「生理時の腹痛、体質のせい?」。いえ、体が発しているサインかも

ズキズキとしたおなかの痛みやけん怠感。女性の多くが毎月苦しんでいる「生理痛」。日常生活を正常に送れないほど、激しい痛みを伴なう生理痛は、子宮が発している危険サインかもしれません。
寝不足や偏った食生活…。不規則な生活が生理痛を招く
個人差はあれど、女性であれば誰もが経験する「生理痛」。腹痛や腰痛、だるさといった不快な症状はなぜ起こるのでしょうか。
「生理時の痛みは、子宮を収縮させる作用を持つ“プロスタグランジン”というホルモン物質が多く分泌されることによる影響といわれています」と、中村クリニック院長・理事長、中村理英子先生。
生理痛には個人差があり、軽い人もいれば重い人もいますが……。
「その理由として、子宮が人に比べて狭かったり、子宮の前屈や後屈により経血が出にくいケースが考えられます。ですが、一番の原因は不規則な生活によるホルモンバランスの乱れ。生理痛が重い人は、寝不足が続いていないか、昼夜逆転した生活を送っていないか、ストレス過多になっていないか、食事は偏っていないかなど、まずは自分の生活を見直すことが必要です」
また出産を機に、生理痛が緩和されることもあります。
「出産で産道が開くと、経血の流れがよくなりますし、一般的に妊娠~出産後は1~2年間ほど生理が止まるので、その間、生理時に剥がれ落ちる子宮内膜がきれいになります。いわば出産が自然の治療になるのです」
生理痛治療のため低用量ピルの服用も
我慢できないほど生理時の痛みが激しい、経血量が多いなど異常が続く場合は、子宮の病気を疑いましょう。
「現代女性に多いのが、子宮内膜症や子宮腺筋症です。主な症状として、生理時の痛みや、経血量の多さがありますが、全く痛みが現れないケースもあります。そもそも自分の生理に異常があることに気づいていない人も多く、 自己診断は困難。そのため、年に1度は婦人科検診を受けることをおすすめします」
不規則な生活習慣などが原因で、寝込んでしまったり、家事や仕事に支障を来すほど生理痛がひどい場合は?
「病院では症状に応じて、鎮痛薬や漢方薬を用いた治療を行ないます。また、生理時に強い痛みが続く場合は、低用量ピルを用いるのも手。ホルモン状態が安定するので、生理痛が緩和されます。妊娠を望んでいる場合、ピルの服 用をためらう人も多いと思いますが、ピルには子宮内膜の自然剥離を促し、子宮内を掃除するような効果もあるため、服用をやめたあとにうまく妊娠につながるというケースもあります。医師と相談しながら、ライフサイクルに 合わせて上手に活用しましょう」
生理は体の状態を示すバロメーター。自分の生理の状態をチェックして、健康的な体づくりに役立てましょう。
生理痛を緩和するポイント
血行不良による体の冷えも、生理痛を引き起こす大きな原因の一つ。生理痛の緩和に効果的な、温めテクを紹介します。

【衣服の素材】
ポリエステル、レーヨンといった化学繊維の素材を使った衣服は体を冷やしやすいので避けて。シルクや綿素材がベストです。ボトムスはパンツを選びがちですが、デニムパンツは冷えやすいので要注意。腰から脚まわりをすっぽり覆うようなロングスカートなら保温効果も大。
【湯たんぽでおなかを温める】
おなかや腰の痛みは温めることで和らぎます。温めアイテムで、取り入れたいのが湯たんぽ。患部に直接当てることができ、体が内側から温まります。就寝時に使用すれば、安眠効果も大。

【軽いウォーキングで血行促進】
生理中は体を休めがちですが、軽く動かすと、経血が流れやすくなり、体もスッキリします。下半身の血流を促す軽いウォーキングや、脚、腰まわりをほぐすストレッチがおすすめ。
【東京ウォーカー/記事提供=レタスクラブ】
Information
中村クリニック院長・理事長。東邦大学医学部卒業後、同大学産婦人科学教室に入局。91年に中村クリニックを開設。産婦人科などの診療に当たる。
イラスト/カモ 編集協力/彦田恵理子
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