年金は「繰り上げ」「繰り下げ」どっちがいい?年金のプロに聞いてみた 画像(1/4) 年金制度は3階建て。まずは年金の仕組みを知りましょう

「年金は繰り上げてもらった方がいいのか、繰り下げてもらったほうがいいのか」、「夫が亡くなったらどうなるのか」などの気になる疑問に、年金に詳しい社会保険労務士の望月厚子さんに答えてもらいました。


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公的年金は、終身または一定期間にわたり、毎年決まって受け取ることができます。年金には強制加入の国民年金と厚生年金保険、そして任意加入の企業型確定拠出年金や国民年金基金などがあります。


1階が国民年金、2階が厚生年金、3階が公的年金に上乗せできる年金です。


"年金は3階建て"といわれますが、この1階部分に当たるのが、20歳以上の全ての人が加入する国民年金です。会社員や公務員の人などは、勤務先で厚生年金にも加入しており、この部分が2階部分です。任意となる3階部分は、公的年金に上乗せできる年金です。


例えば、2017年1月から対象者が拡大し、20歳から60歳のほぼ全員が加入できる個人型確定拠出年金「愛称iDeCo(イデコ)」などです。iDeCoは、老後の資産形成を目的に自分で金融機関を決めて、定期預金や投資信託などの金融商品を選び、一定額の掛け金を60歳まで払います。掛け金は全額所得控除の対象で、60歳以降に幾ら受け取れるかは、金融商品の運用結果次第です。

年金は「繰り上げ」「繰り下げ」どっちがいい?年金のプロに聞いてみた 画像(3/4) 年金制度は3階建てになっている

年金はどんな人がもらえる? 繰り上げと繰り下げどっちがいいの? 年金Q&A


Q 老後の年金はどんな人がもらえるの?

A 国民年金を納めた期間などが10年以上でもらえます


老齢年金をもらうためには、必要な資格期間があります。例えば、国民年金や厚生年金の保険料を納めた期間や、会社員などの妻が対象の第3号被保険者であった期間を合算した場合に10年以上あることです。以前は、この期間が原則25年以上でしたが、2017年8月1日から10年以上に短縮されました。短縮によって、老齢年金を受け取れる人が拡大しました。


なお、厚生年金の加入者が対象の老齢厚生年金は、10年以上の資格期間を満たし、かつ1カ月でも保険料を支払えば上乗せされます。該当者にはすでに黄色の封筒などで案内が郵送されています。確認したい人は、最寄りの年金事務所などで相談してみましょう。



 

Q 年金の繰り上げと繰り下げはどっちがいいの?

A 一般的に健康に自信がある人は繰り下げです


国民年金の加入者がもらえる老齢基礎年金は、原則65歳からです。ただ、希望すれば60歳から65歳までの間で繰り上げたり、66歳以降に繰り下げることができます。


例えば「60歳からもらいたい」という人の場合、65歳でもらえる年金額を100%とすると、3割カットされた70%の年金額が一生続きます。カットされたことで年金の総支給額は約77歳より長生きすると、65歳からもらい始めるよりは少なくなります。


また、一度繰り上げをすると、後から65歳からの受給に戻すことができません。とはいえ、生活が大変だったり、病気をして医療費がかかったりという場合などは、繰り上げを検討することも大切です。


一方、繰り下げの場合です。「いまは仕事をしているから、仕事をやめてから年金をもらう」という人のケースで見てみましょう。もし、70歳からもらい始めたとすると、65歳のときの1.42倍の年金額が一生続きます。しかし、もらい始めてすぐに亡くなった場合は、繰り下げの恩恵を十分に受けられません。


このケースで繰り下げた場合、総支給額は約82歳の時点で65歳からもらうよりも多くなります。自分は健康に自信があって70歳からの受給でも経済的に大丈夫という人は、繰り下げた方がお得です。ただ、65 歳以降に繰り下げてもらう前に亡くなった場合は、本人に代わって生計を同じくしていた遺族が、65歳の本来もらえた年金を未支給年金として請求し受け取ることはできます。

年金は「繰り上げ」「繰り下げ」どっちがいい?年金のプロに聞いてみた 画像(6/4) 1941年4月2日以降に生まれた人の繰り上げと繰り下げの受給率(%)

※この記事は『毎日が発見』2018年2月号に掲載の内容です。