スクランブルエッグ
炒めずに湯煎で火を通す
卵は火の入り方が早いので、プロでも火の入れ方に気を遣う食材です。特にスクランブルエッグはフライパンで作ると、ちょっと目を離している間にボソボソになってしまいます。そこで私は、湯煎でじっくりと加熱していく方法で作っています。さらに余熱でも火が入ることを計算してかたまる寸前に盛りつけます。そうすれば、食べるときにとろとろの状態のスクランブルエッグを味わうことができるのです。
私が昔、天皇陛下にお作りしたことのあるスペシャリテに「キャビアのサバイヨン」があります。 サバイヨンは、卵黄を使って作るムース状のクリームですが、これも同じように湯煎にかけて加熱して、なめらかなムース状に仕上げる料理で、テクニックとしてはスクランブルエッグと同じです。
スクランブルエッグをトーストしたパンにのせて、生ハムや炒めたベーコン、ソーセージなどと一緒に食べるとおいしいですよ。これにさっぱりとした野菜サラダを添えれば最高の朝食になります。朝食こそおいしいものをしっかり食べて、幸せを感じながら一日をスタートさせてくださいね。
スクランブルエッグのタルティーヌ
材料(2人分)
卵…4個
牛乳…大さじ1
塩…小さじ1/2弱
白こしょう… 少々
ミニトマト…2個
パン(カンパーニュなど)…2枚
バター(食塩不使用)…適量
生ハム…2枚
こしょう…少々
作り方
下準備
1 耐熱のボウルに卵を溶き、牛乳、塩、白こしょうを加えて泡立て器でよく混ぜる。ミニトマトは食べやすく切る。パンはオーブントースターで焼き、バターを塗る。
湯煎にかける
2 1のボウルより少し大きめの鍋に湯を沸かす。弱火にして湯の温度を85°Cくらいに保ち、1のボウル を湯煎にかけ、泡立て器で混ぜな がらゆっくりと火を通す(図a)。
▶▶フライパンで直接加熱すると火が入りすぎてかたくなってしまう場合が多いですが、湯煎で加熱すると、その失敗がありません。
盛りつけ
3 卵液がかたまりはじめたら (図b)、 湯煎からはずし、 1のパンの上に盛る。生ハムをちぎってのせ、1のミニトマトものせ、こしょうをふる。好みでベビーリーフを添える。
▶▶混ぜたときに卵の重みを感じるようになったら湯煎からはずします。
この記事のルール
・小さじ1は5ml、大さじ1は15ml、1カップは200ml、1合 は180ml、ひとつまみは親指、人差し指、中指の3本の指でつまんだ量(1gが基準)です。
・野菜は特に表記していない場合は、皮をむいたり筋を取ったりしています。
・塩は精製していない天然のものを、特に指定のないこしょうは粗びき黒こしょうを使用しています。
・オーブンはコンベクションオーブンを使用しています。ご使用のオーブンに合わせ、 加熱時間を調節してください。
松尾幸造
1948年生まれ。1960年代に国内の有名ホテル、レストランに勤務後、スイスのホテル学校に留学。ヨーロッパの有名ホテル、レストランで経験を積み、帰国。
1980年東京・渋谷区 松濤に一軒家レストラン「シェ松尾」を開店し、オーナーシェフとして活躍。
2000年日本文化振興会社会文化功労賞受賞。
2007年NPO日本抗加齢食普及協会理事長に就任。
2019年 「シェ松尾」の会長を引退。
2021年よりYouTubeで 「Grand Chef MATSUO 松尾幸造」をはじめ、登録者48万人 (2023年11月現在)の人気チャンネルに。
主な著書に 『シェ松尾元オーナーシェフのお料理教室 普通の食材をお店の味に変えるレシピをまとめて』 (小社刊)がある。
https://www.youtube.com/c/grandchefmatsuo
撮影/邑口京一郎 スタイリング/本郷由紀子 本文/内田加寿子
著=松尾幸造/『料理をほめられたことがない人に捧げる 松尾シェフのレシピ帖』