「あと10回噛む回数を増やす」だけで、無理なく痩せられるって本当?

意識的によく噛む

無理せず痩せるためのポイントは「食卓に食物繊維をプラス」
『日体大教授が教える 「脂肪燃焼」食 運動0でお腹が凹む!』第2回【全5回】


運動ゼロ、糖質制限ナシでもお腹は凹むって本当ですか?

日本体育大学の岡田隆教授が提案するのは、「除脂肪食」の実践。
岡田教授よると、科学的に正しいダイエットとは、人体を太らせる力を持つ「三大栄養素(脂質・炭水化物・たんぱく質)」を自在に操り、たくさん食べても太らない体を作っていくこと。「脂質の適正化(厚生労働省が推奨する脂質量)」こそが、しっかり食べながら、ストレスなく痩せる正しい方法なんだそうです。

プロのダイエッター(ボディビルダー)でもある岡田隆教授の書籍『日体大教授が教える 「脂肪燃焼」食 運動0でお腹が凹む!』から、無理なく痩せるためのポイントのひとつ、食物繊維を摂ることのメリットについてご紹介します。

※本記事は岡田隆 著の書籍『日体大教授が教える 「脂肪燃焼」食 運動0でお腹が凹む!』から一部抜粋・編集しました。


あと10回! 噛む回数を増やす


みなさんは子供の頃、お母さんに「よく噛んで食べなさい」と言われたことがあると思います。でもそれを言っているお母さん自身も、なぜなのかはわかっていない。

私はこれの明快な答えを提示したいと思います。それはズバリ「痩せられるから」。つまり噛むことで、体脂肪を落とすことができる。それなら痩せたいみなさんは、よく噛むしかない。

でもみなさんは、今まで噛むことをほとんど意識していないにちがいありません。噛むことは、食習慣から反射的に行っているからです。なので、よく噛もうと思えば、意識的に行うしかありません。また意識的に行っても、いつか無意識の習慣が優勢になり、元通りあまり噛まなくなってしまう。そう考えると簡単そうで、なかなか難しい。だから意識的によく噛むことを続けるためには、まずはなぜ痩せるのかを理解した方がいいでしょう。

理屈を理解すると「なるほど」と思う。するとそのことが、それだけ深くその人の頭に入り、またモチベーションとなって、続けようとする。逆に理屈を理解しないとモチベーションは上がるはずもなく、面倒くさくなり、すぐにやめてしまいます。

正直、ダイエットは面倒なものが多い。私は運動や筋トレをしない人、したくない人がどれだけ多いかをよく知っています。でも、よく噛むだけなら、ラクではありませんか。体を動かさずにできるうえ、噛むという行為は、食事の時、誰でもしていることです。その回数を増やすだけなのです。

食欲は脳によって調整されます。そして脳には、摂食中枢と満腹中枢という、食欲にかかわる2つの中枢がある。この2つが、それぞれ「お腹がすいた」と「お腹がいっぱいになった」という信号をキャッチします。

よく噛むと、消化管ホルモンという物質が分泌されます。これが満腹中枢に働き、食欲が抑えられます。同じものを同じ量を食べた場合、よく噛むと、それで満足するのに、あまり噛まないと、もっと食べたいということになってしまう。これはみなさんも経験から、わかるのではないでしょうか。

よく噛むことのメリット


よく噛めば、痩せる


噛む回数を増やすためには、よく噛まざるを得ない食材や調理法を多用すればいいのです。硬めの食材を使う、食材を大きめに切る、など。チョップドサラダは、チョップしないよう頼みましょう。噛むチャンスを逃しています! 良く噛むということは、口の中で食べ物がたくさん動くということ。それによって唾液とよく混ざり、舌にある味センサー(味蕾という細胞)に接触することで味を認識します。つまり良く噛むことは、良く味わうこと。同じ一口でも、たくさん味わえる。これも大切な刺激であり、食を楽しむコツです。

思い出してください、運動した後はしょっぱいものが欲しくなり、美味しく感じる。疲れた時は甘いものが欲しくなり、美味しく感じる。しかし、その感動は2口目以降どんどん薄れ、そのうち「もう要らない」となる。体は不足する栄養素を自然と欲しくなり、それを美味しいと感じ、必要な量を摂れるまで食べ続ける。そして十分になると自然と食べなくなる。人間にはこうした仕組みが備わっています。お菓子が止まらなくなる理由は、栄養素に強い偏りがあり、不足する栄養素が満たされないからと考えることもできます。定食を食べることで、適量で満たされた経験はありませんか?いろいろな食材からなる定食では、栄養素を網羅しやすいからでしょう。

よく噛むことのメリットは、それだけではありません。よく噛むと、体が脂肪燃焼モードに入ります。食べるという行為自体が代謝を上げますが、これを食事誘発性熱産生と言い、よく噛むとこれが高まるのです。よく噛むグループと噛まないグループに分けて調べると、よく噛むグループの方が消費カロリーが多かったというデータがあります。それによると、食後3時間あたり、噛まないグループが15kcalなのに対し、よく噛むグループでは倍の30kcal消費されたと言います。これは年間にして体脂肪2kgも多く燃やすことができるかもしれない大きな差です(東京工業大学大学院社会理工学研究科・林直亨教授らの研究)。若いころは痩せていたのに、年とともに、いつの間にか太っていたというのは、多くの人が経験することでしょう。そういう人は、よく噛むことで若い頃と同じ体重に戻せるかもしれません。


著者プロフィール

岡田 隆(オカダ タカシ)…日本体育大学教授、博士(体育科学)、理学療法士、ボディビルダー(WNBFプロマスターズ世界一)、骨格筋評論家(バズーカ岡田)。 都立西高校、日本体育大学卒業、同大学院体育科学研究科修了。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。 トレーニング科学、スポーツ医学を専門的に学び、身体作りのスペシャリストとして活動。 究極の実践研究としてボディビル競技を続けており、2023年にはWNBF世界選手権プロマスターズ部門で優勝。 指導者としては、2012年から日本オリンピック委員会強化スタッフ(柔道)、柔道全日本男子チーム体力強化部門長を務め、2016年リオデジャネイロオリンピックでは、史上初となる柔道男子全7階級メダル制覇、2021年東京オリンピックでは史上最多5個の金メダル獲得などに貢献。 これまで、文部科学省スポーツ功労者顕彰、日本オリンピック委員会奨励賞、讀賣新聞社日本スポーツ賞など受賞多数。 日本の国力を底上げすべく、身体づくりの啓発活動に尽力。受験生やビジネスパーソンに向けて、心身及び脳のパフォーマンスを高める技術を指導。

著=岡田隆 /『日体大教授が教える 「脂肪燃焼」食 運動0でお腹が凹む!』

この記事に共感したら

Information

本ページはアフェリエイトプログラムによる収益を得ています

おすすめ読みもの(PR)

読みものランキング

読みものランキングをもっと見る

レシピランキング

レシピランキングをもっと見る

レタスクラブ最新号

レタスクラブ最新号詳細