せきがコンコン止まらない。「結核」の可能性も…

#美容・健康   
せきが2週間以上止まらない…風邪ではなく、結核の可能性も


結核というと、昔の病気というイメージを持つ人も多いのでは? 「結核は、明治時代から昭和20年代まで国民病と呼ばれるほど大流行した病気で、当時の日本人の死因第1位になるほど、多くの人が命を落としました」と教えてくれるのは、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生。

【人口の3分の1が感染している、世界的な感染症】


「その後、医療技術の進歩や栄養事情の改善により、かかる割合は減少しましたが、決して過去の病気ではなく、HIV、マラリアに並ぶ3大感染症の一つであり、世界では人口の3分の1が結核に感染しているといわれています。日本では、現在でも年間約2万人が発症し、そのうち約2000人が亡くなっています」。

「結核は、結核菌という細菌による感染症で、その多くが肺に感染します。結核に感染しても、免疫力の働きにより必ずしも発症するとは限らず、その割合はおよそ10%です。現在、日本で発症している患者の多くは70~80代の高齢者で、昭和の初期に感染し、体内で潜伏を続けていた菌が、体の免疫力が低下したことで再び活動を開始した結果、結核菌が増殖し、発症に至ると考えられます」。

それでは若い世代に結核の心配はないのでしょうか?「結核の感染率は、 50代でおよそ3%といわれていますが、若い世代にも感染が見られ、20~30代では1.3%と考えられます。感染経路は主に飛まつ感染で、発病者のせきやくしゃみに含まれる結核菌を吸い込むことで感染します。結核の主な症状は、長引くせき。そのほかにはけん怠感が現われたり、痰(たん)が出たり、ひどくなると発熱や呼吸困難に陥ることもあります」。

【せきが続く場合は呼吸器内科へ】


命に関わることもあるため、早めの処置が肝心です。「現代では、結核に対する一般的な認識が低く、結核患者を診たことがない医師も多いため、風邪やせきぜんそくなどと間違われ、適切な治療を受けないまま症状が進行してしまう、というケースも。そのため、せきが2週間以上続く場合は、結核を疑い、早めに呼吸器内科を受診しましょう」。

では、病院で行なう治療法は?「まずは、レントゲンや喀痰(かくたん)検査により、結核菌の有無を調べます。そこで結核と診断された場合、軽度であれば投薬治療を半年以上行ない、重篤な場合は入院措置を取ることも。また、感染の有無は、結核患者との接触の8週間後から血液検査で受けることができます。陽性と判断された場合、発症前であっても、薬を服用することで、将来発症する確率を5%に下げることができます」。規則正しい生活を心がけることも、予防のために大切です。

【結核を予防するポイント】


結核を予防するために心がけたいポイントを紹介します。

●長時間の飛行など密室空間に注意/結核の感染経路は、ほとんどが飛まつ感染で、発病者のせきやくしゃみを通じて感染します。感染力は実はそれほど強くはなく、飛行機の乗客に感染者がいた場合でも、6~77時間程度のフライトであれば、ほかの人に感染しなかったというデータもあります。しかし、免疫力が低下している場合は、時間にかかわらず感染する可能性があるため、飛行機や電車、映画館など、長時間密室で過ごす場合は、予防策としてマスクを持参するとよいでしょう。

●免疫力を高めて、感染を予防/疲労や睡眠不足などが原因で、体の免疫力、抵抗力が低下していると、感染リスクが高まります。睡眠を充分取り、体をしっかり休める時間を持つなど、病気に負けない体づくりに努めましょう。食事を急激に制限するダイエットなども、免疫力低下の原因になるので注意して。

●年に一度は健康診断を受診/健康診断の際に行なう胸部のレントゲンは、結核の発症の早期発見につながります。会社で受けない人も年に一度は健康診断を受けて、自分の健康状態をチェックしてみましょう。市区町村によっては無料もしくは割安で健康診断を受けられることもありますので、自治体に問い合わせてみましょう。

冷えてきたから風邪をひいたのかも!?の自己判断は禁物。せきが2週間以上続く場合は、早めに呼吸器内科を受診しましょう。【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】

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Information

教えてくれたのは:大谷義夫先生
池袋大谷クリニック院長。専門は呼吸器内科。東京医科歯科大学呼吸器内科医局長を経て、現職。著書に『長引くセキはカゼではない』(小社刊)。

イラスト=林ユミ 編集協力=彦田恵理子

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