子どもは時折、親にも言えない繊細な悩みを抱えることがあります。

落ち込んだ子どもは、ふさぎこんでしまいがち。話を聞き出そうとしても、話しかければかけるほど答えてくれない…そんな悪循環におちいることも。


だけど、親としてはなにかしらで子供をサポートしてあげたい。そんな時、子どもを困難から救うための1つの考えがあります。

もし子どもが深い悩みを抱えていたら――親が一番の「わかってくれる人」になるために 画像(1/3) 子どもに伝えたい考えを物語形式で展開

◆悩んでいる子どもを援助するために

『折れない言葉を育てる いのちの授業』(KADOKAWA)の著者は、緩和ケアを専門に行うホスピス医として、地域の方々と支え続ける小澤竹俊さん。

その看取った人数は3000人以上にのぼり、「いのちの現場」と常に向き合っている医師です。


そこで学んだことを、複雑になっている人間関係、ひきこもり、不登校など…ある種の生きづらさを抱える子どもたちに向けて伝えたいと、2000年から「ホスピスから学ぶいのちの授業」として講演を小中高で600回以上行ってきました。


さらには、悩みが多様化している大人も含む全世代に向けた「OKプロジェクト(折れない心を育てるいのちの授業プロジェクト)」としても活動しています。


『折れない言葉を育てる いのちの授業』では、そのメソッドを生かし、中学生の悩みに、女性医師が応えていくというストーリー形式で、読みやすいのが特徴。中学生のリアルな悩みや心情が描かれていて、子どもたちはもちろん、親世代を読んでも、子どもとのかかわりにおいて新しい気づきを得たり、自分自身の心の在り方と再度向き合ったりする良い機会となるでしょう。


もし子どもが深い悩みを抱えていたら――親が一番の「わかってくれる人」になるために 画像(3/3) どうしたら「わかってくれる人」になれる?

◆子どもの「わかってくれる人」になろう

悩みを抱えている子どもは、親に心配かけないと口を閉ざすことも。そんな子どもから話を聞くときに知っておきたいのは、「自分の話を聞いてほしいのは、わかってくれそうな人にだけ」ということです。


本書によれば、その人の苦しみを100%わかってあげることは難しくても、「わかってくれる人」になることはできるそうです。


もし子どもが深い悩みを抱えていたら――親が一番の「わかってくれる人」になるために 画像(6/3) 「わかってもらえた」と思われる聞き方が有効

◆ちゃんと話を聴けていますか?

では、「わかってくれる人」になるにはどうしたらいいのでしょうか。

本書によれば、話を“聴く”ときの「反復」が有効だとか。


相手が話す言葉をていねいに拾い、話の最初に返すことで、「あなたは、こういうことを伝えたいのですね」と相手に聞こえるように返してあげる方法です。

たとえば、「つらかった」と言われたら「つらかったんだね」と返すように。

そうすることで、子どもは自分の話をしっかり聴いてもらえている、わかってもらえたと感じることができるのです。


相手の話を聴いているつもりが、じつは自分が知りたいことばかり聞いていた、話していた、ということが人にはよくあるそう。

苦しんでいる人は、話を聴いてもらうことで「わかってもらえた」と思い、それだけでも嬉しく感じるもの。親の立場からついアドバイスをしたくなりますが、まずは子どもの話を聴くことを優先したほうが、親子のコミュニケーションもより強まりそうです。


◆子どもを「笑顔にする」と強く信じて

他にも、本書には子どもが抱える悩みに向けての向き合い方や、「自分はこれで良い」と思える自尊感情の育み方が紹介されていて、とても参考になります。


物語の中で、医師が子どもに「今はとても苦しいかもしれない。でも必ずいつか笑顔になれる」と優しくもしっかり、声をかける場面が印象的でした。

親が子どもに、そう声かけできたら…「わかってくれる人」になれたら…子どもの未来はきっと開いていくはずです。


最初は子どもに反論されるかもしれませんが、そんなときこそ本書を手に取ってみて。迷いを確信に変えてくれる言葉が必ず見つかるでしょう。


たとえ苦しくても、必ず力になる人がいることを知っていてほしい――。

そんな想いを胸に、親が子に伝えたい一冊です。



文/吉田有希