三人育児中の過酷な専業主婦に、夫が語るべきは…弱音!? 男女のミゾを科学する(7)
「ちゃんと言ったのに!」
「悩みを相談したのに冷たい!」
夫と話すとイライラするのは、男女間で脳の使い方に差があるからだった!?
ベストセラー『妻のトリセツ』で話題の人工知能研究者・黒川伊保子さんが、夫婦間で発生しがちな「男女のミゾ」の発生機序をやさしく紐解く『コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する』(PHP新書)。
夫婦間、家族間、友人同士や恋人同士、あるいは職場の同僚間でも、今日から使える対話のルールが多数紹介されています。
21世紀随一のコミュニケーションの教科書から、一部抜粋したものを全8回でお届けします。今回は第7回目です。
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心の対話の始め方 弱音を吐く
最後に、とっておきの奥の手を。
弱音を吐くのである。
先日、ある男性に相談を受けた。
――うちには12歳、7歳、2歳の子どもがいて、妻は専業主婦です。一日中家にいて、ママ友も多いタイプじゃないし、大変だろうなぁと思うので、話し相手になろうと努力している。「子どもたちは、どう?」「今日は何してた?」のように話題を向けるけれども、妻は億劫(おっくう)がって、あまり話をしない。かといって僕が自分の話をしても、上の空。最近は始終不機嫌で、「末っ子が育ったら、離婚したい。その日が楽しみ」と言い出す始末。どうしたらいいかわからない。
たしかに、3人の子育て真っ最中の妻は、心身共に過酷なまでに忙しい。そんな妻に、「今日はきれいだね」「会社のビルの植え込みにタンポポが咲いてた」なんて言っても「はぁ?」と言われるのがおちだ。
彼女と対話したいと思ったならば、弱音を吐くしかない。「今日、部下に、こんなこと言われてさぁ。とほほだよ」「階段を上がるおばあちゃんの荷物持ってあげたら、なんでエレベーターがないの、って責められた。駅員じゃねえよ」のように。
心をつなぐテクニックの奥義は、「弱音を吐いて、なぐさめてもらう」なのである。
そうアドバイスしたら、質問者の男性は「疲れている彼女に負担をかけたくない」と眉をひそめた。でもね、その心配はない。
脳は、インタラクティブ(相互作用)で活性化する。
自分の行為で、何かが変わる。これが最大の快感である。
つまり、一方的にしてもらうことより、「してあげて、相手に変化が起こる」ことのほうが、満足度が高いのである。
ときに、ネガティブ・インタラクティブ(相手が傷つく)をもって快楽とする邪悪なタイプもいて要注意だが、多くの人間は、ポジティブ・インタラクティブ(感謝される、喜ばれる)をもって快感を得る。
著=黒川伊保子/「コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する」(PHP研究所)
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『コミュニケーション・ストレス 男女のミゾを科学する』
職場での行き違いや夫婦の仲違いが生まれる前に、多く発生しているのが男女のコミュニケーション・ストレス。その発生する仕組みやギャップを乗り越えるヒントをまとめた教科書が登場しました。『妻のトリセツ』が大ベストセラーとなった人工知能研究者が、メーカーで人工知能(AI)開発に携わったキャリアを生かして著した、コミュニケーションテキストの決定版です。
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