浪費をしなくなる!?「片づけ」による数々の利点 モノを元に戻す技術(3)【連載】

インターネットなどから日々発信される情報に振り回され、いらないモノにも関わらず、整理整頓に、多くの時間を費やしている、現代を生きる女性たちへ。「シンプルライフ」の体現者で、ベストセラー作家のドミニック・ローホーさんが満を持して贈る、豊かな人生を手に入れるための片づけ術のすべて。
片づけをすることによるメリットから、片づけの準備に至るまでの段階を『モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく』から全11回までお届けします。今回は第3回目です。
片づけのメリット
【空間は都会人のぜいたく】
大都市では、1平方メートルあたりの価格を計算するだけで、現代の大きなぜいたくの一つは空間であるということがわかります。地価がものすごく高いからです。片づけることができると、所有するものをより少なくすることができるだけでなく(自分が持っているモノがわかるので、「だぶり」がなくなります)、空間の節約にもなります。同じ量のモノでも、収納方法によって占める面積は異なります。キャビネットの中や棚の上に整理整頓されていたり扉の裏に引っかけられたりしている場合と、散らかっている衣装だんすの中や棚の上、床の上に放りだされている場合とでは異なります。
では、私たちは誰のために、これほど高い場所代を払っているのでしょう? 私たち自身のためでしょうか? それとも私たちが所有するモノのためでしょうか? 自分の所有物(多くの場合、処分しようと思ったときにはほとんど価値がないもの)をしまうためにトランクルームを借りている人は、年末にお金がどれほどかかったか計算してみるといいでしょう。騒がしい都会において、空間や静寂よりも価値のあるものなどあるのでしょうか?
【片づけると浪費しなくなる】
“片づけると浪費しなくなる” ──コリューシュ
片づけると、あらゆるものすべて認識することを余儀なくされます。どの本をとっておくか、どの食品ストックをゴミ箱に捨てるかなどです。そうすることで、自分自身について自問するようになります(これは成長です!)。「どうして一度も使わなかったこのスパイスを買ったんだろう? このブランドのハンドバッグをクレジットで奮発して買ったとき、私は何を期待していたのだろう? このブラウスを選んだとき、私は本当に自分らしいと感じたのだろうか?」と。
このとき感じる「後悔」や「罪悪感」は、マイナスではないはずです。それらは私たちに次のようなメッセージを送るために存在しているからです。「君は成長した。今、自分の好みがよりはっきりわかった。見かけに左右されなくなり、消費者運動の落とし穴をより自覚している」。言いかえれば、「より賢い生き方をするようになったし、広告の大きな誘惑に乗せられなくなった。君は自分自身の人生の主人になったのだ」ということです。片づけることで、より自分に耳を傾け、自分を知り、人生の質を高めることができるようになるのです。
【片づけることで、日々の暮らしを新たに定義し直すことができる】
“影ぼしもまめ息才でけさの春” ──小林一茶
片づけることで、自分のまわりを整理する気になるだけでなく、いくつかの自分の習慣を定義し直す気になったり、より意識的に生きる気になったりするのです。取りかかる前にマットレスのサイズに合わせたシーツを見つけ、破れたり染みがついたりしていない枕カバーを見つけ、といったような作業が必要になるとベッドメイキングをするのがうんざりしますね。そうではなく、定位置に整然と並んだリネンから、清潔でいい香りのするきれいにたたまれたシーツと枕カバーのセットを見つけられたら、なんてうれしいことでしょう!
片づけとは、まとめるだけではなく日常を整理し直すことです。自分の選択を見直し、優先順位を見直す、つまり何がもっとも重要かつ大切で、何が二番目で、何が不要なのかを考え直すことなのです。
もっともよく使う食器を知ることで、自分の食生活に気づきます。それはデザートボウルでしょうか? パスタ皿でしょうか? サラダボウルでしょうか? 私たちは少しずつ己を知るのです。私がもっともよく着る服はどれ? と。
すると、自分の生き方のちょっとした欠点に気づくこともできます。いらいらさせるけど、一見特徴がないのですぐには感じとれないような欠点です。「私のお茶の出し方は完璧かしら? 私が伝えたいおもてなしの心に合っているかしら? 思いがけない来客にもお出しできるお茶菓子は常備しているかしら?」
つまり片づけは、それを本当に実践した場合、自分自身の生き方を自覚するのに役立つのです。「外観(たとえば来客時に恥ずかしくないように部屋を片づけること)」と自分自身の「充足感」を切り離せるようになるのです。自分のためだけの充足感を大切にしましょう。
【家をきちんと片づけることは、自分の命を守ること】
大規模な自然災害や大事故、緊急事態が起こったとき、散らかった部屋にいては助かる見込みはありません。モノを所有しすぎると、管理しきれず、危機にすばやく対応できません。救急箱を見つける、入院したばかりの近親者や亡くなったばかりの近親者の身分証明書を見つける、停電になったらろうそくとマッチを見つける……。果たしてそれができるでしょうか?
大半の人の家では、所有するモノの3分の1か3分の2、もっと言うと90パーセントが不要だということを忘れないでください。必要不可欠なモノは、限りなく少ないのです。
あなたが持ち続けているモノは、必要だから持っているのでしょうか? それとも、ただ捨てられなくて持っているのでしょうか? 10年間触れずにいて、今後10年、20年、30年とおそらく使わないモノを、あなたはどうして取っておくのでしょうか?
著=ドミニック・ローホー、翻訳=笹根 由恵/「モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく」(KADOKAWA)
Information
モノを元に戻す技術 片づいた部屋があれば、大抵のことはうまくいく
フランス流モノに支配されない片づけメソッド。本書では、オーソドックスな片づけのテクニックに加え、箱やキャビネット、フック、カーテン等を最大限に活用する創意工夫の数々を提案します。一つひとつのモノを定位置に戻すと、結局は自分のための時間を手に入れることができるのです。
▼単行本情報はこちらから
著者:ドミニック・ローホー
著述家。フランスに生まれる。ソルボンヌ大学で修士号を取得し、イギリスのソールズベリーグラマースクール、アメリカのミズーリ州立大学、日本の仏教系大学で教鞭をとる。アメリカと日本でヨガを学び、禅の修行や墨絵の習得などをとおし、日本の精神文化への理解を深めてきた。
翻訳:笹根 由恵
フランス語通訳・翻訳家、フランス語・英語通訳案内士。オペラなどの歌劇からビジネス、各種スポーツの国際大会まで幅広い分野で通訳として従事。書籍の翻訳業務も行う。
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