カーナビやスマホで自分の位置がわかるのはなぜ? GPSの仕組みを知ろう/すごすぎる地理の図鑑(2)

#くらし   
常時電波を発信しながら地球のまわりを回っている

『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』2話【全10話】


普段ニュースで見聞きする政治や経済、観光地にグルメ。実はこうした様々な情報がすべて「地理」につながっているって、知っていましたか? 地理の勉強は、地名を暗記したり地図を眺めるだけじゃないんです!

地図からわかる地域の自然環境や歴史、暮らしぶりなどは、地理を学ぶとその背景や理由、意外な事実が見えてきて、ぐっと理解が深まります。地理は「地域の謎を解くカギ」と言える、とても身近で面白い学問なのです。

世界のことが今よりもっとわかるようになる、地理のネタあれこれをお届けします。

※記事の情報は2023年3月現在のものです。

※本記事は日本地理学会著の書籍『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』から一部抜粋・編集しました。


GPSで自分の場所が正確にわかるワケ

カーナビやスマホの地図は、周辺の地図を表示し、そのなかで自動的に自分のいる場所を示してくれます。これらの機器にはGPS受信機という、約2万kmの彼方にある人工衛星から発せられる電波を受信する装置が組み込まれ、みなさんの位置を計測してくれるのです。

GPSはアメリカ政府が開発、運用しているシステム。同様のものは各国で開発、運用されており、日本も「みちびき」を打ち上げています。これらをあわせてGNSSといいます。GNSS衛星からは、位置を計測するのに必要な情報が常に発信されています。受信機側では複数の衛星からの信号を受信することで、受信した場所の緯度、経度が正確に計測されます。屋内や地下では携帯電話のアンテナ基地局やWi-Fiスポットなども使われていて、その誤差は10m程度。測量などさらに正確な測定が必要な場合には、2台の受信機でGNSS衛星の信号を同時に受信することで、誤差を最小で数mmに抑えることができます。

GNSS衛星のおかげで生活は便利になった

GPS衛星の軌道(イメージ)

GPS衛星の軌道(イメージ)

GNSSは各国が開発・運用している。GPSアメリカが運用しているGNSSで、高度およそ2万kmの6つの軌道にそれぞれ4個ずつ、予備も含めるとおよそ30個のGPS衛星が、常時電波を発信しながら地球のまわりを回っている。

GNSSのしくみ

GNSSのしくみ

複数の人工衛星からの信号を受信することで、受信した場所の緯度、経度、高さが計測される。

常時電波を発信しながら地球のまわりを回っている

GNSS受信機1台( 単独測位)のスマホでも、誤差10mくらいとかなり正確!2台以上の受信機(相対測位)の測量では、誤差はなんと数mmに抑えられているよ!

東京の国会議事堂の前にある電子基準点

電子基準点

日本では、国土地理院がGNSS衛星の信号を常時受信して地表の変化を監視する施設( 電子基準点)を、全国におよそ1,300点設置。地震の予測などに役立てている。写真は東京の国会議事堂の前にある電子基準点。

電子基準点にはアンテナやGNSS受信機、通信装置などが内蔵されている


豆知識

大きな地震が発生すると、地面の位置が大きく動くことがあります。
2011年の東北地方太平洋沖地震では、東北地方の太平洋沿岸が最大で5m以上東に移動したことが、電子基準点による観測でわかりました。

著=日本地理学会/『地理がわかれば世界がわかる! すごすぎる地理の図鑑』

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