北海道産玉ねぎの「おいしい常識」を深掘り!プロが教える選び方・保存法・絶品レシピ

ハンバーグ、カレー、牛丼、酢豚…和食から洋食、中華まで、あらゆる料理の隠れた主役といえば玉ねぎ。玉ねぎの持つうま味成分「グルタミン酸」が、どんな料理でも美味しくしてくれる、まるで名シェフのような働きをしてくれます。
そんな身近な野菜・玉ねぎですが、意外と知らないことが多いのではないでしょうか。
年中スーパーの店頭に並んでいるので、玉ねぎの旬は一体いつなのか?また、「玉ねぎって種から育てるの?」「冷凍できるの?」など…。毎日のように食べているのに、実はわからないことばかりです。
そこで北海道産の農畜産物を全国へ届けている「ホクレン」の「玉ねぎ馬鈴しょ課」野田有希さんに、北海道産玉ねぎについてお聞きしました。野田さんはホクレンに所属して約15年、北海道産の玉ねぎ・じゃがいもの生産状況を熟知した、玉ねぎのプロとも言える方です。
ホクレンの正式名称は「ホクレン農業協同組合連合会」。北海道内の農業協同組合による組織です。北海道産の農畜産物を集荷から流通、販売にいたるまで、そしてその生産者のサポートなど、農畜産業に関する様々な事業を行っています。
また、北海道北広島市にある野菜の直売所やレストランを運営する「ホクレン 食と農のふれあいファーム くるるの杜」では、親子で収穫体験できるイベントなどを開催し、食育にも取り組んでいます。
※取材は2025年6月に行いました。
収穫量は全国一! 北海道は玉ねぎ王国
——北海道は玉ねぎの生産量日本一ですが、北海道産の玉ねぎの特徴を教えてください。

野田さん:北海道は、北見市をはじめ広大な畑で玉ねぎを生産しています。大規模に機械収穫を行い長期間保管するため、他の府県産の玉ねぎと比べて水分値が低い傾向にあります。


水分値が低いと、生で食べる時は辛みを強めに感じますが、その分糖度が高いので、加熱すると甘みが引き出されます。

——つまり北海道産玉ねぎは、炒め物や揚げ物、煮物などの加熱調理に使うと甘みがより感じられるんですね。シンプルなオニオンリングや玉ねぎ丸ごとのスープにするとおいしそうです…!

——北海道産の玉ねぎの旬はいつですか?
野田さん:北海道産の玉ねぎは、7月下旬から10月まで収穫し、冷蔵保存しながら翌年6月頃まで出荷されます。玉ねぎの食味は一年中大きな変化はないため、旬というような特定の期間はなく、一年の間ずっとおいしく食べることができます。
特に収穫後の8~10月が出荷最盛期になるので、たくさん食べて頂きたいですね。

知ってる?玉ねぎの基礎知識
——玉ねぎは種から育てるのでしょうか? あの丸い形は球根ですか?
野田さん:玉ねぎは種から育てます。2月にハウス内で種まきを行ってから苗を育て、4~5月ごろに畑に苗を植え付け、7~10月に収穫となります。

玉ねぎは葉の根本に養分を蓄えたもので、球根の一種ですね。基本的に花は咲きません。ただ食用ではなく種取り用に栽培するものは、可愛らしい花が咲きます。

——玉ねぎにも、じゃがいものように品種がありますか?
野田さん:玉ねぎにも品種はありますが、北海道で生産している品種の違いは生育期間と貯蔵性の違いが主で、食味に違いはあまりありません。ただ、いくつか特徴的な品種として流通しているものもあります。代表的なものを3種類紹介しますね。
1▶︎札幌黄(さっぽろき)
札幌市東区の特産品。糖度が高く、甘みや風味がいい反面栽培が難しく、「幻の玉ねぎ」の異名も持つ
2▶︎サラダ玉ねぎ
比較的早い時期(7~8月)に出荷する、辛みが控えめでみずみずしいおいしさの玉ねぎ
3▶︎さらさらゴールド
甘みや辛みが強く、健やかな体へと導くといわれるポリフェノールの一種、「ケルセチン」含有量が高い
——同じ玉ねぎでも、含まれている成分や味に微妙に違いがあるんですね。
赤い色の玉ねぎもありますが、普通の玉ねぎと比べて、どんな違いがあるのでしょうか?
野田さん:赤玉ねぎ(レッドオニオン)の赤紫色は、ブルーベリーなどに含まれているポリフェノールの一種の「アントシアニン」です。
赤紫の彩りやみずみずしい辛みの少ないおいしさはサラダに最適です。もし味見をしてみて辛ければ、軽く水にさらしてみてください。

——赤い玉ねぎは、料理に彩りが欲しい時にもとても便利ですよね。
おいしい玉ねぎの選び方のコツや保存方法。おいしい食べ方はコレ!
——おいしい玉ねぎを選ぶコツはありますか?

野田さん:玉ねぎは、食味に個体差はあまりありません。状態のいいもの(傷んでいないもの)を選ぶ基準は
・1 表皮がパリッと乾燥しているもの
・2 硬く締まっているもの
・3 先端が細く締まっているもの。湿っていないもの
・4 首回りが極端に凹んでいないもの
などです。

——玉ねぎは表面の皮が乾燥していますが、乾燥させるのは、なにか意味があるのでしょうか?
野田さん:玉ねぎは、濡れていると傷みが発生しやすくなるので、長期で健やかな状態を保つために乾燥した状態で保存しています。
——そうなんですね。家庭で玉ねぎを保存するにはどうしたらよいですか?
野田さん:一般的には、ネットなどに入れて風通しのよい所に吊るして保管すると良いとよく言われます。
もし家庭で吊るすのが難しい場合は、常温(~15℃)でも大丈夫ですが、玉ねぎは温度が低い方が長持ちするので、長期間保管する場合は新聞紙などでくるんで冷蔵室で保管するのがいいでしょう。
玉ねぎを切った後の使い残しなどは傷みやすいので、冷蔵保管し、極力早く使用することをおすすめします。

——玉ねぎは冷凍保存できますか?
野田さん:玉ねぎは、実は冷凍もできます。冷凍すると細胞が壊れて味が染み込みやすくなるメリットがあるので、時短料理に役立ってくれます。煮物やスープなどでぜひ味わってみてください。

——玉ねぎを切ると涙が出るのですが、対策はありますか?
野田さん:玉ねぎに含まれる辛味成分「硫化アリル」が気化すると目にしみて涙が出ます。温度が低いと気化しづらくなるので、使う前に冷やしておくと目にしみにくくなります。
さらに切った時に細胞を壊して辛み成分が気化するので、切れ味のいい包丁を使うことも対策になります。
——冷やすと目にしみにくいというのはいいですね。今度試してみます。
最後に、北海道ならではの玉ねぎ料理はありますか?
野田さん:生産者の方に聞くと、輪切りにしてバーベキューで食べるのが一番と言う人が多い印象です。北海道産の玉ねぎは基本的に加熱調理すると甘みが引き出されるので、きっとストレートにおいしさを感じられるからでしょう。切るだけの簡単な調理法なので、バーベキューや焼き肉などで輪切りにした焼き玉ねぎをぜひ味わってみてください。

野田さん、ありがとうございました!
テキスト=ポテコ
ポテコ

▶連載コラム:
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