人生の意味に正解なし!もっと自由に生きて ゆるっと哲学(6)

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カミュ

「人生は無意味」それでも希望は生まれる

「自分の人生には、意味があるのだろうか?」

この悩みは、答えがなく、とても深刻なものです。
しかも、この悩みは、一度取り憑かれるとずっと意識してしまうもの。
『ペスト』『異邦人』などの名作小説を生み出した、フランスの作家・哲学者、アルベルト・カミュは、このような悩みを「不条理」として考えました。
カミュは「不条理」を次のように定義します。

不条理という言葉が当てはまるのは、この世界が理性では割り切れず、しかも人間の奥底には明晰を求める死物狂いの願望が激しく鳴りひびいていて、この両者がともに相対峙したままである状態についてなのだ。

『シーシュポスの神話』


私たちの心には、ものごとを「なんとか説明したい」「コントロールしたい」という願望があります。
しかし、私たちの生きる世界には、「どうしても意味がわからないこと」「コントロールできないこと」がたくさんあります。たとえば、自然災害、大規模な感染症の拡大、偶然起きた事故、自分が生まれた意味、などがそれに当たるでしょう。
このように、何とかして「説明づけたい、コントロールしたい願望」と、どうしても「説明やコントロールができない現実」が対立することを、カミュは「不条理」と呼んだのです。

不条理を生きる自由さ

「不条理」を意識すると、人は自分の人生の意味を見つけられずに苦しみます。それどころか、ありとあらゆることが、「無意味」に感じられるようになります。
この「不条理」を解決するために、人は「自殺」しようとしたり、神や宗教に救いを求めたりします。
しかし、自分の命を絶つことは、何の解決にもなりません。神や宗教などに救いを求めることも、人間の考える力を放棄することに過ぎません(哲学的自殺)。

では、カミュはどうすべきと考えたのでしょうか?
それは、「不条理を生きる」ことです。確かに、人が生きる世界には、どうしても割り切れない理不尽なことや、意味がわからないようなことがあります。
しかし、このような「不条理」、つまり、無意味さに立ち向かう(反抗する)ことで、私たちは自分のことを絶えず意識するようになり、「自分なりの人生」を歩んでいこうと思えるのです。
また、「不条理」は確かに、人生の意味を含めて、全てを無意味にしてしまいます。
しかし逆に考えると、これはチャンスでもあります。なぜなら、自分を縛りつける一切のものも、無意味になるからです。いわば、我々は白紙に戻った世界で、自由に自分なりの意味を見出すことができるのです。

カミュは言います。

以前は、人生を生きるためには人生に意義がなければならぬのか、それを知ることが問題だった。ところがここでは反対に、人生は意義がなければないだけ、それだけいっそうよく生きられるだろうと思うのである。


確かに「不条理」は、人を不安にさせます。しかし、自分の人生の意味に正解など、そもそも存在しないのです。ゆるっとでも、不安を力に変えて、自分なりに考え続ける。その中で、この白紙の世界をほんの少しでも彩っていく。

それができれば、きっと素敵な人生だと言えるのではないでしょうか。

アルベール・カミュ(Albert Camus)1913ー1960

フランスの小説家、劇作家、哲学者。第二次世界大戦中に『異邦人』『シーシュポスの神話』などで注目され、戦後に発表した『ペスト』がベストセラーとなった。

著=ただっち、監修=小川仁志/「不安を力に変える ゆるっと哲学」(ぱる出版)


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Information

書籍情報

不安を力に変える ゆるっと哲学

不安を力に変える ゆるっと哲学

作者:ただっち (著), 小川仁志 (監修)

発売日:2020/07/20



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