたユリコは、いざ面接へ!

いざ面接へ

アピールポイントは?

不採用です

「即採用、すぐ決まるでしょ」と、軽い気持ちで面接に挑んだユリコ。しかし、面接官に自分のアピールポイントを尋ねられますが、何も思い浮かばず答えに詰まってしまいます。結果は、残念ながら不採用。

前もって勉強しなきゃ

貸してあげるから読んで!

面接に失敗したユリコは、働いている友人のもとへ相談に行きます。そこに居合わせた友人の夫に、面接時の服装から質疑応答の仕方まで、ことごとくダメ出しをされてしまいました。面接には下準備が不可欠なことを痛感したユリコは、次なる求人応募に向けて再スタートを切るのでした。

キャリアの棚卸を制する者は、自己PRを制す。とにかく書き出してみよう。

久しぶりの就活、面接で大失敗してしまったユリコ。離職期間が長いと、面接官を前にどのスキルをアピールすれば良いのか戸惑う方も多いはず。そこで「面接での自己PR」について、しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家の川上敬太郎さんにお話を伺いました。

―再就職における最大の関門でもある面接。自分のスキルや経験をどうアピールして良いか分からず、苦戦してしまう方も多そうです。

川上さん「面接で自分をアピールするのって難しいですよね。下準備が成否の鍵を握るのですが『職務経歴書』の作成こそ、その下準備になるんです。大まかなプロフィールを書く『履歴書』と違い、詳細に業務経験と保有スキルを説明する書類が『職務経歴書』。作成に苦手意識を持つ方は、少なくないかもしれません。でも、職務経歴書の内容を詳細まで詰めておけば、面接の自己アピールの準備は出来たも同然です。

職務経歴書を作成する上で最も重要なのは『キャリアの棚卸を、とにかく丁寧に行うこと』です。積み重ねてきたキャリアを振り返り、その具体的な取り組みや成果をひとつひとつ掘り起こしていく『自分の棚卸(たなおろし)』作業が、自分のアピールポイントを整理するのに役立ちます。それぞれの取り組みでの努力や受けた評価など、できるだけ詳細に、些細なことも漏らさず書き出してみましょう。『職務経歴書は、A4用紙3枚までに収める』という就活ノウハウを目にすることがあるかもしれません。でも、棚卸の段階では、最初から3枚に収めようと思わず、5枚でも10枚でも、とにかく全部出し尽くすことが大切です。」

―A4用紙10枚分も業務経験を書き出すとなると、大変な作業ですね。

川上さん「枚数にとらわれる必要はなく、最も重要なことは自分の中にある材料を出し切ることです。たくさん書き出した中から取捨選択して3枚以内に整理すると、すごく良いものが出来上がることが多いですよ。
『そんなに書けるキャリアや経験がない』とおっしゃる方もいますが、大体は『こんなことアピールしても…』と、自己判断で書くことをやめてしまっているケースが多いんですよね。誰に見せるわけでもない『棚卸』、控えめである必要はありません。まずは『自分で自分にダメ出しする』ことをやめてみましょう。『これはどうかな?』と迷ってしまうものも、とにかく全部書き出してみること。その中から、応募先の企業に合いそうなエピソードをピックアップして、職務経歴書に落とし込んでいくという流れがオススメです。面接でアピールしたいことも、そのエピソードの中に自ずと含まれてきます。」

―採用面接での自己アピールで、注意することはありますか?

川上さん「最も重要なことは、自己評価ではなく、他人から評価されたことを盛り込むこと。例えば『私はとても積極的に働きます!』とアピールしても、それだけでは説得力に欠けてしまいます。でも、『同僚たちから、“仕事を依頼される場面でいつも一番に手を挙げるよね”とよく言われました』といったエピソードを添えることで、説得性が増します。主観的な主張だと取られないよう、誰かから認められたことを具体的に挙げるようにしましょう。

次に重要なポイントは、できるだけ具体的な数字で語ること。例えば、事務職に就かれていた方なら『毎日30本以上の電話に対応していた』と具体的な数字を伝えたほうが、イメージが湧きやすく説得力もアップしますよね。たまに、『同じくらい電話を受けていた同僚もいたし、アピールするほどじゃない』と謙遜してしまう方もおられます。しかし、他人は関係なくご自身が毎日30本以上の電話を受けていたという事実を書くことが大切です。」

育児などによって離職期間が長い場合、自己PRは何を言うべき?


―長期の離職期間、いわゆる『キャリアのブランク(=空白期間)』がある場合はどうアピールすれば良いでしょう?

川上さん「離職期間のことを『ブランク』と言うことがありますが、職場で仕事をしていないだけで、決して『ブランク(=空白)』などではないはず。家事や育児など、家周りの仕事のオペレーションを通して、磨かれるスキルは山ほどありますよね。会社で働いていないだけであって、毎日を頑張って過ごしている人の成長が止まっているなんてことは絶対にありませんよ。
『子育てで培った忍耐力』も『家族のスケジュールを円滑に回すための段取り力』も、採用面接でのアピールポイントになるかもしれない立派なスキルです。家事や育児以外、学校や地域との関わりで培われた経験も同じこと。ご自身でアピールしなければ『ブランク』のままですが、家事や育児、地域活動などで磨いたスキルを棚卸して面接の場でアピールポイントとして伝えていけば、面接官の琴線に触れることだってあるはず。実際、採用面接でアピールしたPTA役員の経験が評価されて採用を勝ち取ったというケースもあるんですよ。」

―家事や育児での経験が、アピールポイントになることがあるのですね!

川上さん「はい、以前お話しした『 育児中の就活に必要なこと』でも詳しくご説明しましたが、私はなり得ると思っています。ただ、伝え方には注意が必要ですよ。例えば『最近は、子どもたちの習い事のサポートで忙しくしていました!』と面接官に言っても、おそらく『はい、そうですか…』で終わってしまう。でも、伝え方を工夫して『子どもの空手教室の父母会長を1年間務めあげました。運営コストを徹底的に見直し、パンフレットの印刷会社変更など経費を削減。父母会費を500円下げることが出来ました。』と言ってみると、印象が全然違うでしょう?『リーダーシップやコスト削減力が高い』という評価に繋がるかもしれませんよね。
つまり、面接の自己PRの場面でも、表面的な事実だけではなく、自分なりにどんな工夫をしたのか、具体的なエピソードを入れることが大事なんです。また、職務経歴書の作成でお伝えしたポイント『数字』や『他人からの評価』があったほうが説得力が増すため、できるだけ盛り込むようにしましょう。」

離職期間がある再就職活動は、不安を感じてしまいやすいものです。でも、とにかく全てを書き出して、キャリアや経験の棚卸をしてみること。そこには、前職での経験はもちろん、家事や育児などで磨かれたスキルも含まれます。『こんな経験はアピールポイントにならないだろう』と自分でハードルを高く設定せずに全てを書き出してみたら、面接対策だけではなく、気付かなかった長所や向いている仕事など、新たな発見があるかもしれません。

【取材協力】
しゅふJOB総研 研究顧問/ワークスタイル研究家 川上敬太郎さん

大手人材サービス企業管理職、業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼編集委員などを経て、2010年に株式会社ビースタイル(当時)入社。翌年、調査機関『しゅふJOB総合研究所』を起ち上げ所長就任。現在は独立し、『ワークスタイル』をメインテーマにした研究・執筆・講演・企業の事業支援などに携わる。NHK「あさイチ」、テレビ朝日「ビートたけしのTVタックル」などメディア出演も多数。自身も4児の父親で兼業主夫。

※この記事は野原広子著の書籍『ママ 今日からパートに出ます!15年ぶりの再就職コミックエッセイ』から一部抜粋・編集しました。

取材・文=酒詰明子

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