子どものやらず嫌い、どうやったら克服できる? 【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て   

梨花さんもInstagramで大絶賛の子育て本「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第1回目のお悩みはこちら。

 


【お悩み】


幼稚園年長の息子のやらず嫌いに困っています。今、幼稚園では鉄棒がブーム。周りの友達は、逆上がりなどもどんどんできるようになっているのに、息子は鉄棒に触れてみようともしません。誘ってみても、「今はいい」「ちょっと高いからイヤ」と断固拒否。何事にも警戒心が強すぎて、なかなか一歩が踏み出せません。一度やってみてイヤだったら、それは合わなかったから仕方ないと思えるのですが、やらないうちからイヤと言われてしまうと、本人の可能性も狭まってしまう気がして…。やらず嫌いをなくすには、どうしたらいいでしょう?(まりもさん・45歳)

【小川先生の回答】


■やらない=やらず嫌いではない

やらない理由をしっかりと持っている賢いお子さんですね。「今はいい」ということは、言い換えれば「やれると思ったらやってもいい」ということ。「高いからイヤ」と危険予測もできています。つまり、やらず嫌いなのではなく、よく観察してから行動に移すイメージトレーニング型の子なのです。警戒心が強いのも、“もしも”の場合を考えられる頭の良い証拠。それこそがこの子の特性であり、魅力といえます。ですから親御さんは、そういう子どもの特性を理解して、待ってあげてください。そのほうが、子どもの芽を潰すことなく、持ち前の能力を発揮できる子に育ちますよ。今やらないからといって、何の心配もいりません。

逆に心配なのは、“待てない”親御さんのほう。周りがみんなできているからと焦り、“今”できるようにならなきゃという時間軸にはめ過ぎてしまう傾向にあるようです。でも、よく考えてみてください。今、鉄棒ができないことが、本当にそんなに困るのでしょうか? 数年後にできたっていいし、例え一生できなかったとしても、何の問題もないはずです。

■“やらない”選択を認めてあげよう

近頃は、“他の子ができることはうちの子もできなくては”という風潮が、世間一般に蔓延しているように思われます。おそらく、社会の見通しが暗いから、みんなと一緒にできていないことに不安を感じてしまうのかもしれません。何か弱点があることに対して、過剰な恐れを抱いてしまう大人が実に多いのです。でも、思い出してみてください。自分たちが子どもの頃は、できる子もいれば、できない子もいたはずです。人には得意不得意があるのが当たり前で、そういう色々なタイプの子たちとの関わりの中で、育ち成長してきたのではないでしょうか。

まずは、親である自分自身の不安感、その根っこにあるものは何なのかを整理してみましょう。そして、自分の不安感のレンズを通してではなく、子どもの行動そのものを素直に見るように心がけてください。自分の問題と子どもの問題をごっちゃにしない。そうすれば、子どもとの関わり合い方が、もっとわかりやすくなるはずです。今の子どもの行動は、“やらない”という選択をしているんだとわかってあげるだけでいい。“やらない”と決めるその決断力を、ほめてあげた方がよっぽど伸びますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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