数値化すればストレスは活用できる! メンタリストDaiGoが教えるメンタル強化術(2)【連載】

#くらし   
自分の変化が数字で見える! ストレスは数値化して有効活用しよう


1週間に1回、自分の感じているストレスを数値化してみませんか? ストレスの限界レベルを10、ほぼ気にならないレベルを1とし、1週間ごとにチェックしてみましょう。ストレスがどのように変化しているかわかれば、自分が上手にストレスを使えるようになっていることが実感でき、ストレスが役に立つということがわかります。

人間の心理に詳しい『ストレスを操るメンタル強化術』の著者でもあるDaiGoさんに解説してもらいました。──全4回のうち第2回目をお送りします。

まずはマインドセットでストレスの見方を変える


ストレスには、体をむしばむ効果も確かにありますが、一方で自分を奮い立たせて集中力を上げたり、テストのスコアを上げたり、免疫力を高めたりする効果もあるということが、最近の研究によってわかってきました。

そして、ストレスを味方につけるためには、ストレスをいい方向にはたらかせる必要があります。そのためには、ストレスに対する考え方、感じ方を変えていくこと。これによってストレスの中に希望を見出していけばいい。これが、マインドセットです。マインドセットを介入させることによって人の行動は変わり、行動が変わることで、目標の立て方や物事の選択の仕方も変わっていきます。

マインドセット介入は、心理学にもとづく科学的な手法です。とはいえ、決して難しいことではありません。たとえば、強いプレッシャーを受ける中で成果を出したスポーツ選手や、逆境を体験しながら成功した起業家の体験談を、本で読んだり、ドキュメンタリー映像で見たりすることがあると思います。

そのときに、「ああ、人って変われるんだな」「つらい状況に置かれたとしても、それはいつか変化していくものなんだ」「一度や二度の失敗で諦めるのはもったいないってことだよな」といった感想が浮かんでくるでしょう。そうしたら、その感想を自分の言葉で紙に書いてみてください。

実は、これはすでにマインドセット介入のエクササイズになっているのです。成功ストーリーや自己啓発本を、読んで終わりにするのではなく、そこから得た「人は成長できる。自分もこういうふうにしたら成功できるんだ」といった実感を、自分の言葉に落とし込むこと。ほんの数分でできるエクササイズですが、これを実践し始めると、長期的に自分の考え方やマインドセットを変えていくことができるのです。

このように、マインドセットは、ごく簡単で身近なところから始められるものである、ということをまず知っていただきたいと思います。

ストレスは数値化して活用せよ


マインドセット介入には、シンプルで効果の高い方法がたくさんあります。たとえば、スタンフォード大学のグレゴリー・ウォルトン教授が提唱しているのは、新しい考え方を定着させるための、こんなマインドセット介入の方法です。

ここでは、「ストレスは自分の役に立つ」という考え方を定着させたいとしましょう。まずはこの考え方を受け入れた上で、そこからストレスの変化をチェックしていきます。サイクルは1週間に1回程度でいいので、自分が感じているストレスを数値化してその推移を見るのです。

ストレスの限界レベルを10、ほぼ気にならないレベルを1として、たとえば第1週の人間関係のストレスが9だったとしましょう。それでもがんばって、「ストレスは自分の役に立つ」という考え方で1週間を乗り切ったら、第2週には8ぐらいになった。もう1週間たったら6になり、さらに5になって……というように、自分の中でのストレスの経過をチェックしていくのです。

こうすることで、「ああ、自分はどんどんストレスを上手に使えるようになっていくな」と実感できます。すると、「ストレスは実は自分の役に立つ」という新しい考え方を定着させることができるのです。

新しい考え方を定着させるためは、自分の変化を数値化しながらチェックしていく。シンプルですが、確実にマインドセットを変えてくれるエクササイズです。

苦手な人、イヤな相手は利用価値が高い


ストレスの源はいろいろありますが、特に避けがたく、厄介なのは人間です。イヤな仕事だったら断ることもできますし、うまくサボることも場合によっては可能ですが、ストレスを与えてくる人はそう簡単に排除するわけにはいきません。

そこで、ストレスを与えてくる人に対処するマインドセット介入の出番です。自分のストレス要因になっている苦手な人、イヤな相手を、「ストレスを与えてくれる人」と言い換えてみるのです。もちろん、心の中でです。

この言い換えだけで、「ストレスを与えてくれる人がいるおかげで、ストレスを活用する練習ができる」、という考え方ができるようになります。つまり、苦手な人、イヤな人を利用することによって、ストレスを強みに変えることができるということです。こうなると、今までは大げさに言えば「脅威」だった相手が、自分を変えるための材料にすぎない、ということになってしまうわけです。

もちろん、こういう人は、上手にスルーできるのならしてもかまいません。ただ、避けたり意識から遠ざけようと努力するよりも、その人が与えるストレスを自分の中で自分の強みに変えることができるほうがより効率的です。何より、相手を利用するという意識でかかれれば、もう何も恐れるものはなくなります。ストレスのもとになるような相手こそ自分にとっては好都合なのですから。

今になって気づくことですが、私はかつていじめられていたときに、無意識のうちに同じことをやっていたのだと思います。小1から中2までいじめられていなければ、私は今、メンタリストになっていなかったでしょう。著作やコンサルティングなどを中心とした自由な働き方、思い立ったら急に海外に行ったりできるような生活はしていなかったでしょう。

あのころいじめられていなかったら、こうしてメンタルを強化する方法論を読者のみなさんに発信することもなかったはずです。その意味では、いじめてくれた人、いじめを見て見ぬふりをしてくれた先生が今目の前に現れたら、感謝してもいいくらいです。

もちろん、いじめられたことは過去の私にとってはトラウマになるレベルの体験です。だからこそ、その体験に意義を見出していくことがいかに大事かということは、実感としてよくわかります。その上で、科学的にも証明されている方法でもあるわけですから、このマインドセット介入は自信を持っておすすめできるのです。

見方を変えればストレスも自分を変えるための材料になる、というのは新しい考え方ではないでしょうか。DaiGoさんの解説を参考にしてストレスを有効活用していきたいですね。

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Information

『ストレスを操るメンタル強化術』

ストレスを操るメンタル強化術


この本は、メンタルが弱い人に、「強くなれ」と要求するような本ではありません。メンタルが弱い人だからこそ抱えているストレスや自分の「弱点」を活かして、無理なく強いメンタルを手に入れるメソッドを提案する本です。

▼単行本情報はこちらから

著者:メンタリスト DaiGo
ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。現在では、企業を対象にしたコンサルティングやセミナー、プロダクト開発を手がけ、作家、大学教授としても活動している。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は、累計200万部を超える。

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