まずは生鮮食品を寄せ鍋で。災害時の家族を助ける「食べつなぎ方」

なま物は初日に調理を。洗い物の節水のためにも、鍋1つでできる寄せ鍋がおすすめ

被災したとき、どう食べつないでいけばいいのでしょうか。
長男が1歳のときに東日本大震災を経験し、防災士の資格も持つイラストレーター・アベナオミさんが被災体験をもとに提案する「長く食べつなぐ方法」をご紹介します。

*  *  *

【画像を見る】地震直後のキッチン。調理ができる状態に片づけるのは大変だった...とアベさん

食べる順番を工夫して食の不安をクリア

いざ災害が起こったとき、重要になるのが食材の食べ方です。家にあるものを上手に食べつないでいけば、物流がストップしている間も食べ物の心配をすることなく、安心して家で過ごすことができるとアベさんはいいます。
「3〜4日たつ頃には、徐々に被災地に救援物資が届き始めます。その間をしのぐためには、まず日もちのしないなま物から食べ始め、冷凍食品を保冷剤代わりにしつつ消費するなど、食べる順番を工夫することが必要です。そうすれば食材をムダにせず、長く食べつなぐことができますよ」

食べつなぎ方アドバイス

被災当日:生鮮食品で大胆に寄せ鍋を作る

まずは冷蔵庫の中にある、肉や魚などの傷みやすいものから食べ始めます。「一度に食べてしまうのはもったいないなどとは思わずに、とにかくなま物は初日に調理してしまいましょう。初日に栄養をしっかりとっておくことは、そのあとの被災生活を乗り切るためにもとても重要なこと。洗い物に使う水を節約するためにも、鍋1つで調理できる寄せ鍋がおすすめです」

▶︎おすすめの行動
もし水が出れば、お風呂に水をためよう
「飲料水は避難所などでもらえますが、食器洗いなどに使う生活用水は自分で確保しなければなりません。水がまだ出る場合は、すぐにお風呂に水をためておくと安心です」。ただし、配管が破損している場合があるので、キッチンやトイレの水を流すのは避けて。

2日目:冷凍食材を保冷剤として使いつつ消費する

冷凍食材を保冷剤として利用しながら自然解凍し、解凍できたものから加熱して食べる

「震災時はまだ寒かったこともあり、停電3日目でも冷凍室内の食材は凍っていました。ただし、保冷時間は気温などに左右されるので、食材が凍っているうちに少しずつ冷蔵室に移動。保冷剤として利用しながら自然解凍し、解凍できたものから加熱して食べるようにしましょう。便利なのは、お弁当用の冷凍食品。自然解凍で食べられるものなら、調理不要です」

3日目以降:冷蔵庫の中が空になったら缶詰やレトルト食品を

「食欲が落ちてくる頃なので、缶詰やレトルト食品の中でもまずは食べやすいもの、例えば汁けのあるカレーや中華丼などから食べるのがおすすめです」

それ以上長引いたら:戻した乾物や非常食を食べる

非常食は最後のとりで。物流がストップした状態が長引いたら、まずは乾物の活用を

「非常食は最後のとりでとなるもの。まずは高野豆腐を戻して煮物にしたり、春雨でスープを作るなど、乾物の活用を」。カップラーメンやクッキーなどでも。

取材・文/恩田貴子 イラスト/アベナオミ
※2023年3月に配信した「今どき防災食のリアル」を再編集しました 
 
【レタスクラブ編集部】

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Information

▶︎教えてくれたのは
アベナオミさん
宮城県在住。イラストレーター。3児の母。長男が1歳のときに東日本大震災を経験し、防災対策の大切さを実感。イラストやコミックを通じて、被災への心構えや備えについて伝えることをライフワークとしている。防災士の資格も持つ。

<レタスクラブ23年3月号より>






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