つくろいもので癒される vol.9-4「考えごとで家事を楽しむ」 山崎ナオコーラのエッセイ

#くらし   

雑誌『レタスクラブ』で連載中の山崎ナオコーラさんのエッセイ「考えごとで家事を楽しむ」をレタスクラブニュースでも特別公開!

家事に仕事に子育てに大忙しの毎日。実体験に基づいた言葉で語られるからこその共感や、生活を楽しむためのヒントが隠されています。

vol.9「つくろいもので癒される」を4回に分けてお届け。今回は第4回目をお送りします。

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 編み物に味をしめた私は、縫い物も本格的にやりたいと考え出し、「裁縫を趣味にしたいから、裁縫箱を買ってくれ」

 と夫に頼んだ。でも、経済力のない夫なので、裁縫箱はお菓子の空き缶になった。ヨックモックのシガールが詰まっていた四角い空き缶に、百円ショップで買ったプラスティックの仕切りを詰めて、針山や糸やボタンを仕舞った。

 とはいえ、仕事や育児に追われていて、裁縫を本格的な趣味にすることはまだできていない。

 それで、ちょっとしたつくろいもので夢中になってしまう。ボタン付けなんかを始めると、縫い物ジャンキーのように、「もっと縫いたい。ぼろぼろの服は他になかったっけ?」となる。

 今も、「ああ、本当はエッセイを書かなければならないのに」と思いながら、「もっとつくろいものはないか」とタンスを開

けている。

文=山崎ナオコーラ イラスト=ちえちひろ

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Information

■著者:山崎ナオコーラ
1978年福岡県生まれ。埼玉県育ち。2004年『人のセックスを笑うな』で作家デビュー。エッセイ集に『指先からソーダ』『かわいい夫』『母ではなくて、親になる』などがある。目標は「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。初めての絵本『かわいいおとうさん』(絵ささめやゆき、こぐま社)も刊行。
山崎ナオコーラさんのTwitter

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