怖い気持ちは否定しなくていい! 失敗をプラスに変える方法 メンタリストDaiGoが教えるメンタル強化術(3)【連載】

#くらし   
キーワードは「記録すること」


失敗や挫折を生かすには、それを忘れないことや反省することも大事ですが、一番やったほうがいいのは「記録する」ことです。「何を考えたか」「何をしたか」「終わってから何を考えたか」を書き込むことで、なぜ失敗したのかを客観的に見ることができます。そうすれば次の挑戦しようと思うことに活かすことができますよ。

人間の心理に詳しい『ストレスを操るメンタル強化術』の著者でもあるメンタリスト・DaiGoさんに解説してもらいました。──全4回のうち第3回目をお送りします。

失敗を恐れる気持ちも否定しない


失敗を武器とすることと、失敗を恐れないことは別です。失敗を恐れることは悪いことではありません。失敗は、誰でも怖いのです。

起業のためにためらわず会社を辞める人、これまでとまったく違う新規事業に乗り出す経営者、海外でプレーするために単身、日本を飛び出すスポーツ選手……といった人を見ると、つい「あの人はチャレンジすることが怖くないんだろうな」などと思ってしまうでしょう。しかし、それは間違いです。どんなに大胆に見える人たちであっても、内心はとてつもなく怖がっているのです。

会社の債務を連帯保証して、すべてを一身に背負って新しいビジネスに挑戦している起業家など、ものすごい恐怖を感じているでしょう。「逃げたい」という気持ちと、「いや、逃げない」という気持ちが、常に心の中でせめぎ合っているのだと思います。

失敗が怖いのは誰でも同じ。それでも、逃げずに挑戦する人たちは、逃げると先々がより厳しくなることがわかっているだけです。前述したリスクの先送りの問題をしっかりと認識しているのです。

厳しい現実から逃げれば逃げるほど、あとになって手に負えないような難題になって戻ってくる。ならば、今挑戦して、たとえ失敗しても多くを学んだほうがいい。そのことがわかっているから、彼らは「今やる」という選択を取っているのです。

記憶ではなく記録を活用せよ


失敗や挫折から学び、それを活かしていく具体的なエクササイズを紹介します。といっても、特別なものではなく、誰もが日常生活や仕事でやっていることの応用です。すなわち、記録することなのです。

失敗や挫折を活かすためにすべきこと、というと、一般的には「振り返って反省点を考えること」や「失敗をしっかり心に留めておくこと」が大事だとされます。確かにそれも悪くはありませんが、一番大事なことがそれ以前にあるのです。それが記録をとることです。

人間は過去を正確に思い出すことが苦手な生き物です。記憶はすぐに失われたり、改変されたりしたりします。たとえば、初恋の思い出がいつまでも素敵な記憶として残っている人は多いでしょう。これは、都合の悪い記憶はどんどん消えていって、覚えておきたい記憶だけが残るからです。

これが悪い方向に働くと、失恋したあとで付き合っていたころの思い出がどんどん美化されてしまい、失ったものを過大評価するようになって苦しむ人もいます。また、この記憶のメカニズムを利用した説得の技法もあります。スリーパー効果と言われるものです。

たとえば、プレゼンや商談の最中には「説得力がないな」とか「いや、それは違うだろう」と思っていたのに、だんだん時間がたつにつれて説得力を感じるようになってしまうのです。聞いた話のうち、説得力がなかった部分は面白くないから記憶に残りづらく、次第に薄れていきます。マイナスの部分が記憶から消えたことによって、全体に説得力が出てきてしまうわけです。

このように、覚えておきたいことだけが残り、それ以外は忘れてしまう人間の記憶力は、使いようによっては役に立つこともあります。しかし、失敗から学ぼうとしているときには、記憶が失われたり、都合よく改変されては困ります。実際に起きたことと向き合わなくては、そこから学ぶことはできないのですから。

だから、失敗・挫折を活かすためには、記憶に頼らず、記録をとるべきなのです。失敗したときには、その記憶がまだ全部残っている間に記録しましょう。より理想的なのは、何かに挑戦するときには同時進行でその一部始終を記録に残しておくようにすることです。

失敗したあとで記録するのは精神的に少々きつい場合もあるでしょうから、その意味でもできるだけ同時進行で記録するのがおすすめです。記録さえしておけば、あとで心が落ち着いてから、じっくりと振り返ることができます。

挑戦するときには、行動記録をセットにする


ただ、そうは言っても、毎日の行動を詳しく日記につけるのは難しいでしょう。時間もかかりますし、根気も必要です。そこで、スマホの時間管理アプリやスケジュール帳などに、何をどれぐらいの時間やっていたかだけでもざっくりとメモしておくといいでしょう。

私がやっている方法は、毎日ひたすらノートをとることです。たとえば、ニコニコの生放送の前には、その日に話す予定のことを黒で書きます。そして、放送が終わったあとはペンの色を変えて、「ここはもっとこういうふうに説明すればよかったな」とか「この内容はコメントの反応がよかった」といったことを書き込んでいきます。これで、「何を考えたか」「何をしたか」「終わってから何を考えたか」がすべて記録できるわけです。

こんなふうにノートをつける作業は、正直に言うとそれなりに大変です。しかし、自分にとって重要な挑戦(それは会社の仕事かもしれませんし、起業や転職かもしれませんし、趣味かもしれません)についてだけでもこれをやっておくと、失敗をしたときに貴重な記録が残ることになります。その記録こそ、失敗を強力な武器にしてくれるものなのです。

「記憶ではなく、記録を活用」。覚えておきたいですね。

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Information

『ストレスを操るメンタル強化術』

ストレスを操るメンタル強化術


この本は、メンタルが弱い人に、「強くなれ」と要求するような本ではありません。メンタルが弱い人だからこそ抱えているストレスや自分の「弱点」を活かして、無理なく強いメンタルを手に入れるメソッドを提案する本です。

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著者:メンタリスト DaiGo
ジェネシスヘルスケア株式会社顧問。新潟リハビリテーション大学特任教授。慶応義塾大学理工学部物理情報工学科卒。人の心を作ることに興味を持ち、人工知能記憶材料系マテリアルサイエンスを研究。英国発祥のメンタリズムを日本のメディアに初めて紹介し、日本唯一のメンタリストとしてTV番組に出演。現在では、企業を対象にしたコンサルティングやセミナー、プロダクト開発を手がけ、作家、大学教授としても活動している。ビジネスや話術から、恋愛や子育てまで幅広いジャンルで人間心理をテーマにした著書は、累計200万部を超える。

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