積もった雪は「変態」する
積もった雪(積雪)も奥深く、とくに変態するのがおもしろいです。
積雪は雪のかたちを表す雪質で分類され、雪質が変わることを積雪変態といいます。
降った雪の結晶が残っていれば新雪です。
積雪の温度が深さ方向に同じ場合、結晶のとがった部分で昇華、凹んだ部分で水蒸気が凝華して丸くなる球形化、凹んだ部分で凝華して結合(焼結)するという等温変態が起こります。これにより新雪はこしまり雪、しまり雪へと変化します。
夜間に積雪表面が冷えるなどして深さ方向に温度が違うと、冷たい部分で凝華して霜が成長し、こしもざらめ雪、しもざらめ雪に(温度勾配変態)。積雪がぬれていると、雪の融解・凍結で急速につぶが丸く大きくなるぬれ変態が起こってざらめ雪になります。
ほかに積雪表面に表面霜や、表面付近にクラストという薄くて硬い層もできます。
雪を掘って層を見ると、どんな雪が降り積もり、変化したかを追えるのです。積雪はまるで雪の履歴書ですね。
雪質が変わるしくみ(積雪変態過程)
雪質の分類
積雪を掘ってその断面を観測することで、これまでにどんな雪が降り積もって変化してきたのかを知ることができる。断面の高さごとに雪質(表の記号で 録)、積雪のつぶの大きさ、雪の温度 、密度 、硬さ、雪に含まれている水の量などを測定する。雪質によっては雪崩の原因になることもあるため、雪崩の危険度も調べられる。
豆知識
青森県出身の太宰治による春の紀行文『津軽』(1944年)には、こな雪、つぶ雪、わた雪、みず雪、かた雪、ざらめ雪、こほり雪という7つの雪が書かれています。これらは雪質を表わし、東北地方の気象台などが協議して定めた言葉です。
著=荒木健太郎/『空のひみつがぜんぶわかる! 最高にすごすぎる天気の図鑑』