逃げは悪じゃない!何かを生み出す創造的行為 ゆるっと哲学(4)

#趣味 

ドゥールズ(とガタリ)

「逃走」はリスキーだがクリエイティブな行為

どこかに逃げてしまいたいような状況は誰にでも訪れます。「逃走」という言葉にはいつもネガティヴなイメージが付きまといがちです。ですが、本当に「逃走」とは悪いことなのでしょうか?

フランスの哲学者ジル・ドゥルーズと精神分析家フェリックス・ガタリは、逃走」することを、地図に線を描くというイメージで、「逃走線」と呼んでいます。
ドゥルーズとガタリによると、「地図は現実そのもの」だそうです。

地図は、平面に線を書くものですが、線を書き込むごとに地図はどんどん変わっていきます。同様に、現実の認識や現実との関わり方は、何か新しいことが起きる(線が書き込まれる)度に、どんどん変わっていきます。ドゥルーズとガタリは、こう言います。

地図は開かれたものであり、そのあらゆる次元において接続可能なもの、分解可能、裏返し可能なものであり、たえず変更を受け入れることが可能なものである。

『千のプラトー』



つまり、地図は線が書き込まれる都度、「アップデート」されていくものなのです。

そして、この「地図」は「リゾーム」の形をしていると言います。
「リゾーム」とは、「根茎」とも呼ばれ、始まりも終わりも中心もなく、中間だけしかないもののことです。形としては、網状に線が展開しており、その線も絶えず変化し、繋がっていたり切れたりするようなものです。少し抽象的ですが、ちょうどインターネットのような網目をイメージしていただければ分かりやすいでしょう。

まとめると、私たちの現実は、「地図」であり、「リゾーム」でもあるのです。

逃走は新しい武器を獲得すること

さて、この「地図」や「リゾーム」の中で、「逃走線」を引くとはどのようなことなのでしょうか?

「逃走(フランス語でfuite)」という言葉には、「漏洩(ろうえい)」など「漏れ出す」という意味もあります。つまり、「逃走」は、決められたルートや既存の枠組みから逃れ出て、新たなものを生み出すというイメージなのです。
よって、「逃走線」を引くということは、現実逃避などではなく、ある意味、積極的な創造的行動なのです。ドゥルーズはこう言います。

逃走は行動を諦めることではない。逃走ほど行動的なものはない。想像の反対だ。

『ドゥルーズの思想』


このように、ドゥルーズとガタリは、「逃走」を、「地図」や「リゾーム」という現実の中で、「既存の枠組みから逃れ、新たなものを創造する営み」、そして、新たなものに出会い、「絶えず別のものになる(生成変化)営み」、として捉えたのです。
もちろん、この「逃走線」はあらゆるものから逸脱するため、自らを滅ぼす危険性も伴います。その意味で、破壊的かつリスクのあるものです。

しかし、その先でしか、私たちがまだ見ぬ新しい世界は生まれません。
もし、いまの状況から抜け出したいと思ったら、「逃走」を意識しましょう。それこそ、「線」として、「複数の逃げ道を絶えず作り上げていくこと」が大切。

ドゥルーズは「逃走」について、次のように一言でまとめています。

逃れるとは、現実を生み、人生を創り、武器を発見することだ。

『ドゥルーズの思想』


ジル・ドゥールズ (Gilles Deleuze) 1925ー1995

フランスの哲学者。20世紀のフランス現代哲学を代表する哲学者の一人である。フェリックス・ガタリとの共著で、戦争機械、リゾーム、器官なき身体などの概念を創造していった。

フェリックス・ガタリ(Félix Guattari) 1930ー1992

フランスの哲学者、精神分析家。病院に分析家として勤務する一方で、政治運動、精神医学改革運動などにも積極的に関わった。

著=ただっち、監修=小川仁志/「不安を力に変える ゆるっと哲学」(ぱる出版)


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