片づけとは「人生を豊かにすること」 モノを元に戻す技術(1)【連載】 画像(1/2) 片づけとは何か、考えたことありますか?

インターネットなどから日々発信される情報に振り回され、いらないモノにも関わらず、整理整頓に、多くの時間を費やしている、現代を生きる女性たちへ。「シンプルライフ」の体現者で、ベストセラー作家のドミニック・ローホーさんが満を持して贈る、豊かな人生を手に入れるための片づけ術のすべて。

片づけをすることによるメリットから、片づけの準備に至るまでの段階を『モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく』から全11回までお届けします。今回は第1回目です。

片づけとは何か?

“片づけるとは、並べること。整理整頓すること。” ──『プチ・ラルース』(*訳注:フランス語の辞書)による定義

かつて、片づけ術は母から娘へと伝えられていました。5段の引き出し付き縦長のたんす、開き戸付きの衣装だんす、食器棚、裁縫台など、モノのカテゴリーごとに家具があり、それごとに母から娘へ片づけの方法を伝えていけばよかったのです。室内の家具調度類は昔、良識に基づいたルールに見合ったものでした。すべてがよく考えられ、大きさで分けられ、ぴったりに作られていたのです。そうして、モノにより収納の仕方が異なることを学び、ハレとケの器を区別することなどを学んでいきました。

これは、同じ文化の下では、代々家にあるモノが変化することはほとんどなかったからです。しかしながら今日では、もはやそんなことはありません。私たちはあらゆる種類のモノを大量に所有することとなり、モノも絶えず変化しています。コンピュータはファックスに取って代わりました。昔のテレビ・ステレオラックは薄型テレビにはもう役立ちません。要するに、新しい技術が登場し、それ以前の技術が姿を消すのに応じて、私たちは収納方法を改めることを余儀なくされたのです。その都度考え、想像し、創造することが必要です。そして、モノが変わっても、私たちの先祖がそうしていたように、整った空間で首尾一貫して生きる方法を見つけなければならないのです。

【片づけとは、予測して備えること】

“片づけるとは、モノを将来使いやすくすることだよ。” ──日本人の祖父から孫へのアドバイス

片づけの本来の目的は、次に使用するとき、目をつぶっていてもすぐに見つけられるようにモノを戻すことです。鍵をいつも同じ場所に置いていたら、翌日、必ず見つけることができます。つまり片づけとは、いつも何かを探さなければならなかったり、置いたと思った場所に見つけられなかったりといったことがないようにすることです。絶えずつきまとうたくさんの小さなストレスの元とは一生涯無縁でいるために。片づけは、自分や他人のために時間を節約することにつながります。

【片づけと視界からモノをなくすことは別のこと】

あなたが必要なフライパンを取りだすとき、積み重なったフライパンをもう一方の手で持ちあげなければなりませんか? もしそうなら、それは戸棚の中が「片づいて」いないからです。たとえそのフライパンの山が、見た目には美しく重ねてあったとしても。

片づけとは、ひとまず無条件にモノを段ボール箱に入れたり、棚に詰めこんだりすることであるように思えるかもしれません。もちろん、ずらっと洋服がかかっている奥にある箱の底に、モノをしまい込むのは簡単です。けれども、その箱は隠れていて哀れなことに役にも立たないのですが、間違いなくそこにあるだけでなく、何よりもクローゼットを開けるたびに私たちの心にその存在を主張してくるのです。

片づけとは、並んだ本をぎちぎちに並んだ別のところに置き直そうとして一冊抜きだすとドミノのように崩れる本の山を持つことでもありませんし、アイロンがけしたリネンを美しく積み重ねてその前で誇らしげに気取る(3ヶ月ごとに!)ことでもありませんし、来客が磁器カップをうっとりと持ちあげて見たあと、それをミリ単位にこだわってガラスケースの中に戻すことでもありません。また、片づけとは、「散らかったもの」を別なふうに配置することでもありません。そうではなく、クローゼットの奥も含め家にあるものすべてが、むだな動作や努力をせずとも、わかりやすく見渡せてすぐに手に取れるようにすることなのです。

【片づけのルール】

“私たちは自分が生きる道を必ずしも選べるわけではないが、その道をいかに生きるかを選ぶことは常にできるのだ。” ──ヴィクトール・フランクル

完璧な収納や秩序を手に入れるためには、まず自分の理性と知性を使わなければなりません。じっくりと考えられた整理整頓は、自立性を高め、努力を最小限に抑えてくれます。そしてこういう片づけができると、モノを取り出すのが楽になり、喜びすら伴うようになります。体も無意識に動くようになるほどです。

すなわち、私たちは習慣をひとたび身につけたら、もう気にも留めなくなるのです。そうした習慣にはもはやどんな努力も必要なくなります。寝る前に歯を磨いたり、パジャマを着たりするときに努力なんて必要ないのと同じようになるのです。

上手に片づけることは、暮らしが楽しく快適で楽になるように、精密な機器のシステムを部屋に合うように調整し、さまざまな条件を結び合わせるようなものです。そのためには、それぞれのモノをいつも「適当」に置いてしまわないで、モノに対する動作を見直す必要があります。装飾の基礎知識も必要です。整理整頓とはモノを片づけることですが、同様に、モノを見つけだすことでもあるのです。

最良の片づけとは、さまざまな行動を観察した結果生まれるもので、主な分類項目には以下のようなものがあります。

• 使用頻度

• 見た目のきれいさ

• 手にとりやすさ

• 使用場所からの近さ

• 収納する中身の大きさと収納用品の大きさのバランス

著=ドミニック・ローホー 翻訳=笹根 由恵