料理は作り手主導で楽しんで! 毎日の料理をラクにする考え方 〜料理家・今井亮先生〜

#食   
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家事に育児にお仕事に…とにかく忙しい日々の中、食事作りを負担に感じている主婦の皆さん! 料理のプロに、へとへとな心を軽くするヒントを教えてもらいませんか? 第4回目に登場していただくのは、料理家の今井亮先生。効率よく料理するコツから愛用の調理器具まで、料理をラクして楽しむ方法を聞きました。

自分で釣って自分で捌く!料理が生活の一部だった子ども時代

料理家の今井亮さん

「実家が京都北部の日本海に面したところにあって、子どもの頃から海の幸、山の幸をよく採りに行っていました。釣った魚は自分で捌く必要があったので、当時から料理をすることは特別ではなく生活の一部だったんです。豊富な食材に恵まれた環境で育ったことから料理の道に進んだのはごく自然な流れだったと思います。

料理家になった今も食の研究は欠かさず行っています。最近ハマっているのは、スパイスやハーブをふんだんに使用するアジアの少数民族系料理。パクチーやミントを牛肉とあわせて炒めたり、トマトやパイナップルを発酵させた調味料を使ってみたり。最近は発酵食品専門の料理店も増えてきているので、料理家仲間で食べに行って勉強することもありますね」

文字数の限られたレシピに凝縮したプロの技を詰め込む!

今井亮さんのレシピ「あさりとアスパラガスのにんにく蒸し」

「レタスクラブのレシピを考案する際には、『手間を抜いて手は抜かず、読みやすいレシピ』を意識しています。そのため使用する食材や調味料の数はできるだけ少なくしたいところ。例えば『大さじ1』、『大さじ1/2』といったバラバラのさじ加減をあまり多く混在させず、ぱっと見でわかりやすいようにしています。とはいえもちろん味は落とさないようにしたいですよね。

調味料を少なくしても美味しくできるのは調理方法にコツがあります。たとえば食材を加熱しすぎないのもコツのひとつ。文字数の限られたレシピですが、『ここだけ守ってもらえれば美味しくなる』というポイントは必ず押さえるようにしています。加熱時間についても絶妙なタイミングを示しているので、レシピ通りに作ってみたら知らぬ間に美味しくできちゃった!というのが理想ですね。おうちの料理ってワンパターンになりがちなので、プロの技を上手く取り入れて料理を楽しんでもらいたいです」

毎日のことだから時短したい!今井先生が実践している3つの工夫

今井亮さんのレシピ「長ねぎの蒸し焼き-しょうがだれ」

「普段から手早く料理が作れるようにいろいろな工夫をしています。そのひとつが合わせ調味料の作り置きです。基本となる合わせ調味料を瓶に入れて冷蔵庫で保存しておくと、毎回計量する手間も省けて時短にもなりますよ。たとえばベースとなる甘辛い醤油(しょう油2:みりん2:酒1:砂糖:1の割合)を作っておいて、そこに香りや刺激を足すと、簡単にアレンジが楽しめます。料理のたびに一から全く違う味を作るのって大変ですし、食材が変われば味も変わるので、ベースがあれば楽して味のバリエーションが楽しめると思います。

また、そのまま使えるカット冷凍野菜を作っておくと便利です。キャベツなどの大きな野菜も一度に切ってしまって、その日使わない分は形状別で冷凍しておきます。使う分だけ切って残りを冷蔵庫で保存するとすぐに傷んでしまうので、冷凍して水分をキープしたほうがおいしさも保てます。ひき肉もお得な時に多めに買って、平らにしてラップに包み折れ線をつけておけば、パキッと割って使えます。冷凍ワザは時短の基本なのでじゃんじゃん使っていきましょう。

複数品作るときに調理方法を1つにしないのも時短のポイントです。フライパンで炒め物を、コンロが2口あれば隣で汁物を、同時にレンジで蒸し野菜を、といったふうにうまく組み合わせて効率よく作れるといいですね」

道具選びも料理を楽しくする大事なポイント。今井先生の愛用している調理器具

無印良品のシリコーン調理スプーン
「炒める、混ぜる、盛り付けるがこれ1本。シリコーン素材で耐熱性があり、芯がしっかりしていて縁だけ柔らかいので鍋から残さずすくえるところが気に入っています」

揚げ物用フライガード
「目の細かい網が油跳ねを防いでくれます。油の匂いが無駄に広がらず、うまく換気扇に入っていきます。煮込み料理にも使えますよ」

せいろ
「野菜や肉を蒸すのに使っています。レンジで蒸すと必要以上に水分が飛んでしまったり、茹でると水溶性の栄養素や香りが流れてしまうので、一番いいのはせいろで蒸すことなんです。ちょっと時間がある時は、何かを温め直すときにせいろを使うことも。レンジよりは手間がかかりますが、せいろごと食卓に出せば家族のテンションも上がります」

まずは1品減らす勇気を。作り手主導で料理を楽しんで

今井亮さんのレシピ「豚肉とレタスのうまみそ炒め」

「食の専門家である料理家でも、料理がしたくなくて出来合いの品だけで済ます日もあります。おうちのことも今はプロに気軽にお願いできる時代になりましたし、負担を軽減できる方法があるなら思う存分使って心のゆとりを一番に考えてほしいです。

まずは品数を気にしないこと。1品減らす勇気を持ちましょう。全部手作りである必要なんてないし、お惣菜などを利用するのもひとつの手段です。たとえば意外と手間のかかるサラダを作るのをやめて、野菜とおかずを合体させてもいいですよね。そうすれば一品減ってもおかずのボリュームが出るし洗い物も少なくなります。日々の料理はそんなもんでいいんです。

そしてたまにはちょっと良い食材や調味料で気分を上げてみるのもおすすめです。普段は買わないようなワンランク上のお醤油とか、聞いたこともないような外国の調味料とか。どんな味かわからなくてもジャケ買いでいいと思うんですよ(笑)。気分が上がることが重要ですから。料理において基本は『作り手主導』。作っている人がいかに楽しくできるかがなによりも大事なことだと思います」

取材・文=宇都宮薫

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Information

今井亮さん
今井亮さん
老舗中華料理店で修行を積み、料理家に。雑誌やテレビ番組のフードコーティネイト、レシピ提案、監修などで多岐にわたり活躍中。
Instagram:@ryo.imai1931

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