家事を教える vol.8-4「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ

#くらし   
山崎ナオコーラさんのエッセイを連載中! 今回はvol.8-4をお届けします


雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!

家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。

vol.8「家事を教える」を4回に分けてお届け。今回は第4回目をお送りします。

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 数日後、私はインターネット通販サイトでいろいろ検討し、危なくなさそうな子ども用包丁を購入した。

「お料理しよう。お手伝いする?」

 と尋ねると、

「お料理、するねえ」

 子どもは喜んでキッチンに入ってきた。

「卵を割ってくれる?」

 と卵を渡すと、

「卵、割る」

 子どもはガンガンと皿に打ち付け、先の方にヒビが入るとそこから指でほじくり出すというスタイルで中身を出してくれた。殻のカケラが混じっている。

「包丁でキュウリを切ろうねえ」

 新品の子ども用包丁を出すと、

「キュウリ、切るねえ」

 子どもは笑顔で手をのばす。ハラハラしながら子どもの手の上から包丁を握り、ほとんど私の力でキュウリを切る。

 子どもとの料理は、手伝ってもらえている感覚はまったくなく、時間と手間が倍増したが、楽しい気持ちは湧いた。

 家事が苦手な私なので教えるというのも僭越だが、子どもには自活の力を身につけてもらいたいので、楽しんで続けてみたい。

(続く)

文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ

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Information

■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』、小説『美しい距離』、絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき)などの著作がある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
山崎ナオコーラさんのTwitter

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