わかりみがすぎる『主婦の給料、5億円ほしーー!!!』に主婦(主夫)たちが「そうだそうだ!」の大合唱のワケ

#くらし 
五億円欲しくなるくらい、大変な毎日です!


私たちを悩ませる「名も無き家事」。
名も無き家事とは、掃除、洗濯、炊事といった分かりやすい家事の他に発生する、細々とした家事のこと。見えにくいけど、やらないと生活に支障が出るので誰かがやらなければならない。さらにそこへ育児と仕事が加わったら⁉ 
そんなヘットヘトかつ報われない毎日の奮闘を描いたコミックエッセイが『主婦の給料、五億円欲しーー!!!』(KADOKAWA)。これは鳥谷丁子さんがTwitterに投稿した「たのしい育児教室」「出産レポート」をまとめ、描きおろし40ページを加えたもの。涙と笑いと共感が渦巻くこの作品が生まれた背景などについて、いろいろとお話を伺いました!


――まずタイトルがすごいインパクトです(笑)。「五億円」は、どこから出た数字なのでしょうか。

「第一話の漫画のオチに使ったのがきっかけなのですが、多くの方から共感いただいてそのままタイトルになっちゃいました! 巷で『五億円ほしい』というような意見を耳にしていたのと、いろいろ考えた結果、やはり主婦の「名も無き家事」に対するねぎらいは五億が妥当かなと(笑)。本当に五億円手に入れたら……仕事休むか辞めるかして、ハワイ旅行に行きたいです」

共感を呼びまくった「現実逃避したくなる気持ち」


――「明日からハワイ旅行に行きたい」と夫に申し出るシーンがありましたね(笑)。他にもちょいちょい登場する現実逃避描写にも、共感しかありませんでした。この漫画をTwitterに投稿するようになったきっかけがあれば教えてください。

「まずは社会から取り残される疎外感から、気を紛らわすためにというのがあります。
息子の首がすわるまでは外に出ることすら難しく、夫が帰ってくるまでは大人と話すことも出来ない毎日だったので。息子が成長していく記録を、形として残したかった気持ちもありますね。さらに、私自身かなり激しい反抗期を過ごしたり、自分の母親に対して『主婦は何にもしなくてお気楽だろうな〜』なんて思っていたりしたので、家事育児がこんなに大変なことをもっと早く知っていたら……ということを発信したかったんですよね」

親になって初めてわかる「あの気持ち」


――親になって初めて想像を巡らせる「あの時母が自分にこういった気持ち」にもホロリとさせられました。産む前後でこんなに違う! という点は、他にもありましたか?

「やっぱり育児の大変さですよね。出産前は『育児=子どもと遊ぶ』としか思っていたので、いかに自分が育児を他人事として生きてきたのかが身に染みて理解できました。またこうして漫画に描いたことにより、後からその時々を振り返ってみると、その時の自分は何が辛かったのか、どうしたら楽になったのかが整理できるようにもなりましたね」

お前の子どもだよ!「当事者意識」って本当に大切なんです


――レタスクラブニュースの連載に掲載されている「お前の子どもだよ」(エピソード名:たのしい育児教室)に、読者からは「そうだそうだ!」「わかる~!!」の大合唱でした。Amazonレビューでも「夫が100回読むべき」「産後クライシスを回避出来るヒントとしても、勉強になりました」なんて意見がありました。この作品は、育児中の母親が夫に怒りを覚える原因の多くに「当事者意識の欠如」があるというのをわかりやすく面白く解説くださっていました。こちらのエピソードを生み出したきっかけがあれば教えてください。

「ありがとうございます! 光栄です! きっかけは男性のフォロワーさんに『妻が妊娠中で勉強させてもらってます』とコメントいただいたことでした。
我が家の場合は、産後すぐの私は夫に何に対して怒っているのか説明する余裕もなく、夫は私に怒られてばかり。何をしたらいいのか分からないという、負のスパイラルにハマっていました。もしも時を戻して息子が生まれる前に伝えられるなら……ここを意識してほしい! と言う願いを詰め込みました。これから父親になる方に、届くといいなと思っています」

簡単な料理でも、小さい子供を抱えているとこんなに大変


――ワーママの奮闘を具体的に書いてくださっているのも、すごくありがたいポイントです。マンガにも登場していますが、未読の読者のため、鳥谷さんの「1日のタイムスケジュール」を改めて教えてください

「職場復帰していた頃のスケジュールはこうです。

・朝起きてすぐに息子の体温を測る。

※完璧に準備してから熱があることが分かり保育園を休んだことがあるため。

・息子が起きる前に化粧を済ます。

・お弁当と朝ごはん(と言ってもお弁当の残り)を作り、出勤の身支度を終えた夫に息子に朝ご飯をあげてもらう。

・息子の保育園の準備(連絡帳など)と送りは夫がやってくれました。

※職場復帰してしばらくは私がやっていましたが大激怒して朝保育園に送らない権利を勝ち取った。

・出勤し17時半までに保育園にお迎え。日によってはその足でスーパーへ買い物に行く。

・帰宅後家にご飯を炊いて入浴。洗濯しながら夕食を作っている間に夫が帰宅。

・夫がお風呂に入っている間に息子に夕飯を食べさせる。

・お風呂から上がった夫に息子の歯を磨いてもらう。

※油断すると夫は息子の歯を磨くのを忘れるので常に目を光らせている。

・就寝

だいたいこんな感じです。することは同じなのに、できる時間帯が日によってまちまちです(笑)。元気な日はこんな感じでしたが、体調が悪い日はもうボロボロで夫に夕食を買ってきてもらったり作ってもらったり……。お弁当作れなかったりお化粧出来ずに会社に行ったりする日もありましたよ〜!」

朝から坊やマンがベッドでう〇〇しちゃって布団洗って弁当作って布団干してバッタバタの結果!


――漫画では大変さの中にも笑いがちりばめられていたホッとしますが、どのエピソードも、わが身が実際にそうだったら…と想像すると震えがきます。実体験をマンガにするとき、心がけていることはありますか?

「おっしゃるとおり、出来るだけギャグを盛り込むようにしています。ただの『私はこんなに大変なの!』って苦労自慢にならないようにしたいと思って…」

――育児、ワーママとして辛いことを、我々はこの作品で笑いに替えてもらうことができました。鳥谷さんにも、そのような「救われた」というものはありますか?

「夫の周りの女性がみんな私の味方になってくれたことです(笑)!!」

――それは最高(笑)

「息子が生まれてすぐの頃は本当によく喧嘩をしていて、夫を家から叩き出していました。夫の逃亡先は、学生時代のバイト先や、夫の実家。するとそこにいる女性陣が『奥さんが正しい! 謝って許してもらいなさい!』と言ってお尻を叩いてくれるんです。これで夫が楽な方向に逃げることなく、とても助かりました。夫からしたら、ちょっと辛かったかもですが。
漫画の反響の中では『夫が育児に参加してくれるようになった』という声が本当に嬉しいです!」

――ちなみにこの漫画は、旦那様(作中に登場する「Pちゃん」)はご覧になってますか?

お弁当のおかず食べられた…!!(あるある)


「読んでおります! いつも楽しそうに読んでおり『Pちゃん可愛い』等のコメントをもらうとドヤ顔してきます(笑)」

ーーこれからも漫画内でたくさん活躍していただきたいです(笑)。ところで……なぜ登場人物が皆「鳥」なのでしょうか…? 

「私の旧姓をもじって『鳥谷』という名前にしたのがきっかけです。鳥はたくさん種類があるので、別の動物出さなくてもいけるなぁと思って鳥に統一したんです」

登場人物は全員「鳥」!


――なるほど、鳥であることで、生々しくなりがちなエピソードも楽しく、漫画ならではの楽しさを満喫させていただきました! 産後、夫婦間にも意識の差をはじめいろいろとあったかと思います。その違いやズレを補正するためのコツや、夫婦円満のポイントを教えてください。

「我慢しないことだと思います。多分人間って、我慢なんて出来ないんじゃないでしょうか?

夫に対してモヤっとしても『私がやればいいんだ』と、一時的に我慢してたとしても絶対にモヤモヤが残ると思うんですよ。それが重なって重なって……かなり時間が過ぎてから爆発する方が多いと思うんですが、そういう時の夫ってだいたい『今言われても』って言うんですよね。腹立ちますよね〜!! でも、夫の言うことも確かにその通りで、その時に言わなきゃわかりません。そして言えば、結構やってくれる。

『◯◯してほしい』と夫にお願いしたら嫌がられる、だから我慢して私がやる。ではなく、夫がやるまで言い続けることが、ズレを修正するコツかなと。だって家事も育児も2人のことなのに、夫だけ『やらない(やれない)』が通るのっておかしくありませんか? 私はそんなの絶対許しません!!! 
でも、そんな中でも夫婦円満のコツは、愛情表現を忘れないこと。『好きなんて言わなくても分かるじゃん』は我が家では禁止です(笑)」

――女性側にも耳が痛いお言葉ですね(笑)。名もなき家事や、母親ひとりに負荷がかかりがちなのは社会の構造にも問題があると思いますが、その辺を解消するアイディアがあれば教えてください。

「あまり大層なことは言えないのですが…義務教育に育児家事を組み込むのはどうでしょう。中学2年生くらいでバーチャル妊娠出産とワンオペ育児を1週間くらい体験すれば、望まない妊娠や育児に理解のない風潮についてなど、考える機会が増えると思います。実際にやってみないと大変さが分からないので、強制的にやらなきゃいけない機会を平等に与えてほしいと思っています」

――各家庭だけでなく、社会全体でこの問題に取り組んでいかれる未来を期待したいですね! 最後にこの本の読者へ、メッセージをぜひ。

「育児や夫に対して自分がなぜモヤモヤしてるのか、そのあたりを言語化出来ない方に是非読んでいただきたいです!!! そして少しでも育児中の皆様が、和やかに過ごせるようになりますように…」



文=木下頼子

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