ローリングストック vol.7-3「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ

#くらし   
 山崎ナオコーラさんのエッセイを連載中! 今回はvol.7-3をお届けします


雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!

家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。

vol.7「ローリングストック」を4回に分けてお届け。今回は第3回目をお送りします。

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 私は、月一で交換まではできていないのだが、米や水や乾麺を余分に置くぐらいならストレスを感じずにできるので、ちょっと意識する程度で続けている。

 すると、考え方が少しずつ変わってきた。備蓄用の食品ばかりを見ていたとき、それを実際に食べることがなかったから、災害時というのは切り離された非日常の時間で、今とは地続きではないような気がしていたが、余分な米や水を見るときは、いつも食べているし、「極限状態でこの水を少しずつ飲んで生き延びる日が来るかもしれないなあ」「東日本大震災のときは鍋で米を炊いたなあ」「まあ、ごはんが炊けなくても、水と塩があれば、数日はなんとかなるのかなあ」なんていう風に想像が膨らみ、未来や過去が今と繋がっている感じになった。日常の中に災害がある。

 備蓄をしていても死ぬときは死ぬだろう。決して死ぬことが悪いことだと思っているわけではない。死ぬことになったら、あきらめる。でも、最後まで、ごはんを食べる方向は向いていたい。

(続く)

文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ

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Information

■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、小説『美しい距離』、絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき)などの著作がある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
山崎ナオコーラさんのTwitter

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