100℃近いサウナでなぜやけどしないのか 眠れないほど面白い地球の雑学(84)【連載】
地球はどうやって生まれたのか。気になりませんか? 人間の身体の知られざる秘密など、思わずだれかに話したくなる理系のウンチクで、あなたの雑談を‟スケールアップ"!
『人類なら知っておきたい 地球の雑学』から、第84回目をお送りします。
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100℃近いサウナでなぜやけどしないのか
サウナで汗をかくと、さっぱりしていい気持ちになる。だが、サウナの中は90~110℃もの高温になっている。90℃のお湯なら、ちょっと触っただけでやけどするのに、どうしてサウナでは全身を高温にさらして平気なのだろう。
この理由はいくつもある。
まず、空気は水に比べて熱を伝えにくい、つまり「熱伝導率」の低い物質である。熱いお湯に触れると、皮膚もすぐその温度になるが、空気だとゆっくり伝わるので、かぎられた時間ならやけどをしないのである。
しかも、体の周囲にある空気の層はあまり動くことがないので、周囲の温度が高くても体はすぐには熱くならない。この厚さわずか数ミリの空気の層が、皮膚をしっかり守ってくれているのである。
サウナの中ではじっとしているのが原則だが、歩いたりすると熱く感じる。これは、皮膚を覆っている空気の層が乱れるためである。
サウナでかく大量の汗も、皮膚を守ることに一役買っている。そもそも汗には体温調節機能があって、かいた汗は皮膚を覆って水分の膜をつくる。水は熱を吸収する力は大きいが、温まりにくい性質があるため、皮膚が高温になるのを遅らせる。そして、かいた汗の一部は、高温の中でどんどん蒸発する。水が蒸発するときには、周囲の熱を気化熱として奪うので、体の熱もどんどん奪われて皮膚が冷やされる。
また、サウナの中は乾燥していて湿度が低いが、湿度が低ければ熱さにも耐えやすいのだ。蒸気を満たしたサウナもあるが、その温度は40℃ほどに保たれている。通常のサウナで湿度が高かったら、たちまちやけどしてしまうだろう。
ところで、サウナに入ったあとに体重を計ると、ぐっと減っている。だがこれは、汗をかいた分の水分が体から出ただけなので、水を飲めば、残念ながらもとに戻ってしまう。
著=雑学総研/「人類なら知っておきたい 地球の雑学」(KADOKAWA)
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人類なら知っておきたい 地球の雑学
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著者:雑学総研
珍談奇談の類から、学術的に検証された知識まで、種々雑多な話題をわかりやすい形で世に発表する集団。江戸時代に編まれた『耳袋』のごとく、はたまた松浦静山の『甲子夜話』のごとく、あらゆるジャンルを網羅すべく、日々情報収集に取り組んでいる。
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