ナポリタン
生のトマト+バターで旨味を増す!
ナポリタンは、昔懐かしい昭和を代表する日本独自の洋食の一つ です。トマトケチャップをベースにしたシンプルな味つけのパスタですが、私が料理の世界に入った当時は、大変なごちそうでした。
実は料理とファッションは似ていましてね、例えばフランス人の若い女の子は、おばあちゃんの着ていた洋服の丈を詰めたり、襟の部分を少しお直しして、おしゃれな現代風の洋服にアレンジして着こなすのがとても上手です。料理もファッションと同様です。 今の時代に合わせて、バージョンアップさせると、途端に料理が輝き出します。
ここでは昭和の懐かしいナポリタンを令和の時代にふさわしく、盛りつけや味つけにひと工夫して、よりおいしいレシピにしたものをご紹介します。
ポイントは具材をバターで炒め、生のトマトを加えること。ケチャップ味にバターのコク、フレッシュトマトの酸味や旨味がプラスされることで味に深みが出ます。
盛りつけは、スパゲッティを菜箸に巻きつけて横盛りにすれば、令和のナポリタンの完成。ぜひ味わってみてください。
トマト入りナポリタン
材料(2人分)
スパゲッティ(1.9mm)…160g
トマト…1個 (180g)
ロースハム…3枚(60g)
玉ねぎ…1/4個(50g)
ピーマン…1個
トマトケチャップ…大さじ2
粉チーズ…大さじ1
バター(食塩不使用)…20g
パセリのみじん切り…適量
ハム、玉ねぎ、ピーマンのほかに、生のトマトを加えることで、旨味と酸味がプラスされて、洗練された味になる。
作り方
下準備
1 トマトはへたを除き、上面に十文字に切り込みを入れる。熱湯に10秒入れて、氷水に取る。めくれた皮をとっかかりにして包丁を当てて皮をむき(図a) 、粗みじん切りにする。玉ねぎは縦薄切り、 ピーマンは縦半分に切ってへたと種を除き、縦細切りにする。ハムは半分に切って細切りにする。
▶▶トマトの皮は、口に残るので、湯むきをして使います。
2 鍋に2Lの湯を沸かして塩大さじ1(分量外)を加え、スパゲッティを袋の表示時間通りにゆではじめる(ソースができ上がるタイミングを見はからってゆではじめる)。
ソースを作る
3 フライパンにバターを中火で溶かし 、玉ねぎを炒める。しんなりしたらハム、トマトを加えて炒め、トマトの水分を煮詰める(図b) 。
ケチャップを加えて炒め、なじんだらピーマンを加えてさっと炒める。スパゲッティのゆで汁を玉じゃくし約1杯分加えて混ぜ、なじんだら粉チーズを加えて混ぜる(図c)。
▶▶バターで炒めてコクをプラスします。生のトマトを加えることで、風味と旨味が増します。
仕上げ・盛りつけ
4 ゆで上がったスパゲッティの湯をきって加え、3のソースとよくからめて、火を止める。
5 スパゲッティの半量を菜箸にくるくると巻きつけ(図d)、器の上で菜箸を引き抜いて横盛りにする 。残りも同様に盛る。フライパンに残った具をスパゲッティにのせ、パセリを散らす。
▶▶料理は五感で味わうもの。盛りつけを変えると、味わいも変わります。
この記事のルール
・小さじ1は5ml、大さじ1は15ml、1カップは200ml、1合は180ml、ひとつまみは親指、人差し指、中指の3本の指でつまんだ量(1gが基準)です。
・野菜は特に表記していない場合は、皮をむいたり筋を取ったりしています。
・加熱時間と火加減は、ガスコンロ使用を基準にしています。IH調理器具などの場合には、調理器具の表示を参考にしてください。
松尾幸造
1948年生まれ。1960年代に国内の有名ホテル、レストランに勤務後、スイスのホテル学校に留学。ヨーロッパの有名ホテル、レストランで経験を積み、帰国。
1980年東京・渋谷区 松濤に一軒家レストラン「シェ松尾」を開店し、オーナーシェフとして活躍。
2000年日本文化振興会社会文化功労賞受賞。
2007年NPO日本抗加齢食普及協会理事長に就任。
2019年 「シェ松尾」の会長を引退。
2021年よりYouTubeで 「Grand Chef MATSUO 松尾幸造」をはじめ、登録者48万人 (2023年11月現在)の人気チャンネルに。
主な著書に 『シェ松尾元オーナーシェフのお料理教室 普通の食材をお店の味に変えるレシピをまとめて』 (小社刊)がある。
https://www.youtube.com/c/grandchefmatsuo
撮影/邑口京一郎 スタイリング/本郷由紀子 本文/内田加寿子
著=松尾幸造/『料理をほめられたことがない人に捧げる 松尾シェフのレシピ帖』