人の話を聞き流す中一息子。何度言っても響かず反省の色も見えません(前編)【小川大介先生の子育てよろず相談室】

#育児・子育て 

Amazonでも好評価の書籍「頭のいい子の親がやっている『見守る』子育て」の著者、小川大介先生が、悩める親たちにアドバイス。「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」など、子育てに関するありとあらゆる悩みにお答えします。連載第49回目は、「中一の長男が人の話を聞き流す」というお悩み。共感する人も多そうなこのお悩み、実は深い話でした。前後編2回に分けてお送りします。

人の話を聞き流す中一息子。何度言っても響かず反省の色も見えません(前編)【小川大介先生の子育てよろず相談室】

【お悩み】


中1の長男は、人の話を聞き流すクセがあり、何を何度言っても響きません。先日も塾のお金を渡すようにお願いしていたのですが、「わかったー」と言いつつ渡していませんでした。学校でも忘れ物が多く、担任からも指摘を受けています。

また、ゲームや読書には人一倍のめり込むタイプで、時間を守れないことが多々。授業が始まっても本を読み続けていて、注意されたこともあります。一度だけならまだしも、同じことを何度も繰り返すので、明らかに聞き流していると思われます。サッカー部の先生にもしょっちゅう「お前、聞いてんのか?」と叱られているようです。そして叱られている最中も“心ここにあらず”といった感じで、真剣に反省している様子は見受けられません。

小さい頃から「片づけなさい」だの「早くしなさい」だの、私が口うるさく言い過ぎてしまったのが、うるさがられて、逆に流すようになってしまった原因かもしれません。双子の弟たちがいるのですが、私も三つ子を育てているような状態で余裕がなく、つい怒ってしまうことが多かったと反省しています。私自身も直そうとは思っているのですが、本人のマイペースさにイライラして、つい口出ししてしまいます。

今からでも人の話をしっかり聞ける人間になれるでしょうか?やはり私が改めるべきでしょうか?また、今回の相談とは関係ないかもしれませんが、赤ちゃんの頃から爪噛みのクセがあります。未だに直らず、爪をずっと切っていないのも気になっています。(クローバーさん・45歳)


【小川先生の回答】


噛んだり叩いたりは、自分の存在を確認する儀式

息子さんの“心ここにあらず”聞き流す感じというのは、本人の不安定さや不安感の表れである可能性があります。子どもというのは、何か不安なり問題なりを抱えていると、無意識にサインを発することがありますが、お母さんが気にされている爪噛みはまさにそう。爪噛みは、実は“自分は今ここにいる”という確認の儀式なのです。小さい子が他の子を噛んだりするのも同じで、噛んで食感を感じることで、“今ここにいる”という実感を得ています。不安定で落ち着かない子が、髪の毛を抜いたり、自分のことを叩いたりするのも同じこと。全て自分の居場所を確認する行為なのです。

息子さんも自分の居場所だったり、家族を含め周囲の人とのしっかりとした関係を築けていないことに対する不安感を抱いているのではないでしょうか?もちろん、“この家が自分の帰る場所”とか、“この人たちが自分の家族”ということは頭では理解しているとは思います。でも、“自分はここにいて安全”、“自分はここのメンバーの一員”という実感が、感覚として伴っておらず、居場所のないふわふわした状態に陥っているような気がします。

自分に自信がないため、相手と向き合うエネルギーもない

ゲームや読書などにハマるのも、おそらくその世界にハマることで一体感が得られ、居心地がいいからでしょう。時間の流れも関係なくのめりこんでしまうのもそのためです。裏を返せば、現実世界では居心地が悪いというか、自分自身の存在がすごくあやふやなんだと思います。あやふやで自分に自信がないから、叱られたときも言葉を正面から受け止めて聞くほどのエネルギーが持てず、流してしまっているのだと思います。

また、赤ちゃんの頃から爪噛みをしているということは、息子さんはそれだけ敏感ということです。よく周りのことが見えていて感じ取れる子なだけに、時々その敏感なアンテナをわざと鈍らせているのかもしれません。自分を守るために無意識にスイッチを切ることによって、バランスを整えてきた可能性があります。それがふとした瞬間に、無気力そうだったり、反省していないように見えてしまうのでしょう。

肩を並べて共感・共有する機会を増やす

そういった不安感を抱えている子なので、まずはありのままを認めてあげることが第一です。本人が興味を持っているものがあれば、「今そういうことに興味あるのね。確かに面白そう」と認めてあげたり、本人が考えていることを「なるほど。お母さんもそう思う」と賛同したり、また一緒にごはんを食べて「これ美味しいよね」と気持ちを共有したり、そういう会話を意識的に増やしていきましょう。ちょっとした共感が生活の中のあちこちに植え込まれていくことで、自分の居場所というものができていきます。

また、大事なことを話すときは、肩や肘をちょっと触れてあげながら話すのもポイントです。目線も上から見下ろすのではなく、同じ高さか少し下から話しかけるようにすると、本人も話を聞きやすくなります。

そうして一通り聞いてくれた後には、話した内容を本人に確認するようにしましょう。そのときも「わかってるか心配だからチェックするぞ」という空気ではなく、「一応確認なんだけど、どうするんだっけ?」とトーンに気をつけながら聞きましょう。それで本人が「こうするんでしょ?」と話してくれたら、「そうそう、ちゃんと聞いてくれてありがとう」まで言って完了です。

そうした一回一回の丁寧な会話で、相手の心の動きを受け止める時間を増やしていくと、本人の落ち着きというか、定まる感じが増していくと思います。落ち着いて受け入れられたという安心感が手に入れば、本人も自信がつき俄然がんばり始める気がしますよ。

◇◇◇
「小川先生の回答」後半ではクローバーさんご夫婦の子どもへの向き合い方のほか、親が「ひとり時間」をどう過ごすか、についてのアドバイスも!後編はこちらから。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。著書多数。

文=酒詰明子

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■小川先生が主任相談員を務めるサイト:中学受験情報局『かしこい塾の使い方』

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