宮城県在住のイラストレーター、アベナオミさんに聞く「被災してわかった、リアルに必要なもの」【いまどき防災術・前編】
被災して分かったリアルに必要なもの
「わざわざ買うのは“ 携帯トイレ”だけ」

2011年に自宅のある宮城県で東日本大震災を経験したアベさん。
震災時にいちばんつらかったことを聞くと、すぐに挙がったことばが〝トイレ〞でした。
「わが家は自宅が無事だったので、避難所には行かず家にとどまることにしたんです。
食べ物や水は救援物資が届き、数日で不足が解消。
電気は3日ほどで復旧しましたが、水道が復旧したのは震災から1カ月後でした。
その期間、何がつらかったといえばトイレです。
飲料水以外は充分にないため、トイレはまとめて1日に1度流すのが限界。
私は生理中でしたし、流れないトイレは家族でも相当なストレスになるんです。」
そのため震災後、携帯トイレは家族の人数×10日分は最低でも備蓄するようになったそう。
また暗さは避難時や被災直後の生活にとってマイナスになることも知り、懐中電灯も部屋ごとに設置。
そのほかいろいろな防災グッズを購入しましたが、目的が防災のみだとものが増え続けるだけになるため、ふだんでも使えるものを意識するように。
日々の生活を変えずに防災意識を高める努力をしています。

災害発生から1日目...
「当時、子どもは1歳7カ月。
地震発生時は家族もバラバラ、水道や電気などライフラインはすべて止まりました。
避難所へ行くことも考えましたが、プライバシー確保を重視し、無事だった自宅にとどまることに」
\こんなものが必要に!/
・懐中電灯(人数分)
・食料
・ラジオ、電池
すぐ電気が止まったため、テレビやスマホでの情報収集も難しく、使えたのはラジオだけ。
スーパーも行列で、買えたのはお握り2個。
いつでも逃げられるよう、ふだん着で寝たそうです。
\これがあると&あって便利だった!/

・ランタン
懐中電灯がなかったアベさんの家では、少し前にたまたま買ったランタンが夜に活躍。

・お尻拭き
津波警報が解除され、泥だらけになって帰宅した夫。
足の泥をお尻拭きでキレイにしました。
災害発生から2日目...
「情報収集ができないため、当初は東北全体で被害が起きていると分からなかったんです。
備蓄もほとんどなかったので、水や食料が不足し、トイレも1日の最後に1度流すだけ。
ストレスがたまり始めました」
\こんなものが必要に!/
・携帯トイレ
・モバイルバッテリー
・飲料水、水
飲む水もトイレを流す水も不足。
子どもを抱えて重い水を取りに行くのはたいへんだったそう。
この日から役所で充電サービスが始まったものの、2~3時間並び充電できるのはわずか5分!
\これがあると&あって便利だった!/

・パンティーライナー
下着も頻繁に洗えないため、パンティーライナーがあると、汚れを少し軽減できるそう。

・ウォーターサーバー
ウォータータンクが備蓄にもなるため、停電時でも使えるタイプをアベさんは震災後に契約。
災害発生から1週間後...
「停電は3日目に復旧しましたが、水道の復旧はまだまだ。
ニオイが気になってもお風呂はもちろん、洗濯や洗い物もできません。
救援物資は届き始め、食べ物や飲料水は1週目以降入手できるように」
\こんなものが必要に!/
・現金
・ナプキン
銀行が開かないため、家に現金がないと何も買えず、近くの農家などと物々交換をする家庭も多かったそう。
ナプキンは買い置きがないと、補充が困難。
子どものオムツで代用しました。
\これがあると&あって便利だった!/

・ドライシャンプー
完全にすっきりはしませんが、気休めに使用。乾いた髪につけ、お湯で流しました。

・ウェットティッシュ
体はぬらしたタオルやウェットティッシュで。
体は拭くと髪よりはすっきりしたそうです。
災害発生から3週間後...
「食料や飲料水が安定してきても、トイレやお風呂など、衛生面の不便さは続きました。
被害の少なかった仙台市でも、都市ガス復旧まで1カ月以上。
交通網もまひしたままで、私が仕事復帰できたのも2カ月後でした」
\こんなものが必要に!/
・カセットコンロ
・バケツ
体を拭く、髪を洗うために必要なお湯。
鍋で温めたお湯をバケツに移し、タライ代わりに。
しかし毎日はできず、髪もベタつきが緩和されるだけ。
ニオイは取れず、すっきりはしませんでした。
\これがあると&あって便利だった!/

・帽子、だて眼鏡、マスク
入浴できない、化粧ができないため、外出時は顔を隠している人が周りにも多かったそう。
これがあると&あって便利だった!

チーズフォンデュセット
1人暮らしだと、カセットコンロの収納に困る人もいるはず。
1人用のチーズフォンデュセットでも、充分に食べ物を温めたりできます。

ラバーバスケット
バスケットはタライ代わりにお湯をためたり、水をくんだりと大活躍。
ふだんは来客用のスリッパ入れに使えば、じゃまにならないので気にならない!

アベさんが被災後に切実に感じたこと
1▷日頃の片づけがいちばん大事
震災時はものが落ちてくるし、小型家電は簡単に吹っ飛びます。
また避難時も、救援物資をもらうときも、初動の速さが大事。
そのためには部屋をきちんと片づけ、貴重品の場所を把握しておくこと。
日頃からものを減らし、家の中を整頓して。
2▷家族でもトイレは共有しにくい
流れないトイレに対するストレスは、本当に壮絶!
特に生理中だと経血を家族に見られるのも嫌だったそうです。
避難所でもトイレには行列ができるため、たとえ腹痛などが起きてもゆっくりはできず、携帯トイレの備蓄がマストに。
3▷ふだん使いしているものが使いやすい
アベさん自身、震災後に防災グッズをいくつか購入したものの、収納場所は取るし、高いので家計の負担に。
結果、ウォーターサーバーやバケツ、カセットコンロなど、緊急時も使えるけれど、日常使いできるものを買うようになりました。
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