洗濯と日向ぼっこ vol.6-3「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ

#くらし   
山崎ナオコーラさんのエッセイを連載中! 今回はvol.6-3をお届けします


雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!

家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。

vol.6「洗濯と日向ぼっこ」を4回に分けてお届け。今回は第3回目をお送りします。

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 ここは定期借家なので、あと一年くらいで引っ越さなければならない。五年前にこの部屋を借りる契約を交わした際、楽天的な私は五年くらいで一戸建ての初期費用が貯まる気がしていたのだ。小説やエッセイが売れるのではないかと思っていた。でも、そんなことは起こらなかったし、しかも、そう考えるのにとても疲れた。そもそも、不純だ。売れる、と考えるのは、もう一切止めよう、そう思ったら、ちょっと楽になってきた。仕事は一所懸命に、とにかく良いものを書くように、真面目にコツコツ努めるだけだ。たくさんの金はいらない。来年、今より家賃の安い賃貸マンションを探して引っ越し、その数年後、子どもが小学校に入学する時期を目標に、安い中古マンションが購入できたらいいな、という方向に夢を軌道修正した。

 日差しや風が無料なのは、本当にありがたい。今や、水も土地も有料なのに、日差しや風は誰もが自由に使える。幸せだなあ、と思う。

 小さな庭の中で、二歳児はにこにこしながら鉢植えやホースで遊んでいる。

(続く)

文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ

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Information

■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、小説『美しい距離』、絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき)などの著作がある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
山崎ナオコーラさんのTwitter

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