頭から内臓、尻尾まで! サンマを丸ごと食べられる理由知ってる?/すごすぎる海の生物の図鑑(8)

サンマとその内臓

「海」ってどんな世界? 地球表面積の7割を占める海は、広さだけじゃなく深さもすごい!/すごすぎる海の生物の図鑑(1)
『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』 8回【全8回】


人間から見ると不思議がいっぱいな水の生き物たち。大きな海の秘密、教えます!

多様でユニークな生態が面白い、水の中を生きる生物。思わずびっくりしてしまうような生存戦略の数々は、非常に興味深く、子どもはもちろん大人の知的好奇心も満たしてくれるはずです。

水の世界のトリビアをぜひお楽しみください!

※本記事は鈴木香里武著の書籍『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』から一部抜粋・編集しました。


サンマを丸ごと食べられるのは胃がないから

サンマの塩焼き、おいしいですよね!刺し身で食べると他に類を見ない味の濃さに驚きます。頭から内臓、しっぽまで丸ごといただけるサンマ。でもこれ、他の魚でやったら内臓が苦かったり臭かったりして、魚嫌いになってしまうかも!?

普通は取り除いて料理する内臓。なぜサンマはそのまま食べられるのかというと、胃がないからなんです。食べた物がたった30分程で排泄されるため、残りカスが内臓に溜まることがなく、苦みや臭みが出ないのです。このような魚を無胃魚と呼びます。胃がなくても生きられるなんて不思議ですが、サンマ以外にもサヨリやトビウオ、ベラ、淡水魚ではコイやメダカの仲間などなど、無胃魚は意外とたくさんいます。

おいしく食べられるのはいいですが、当の本人はなかなか大変。食べ物を溜めておけないので、すぐにお腹がすいてしまい、常に餌を食べていないと生きられません。そんな活動的なところも、あのうま味と栄養を育む理由なのかもしれませんね。

サンマとその内臓

サンマとその内臓

漁は夜間、船の灯りに寄ってくる習性を生かして行われる。胃の中のものをすぐに排泄してしまうサンマは、獲られた時には胃に何もない状態のものが多い。肝に余計なものが入っていないのでおいしいとも言われる。

無胃魚

サンマ/ハゼ/トビウオ/コイ/金魚など

無胃魚(胃が無い)


有胃魚

タイ/メバル/マグロ/ブリなど

有胃魚

金魚を観察していると、肛門から糞がつながっているのを見るよね。胃がないから食べた餌がどんどん消化されて、腸から肛門に送られるので、ツルンと押し出されているんだ

豆知識

魚屋さんやスーパーマーケットでおいしいサンマを見分ける方法は、下顎を見ること。サンマは生きているときは下顎の先端が黄色く染まっており、死後に色あせていきます。そのため、ここが黄色ければ鮮度がいいという証なのです。

【著者プロフィール】
鈴木 香里武(すずき かりぶ)
幼少期から魚に親しみ、専門家との交流や様々な体験を通して魚の知識を蓄える。学習院大学大学院で観賞魚の癒し効果を研究した後、現在は北里大学大学院にて稚魚の生活史を研究。海好きコミュニティ「海あそび塾」の塾長を務め、岸壁幼魚採集家として漁港に現れる稚・幼魚を観察する。メディア・イベント出演、執筆、資料提供等の発信活動をする傍ら、水族館のイベント・展示企画等、魚の見せ方に関するプロデュースも行う。2022年7月、静岡県に幼魚水族館をオープン、館長を務める。著書に『海でギリギリ生き残ったらこうなりました。進化のふしぎがいっぱい!海のいきもの図鑑』『海でギリギリあきらめない生きざま。知恵と工夫で生き残れ!海のいきもの図鑑』(KADOKAWA)など多数。

著=鈴木香里武/『水の世界のひみつがわかる! すごすぎる海の生物の図鑑』

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