長寿のカギを握る

地球はどうやって生まれたのか。気になりませんか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチクで、あなたの雑談を‟スケールアップ"!

『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第83回目をお送りします。


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長寿のカギを握る"命の回数券"テロメアとは?

老化を遅らせ、寿命を延ばしたいという人類の夢を実現するのでは、と注目されているのがテロメアの研究である。「テロメア」とは聞き慣れない言葉だが、染色体の端にある塩基のことだ。テロメアは細胞分裂を繰り返すたびに短くなり、数が減っていく。人間が生まれたときは1万5000ほどあるとされるが、35歳で半分ほどに減り、6000を下回ると染色体が不安定になる。そして2000になると、細胞がこれ以上分裂できなくなる「細胞老化」という状態になる。

人間の体をつくっている37兆個の細胞は、分裂し、入れ替わり続けているが、テロメアが減ると新たな細胞ができなくなる。そのためテロメアは、"命の回数券"と呼ばれているのだ。

テロメアが短くなると遺伝子が変異しやすく、がんなどが発症するリスクが高くなる。また、テロメアが減って短くなった人ほど脳が萎縮しやすいので、認知症や脳の機能の衰えを招きやすい。

これまでテロメアは短くなる一方だと考えられてきたが、テロメラーゼという酵素にはテロメアを修復し、短くなるのを遅らせたり伸ばしたりする働きがあることが判明した。これはつまり、「老化しない」ということである。ロブスターやある種の二枚貝はテロメラーゼを体内でつくる機能を持っており、なかには数百歳という長寿の二枚貝が発見されている。

人間の体内にはテロメラーゼをつくるしくみがないと思われてきたが、生殖細胞の中には例外的にテロメラーゼをつくるしくみが備わっていることが発見された。

どうすればテロメラーゼを増やし、テロメアを伸ばすことができるのかという課題には、医療業界も注目している。だが現在のところ、マウスを使った実験ではテロメラーゼを人工的にたくさんつくらせると、皮膚は若返ったように見えるが、がんもたくさん発生するという結果が出ている。

生活習慣や食事内容に気を配り、ストレスを軽減させると、テロメアが短くなるのを遅らせることができる。これを実践しつつ、研究が進むのを待つことにしよう。

著=雑学総研