毎月の生理が恐怖…子宮内膜症があっても妊娠できる? 体験記に共感の声

#美容・健康   
子宮内膜症から卵巣のう腫破裂という壮絶な体験をしたえんさん。それでも妊活に向けて考え始めたところ、世の中はコロナ禍に突入して…。「生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 妊娠編 第13話」より

女性につきものの生理。その症状は人それぞれで、普段とさほど変わらないという人もいれば、薬が手放せないほど辛い思いをする人もいます。ブロガー兼インスタグラマーとして、自分起きた出来事を漫画にしているえんさん(@tamago_en)は、生理痛が非常に重かった人の一人。鎮痛剤もまともに効かず、病院にかかるも「異常なし」の診断。ピルを服用することで生理痛から解放されたものの、その後卵巣がいつ破裂してもおかしくないほどパンパンに腫れているのが発覚。手術を予定していましたが、手術前に破裂してしまい、激痛に苦しむという壮絶な体験をしました。えんさんは『子宮内膜症』で、古い血液が卵巣内に溜まってしまい、そのため『卵巣のう腫』の一種である『チョコレートのう胞』という袋状の病変ができ、それが破裂してしまったのでした。しかし、その後2022年2月に第一子を出産しており、一連の体験をまとめた漫画に大きな反響が集まっています。卵巣のう腫破裂を経て妊娠に向けてどのように感じていたのか、えんさんにお話を伺いました。


子宮内膜症の不安よりも心配だったのはコロナ禍の状況

子宮内膜症を防ぐために、生理を止めて子宮内膜の増殖を抑制する黄体ホルモン剤を服用し始めたえんさん。一時不正出血に悩まされましたがそれも落ち着き、当時付き合っていた夫・ハト氏とも結婚をします。子どもについては「いつかできたらいいなぁ」とぼんやり考えていたというえんさんですが、妊娠に対して不安な気持ちはなかったのでしょうか。

「かかりつけの医師から「不妊になる可能性がある」とは言われていませんでしたし、「妊娠を希望する場合」の話も時々出ていたのできっと大丈夫なんだろうとあまり不安な気持ちはありませんでした。今回自分の卵巣のう腫破裂から妊娠・出産に至るまでの漫画を描くにあたって、ネットで子宮内膜症について調べていたら、「不妊になる可能性」について言及された記事や資料が出てきたので、少し驚きました。当時の私が見ていたら不安になっていたと思います」

そうこうしていた矢先、2020年にコロナ禍に突入。もちろん、未知のウイルスに不安を感じつつも、35歳から高齢出産の扱いになるということもあり、えんさんは夫と子どもについて話し合うことにします。付き合っていた当時、えんさんは夫に卵巣のう腫破裂の経験があること、子宮内膜症の再発を防ぐために薬を服用していることを話していました。薬を飲んでいると生理はない状態なので、子どもが欲しいとなると服薬を止める必要があります。

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 妊娠編 第13話 04

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 妊娠編 第13話 05

その話し合いで発覚したのは、夫はえんさんの体のことを考え「子どもが欲しい」と思いつつも、そのことを口にしないようにしていたということ。子どもを持つ未来よりも、えんさんと一緒に過ごすことを考えていたんですね。コロナ禍という状況ではありましたが、このことがえんさんを妊活に向かわせる後押しになったそうです。

「34歳で妊活を意識し始めましたが、コロナがちょうど流行り始めたころだったので、妊娠をすると病院に行くため外出が増えてしまうこともあって、しばらくためらっていました。実際に妊活に向けて動き出したのは35歳になってからです。夫が子どもを望んでいることを知ったことと、すぐには授かれない場合もあることを情報として知っていたので、まずは動こうと思いました。感染症の終息が見えない中で年齢を重ねていってしまうことに焦りも感じ始めていました」

生理痛・卵巣のう腫破裂がしんどすぎて出産が○○だった話 妊娠編 第16話 03

ついに黄体ホルモン剤の服用を止め、生理が再開。幸い、生理痛は以前ほどひどい状態にはならず、無事妊娠に辿り着くことができたえんさん。

妊娠がわかった時の気持ちを伺うと「最初は信じられず、正直驚きました。病院で初めて心拍を確認し心臓の音を聞いた時は、とても温かくやさしい気持ちになり、自然に涙が出ました」と話してくれました。

産婦人科医に聞く、子宮内膜症がある人の妊娠について

丸の内の森レディースクリニック 院長の宋美玄先生。女性のライフステージに合わせ、「病気」を診断・治療するだけでなく、QOL(生活の質)を保つ提案をしたいと語る

えんさんは、漫画を描くにあたって子宮内膜症について調べたときに初めて「子宮内膜症は不妊の原因になることがある」と知ったそうです。その詳細を丸の内の森レディースクリニックで女性のライフステージに合わせたケアを提供する宋美玄先生にお話を伺いました。

「子宮内膜症の3割くらいの方が不妊になってしまいます。というのも子宮内膜症は、簡単に言うと古い血液がお腹の中に溜まって、血でベトベトの状態になる病気だからです。炎症も起きてしまいますし、卵子の通り道である卵管の通過性も悪くなってしまうので、妊娠の妨げになってしまう可能性があるんです」

では、子宮内膜症があって妊娠を希望している人はどうすればいいのでしょうか。

「その方の健康状態や年齢などにもよりますが、すぐに妊娠を希望されない場合は、子宮内膜症の治療のために低用量ピルや黄体ホルモン剤が処方されることが多いです。妊娠を希望する場合は、事前に検査の上、必要あれば手術などを行う場合もありますが、妊娠をトライをしてみて必要に応じて生殖医療をおこないます。妊娠をするとその間月経がなくなるので、結果的に子宮内膜症の治療にもつながります」

2020年の夏ごろにえんさんが主治医から聞いたこととして「出産時にコロナに感染していると帝王切開になる」という話がありましたが、この状況は今も変わっていないのでしょうか。

「そうですね、これは現状いまもあまり変わっていないと思います。また、妊婦の感染経路の8割がパートナーからによるものという調査結果も報告されています。まだまだ立ち会い出産もできないところが多いですね。継続して妊婦本人だけではなく、パートナーもコロナ対策には気をつけてもらいたいです」

子宮内膜症は確かに妊娠を妨げるものではありますが、妊娠が叶わないということではないとわかりました。妊娠を希望されている方もそうでない方も、身体の悩みは1人で抱え込まずプロに頼ることが大事だといえます。なにか気になることがあれば、すぐに産婦人科医に相談してみましょう。

えん
夫・ハト氏と、娘・ぽっぽちゃん(2022年2月誕生)の3人暮らし。
これまでの自身の体験や現在の日常をコミックで描く、インスタグラマー兼ブロガー。

取材・文=西連寺くらら
医療監修=丸の内の森レディースクリニック 院長 宋美玄

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