ウルトラマンの妻の憂鬱…妻が夫の弱音に快感を得るワケ 男女のミゾを科学する(8)
ウルトラマンの妻
「ウルトラマンの妻になったことを想像してみて」。私は、よくこの話をする(ほかの本でも語っているので、〝再放送〟の方はごめんなさい)。
ウルトラマンである。何万年も向こうの、知らない星の生物の命を救いに、家族を置いて行ってしまうのである、この男は。妻としてはわけがわからないが、それが夫の使命だとしたら、「いってらっしゃい」である。地球に3か月の単身赴任? 大丈夫。そんなことで女は絶望したりしない。
しかし、ウルトラマンは英雄なので、きっと弱音を吐かない。たまに帰ってきて、黙ってご飯を食べて、また出かける。妻は、それが寂しいのだ。
自分がいなくたって、この人は淡々と生きていける。私なんかいてもいなくても、この人には関係ないんだわ……そんなふうに感じ出す。インタラクティブが生じない相手を、脳は遠く感じ、情が湧かなくなってくるのである。
ウルトラマンは、大切な人には、弱音を吐かなきゃ。
「今日、ここ、ゼットンに蹴られて痛かったんだ」みたいに。
妻が「えー、かわいそう、ふうふうしてあげるね」と言ってくれたら、「きみのおかげで、また戦えるよ」と返す。
たま~にそういうことがあれば、心の絆が結びなおせて、情が湧かなくなるなんてことは起こりにくい。
私がいなくちゃ生きていけない人。それ以上の甘美なコミュニケーションが、この世にあるだろうか。
きずなの中には、きずがある。
どこまでも正しく、どこまでも強い。そんなジュラルミン加工みたいな男に、「話を聞いてやる」なんて思われたって、なんだかマウンティングされたように感じるだけだ。
弱音というテクニックは、職場では多用しにくいが、「完璧な上司」がときにほろっと弱音を見せてくれたりしたら、それが最高の人間的魅力になったりする。
親子の間でだって一緒である。親だから「正しく、強く」いなければいけない、という呪縛から解き放たれよう。
親が見せる弱音は、人生の味わいを見せてくれる。自分の存在が親を支えているという自負は、子の自尊心になり、心の奥行きにもなるのだから。
大切な人にだけ見せる弱音は、コミュニケーションの最高の奥義だと心得よう。
著=黒川伊保子/「コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する」(PHP研究所)
Information
『コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する』
職場での行き違いや夫婦の仲違いが生まれる前に、多く発生しているのが男女のコミュニケーション・ストレス。その発生する仕組みやギャップを乗り越えるヒントをまとめた教科書が登場しました。『妻のトリセツ』が大ベストセラーとなった人工知能研究者が、メーカーで人工知能(AI)開発に携わったキャリアを生かして著した、コミュニケーションテキストの決定版です。
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