「苦手を克服した」美談にはしたくない。生ピーマンに挑戦した子どもと笑い合った時間/大人になってもできないことだらけです(5)

ピーマンは子どもの嫌いな食べ物の代表格だ。子どもの舌は苦味を感じやすいから無理に食べさせることはないと聞いたことがある。
好き嫌いが多くて不安だという子育て中の悩みはよく聞くけれど、ピーマンに限らず、嫌いなものを無理に食べさせることはない。
好き嫌いはよくない、という価値観は根強いけれど、無理に食べさせようとすることで、逆に食べること自体が嫌いになっては元も子もない。まず食べることを楽しむことができたら、いつか食べられるようになるかもしれない。
もちろん食べられるようにならないかもしれないけれど、ピーマンを食べられなくても生きてはいける。
嫌いなものを克服できた。それはきっと本人にとって喜びだろうし、大人にとってもなにか成長の瞬間に立ち会ったようで嬉しく感じる。だけどなぜだか、この生ピーマンを食べた話を「苦手を克服した話」にすると、違和感がある。
なんでだろうと考えて出た答えは単純明快で、僕が伝えたいと思ったのはその子が苦手を克服したことではなくて、まずそうな顔をしたり美味しそうな顔をしたりして笑い合ったその時間なのだ。
ただ楽しく食事をした。いろんな調味料を出してきて、半分遊びみたいだから行儀が悪いかもしれないけれど、とにかく楽しかった。それを伝えたいのに「苦手を克服した」というレンズ越しに見ると、途端にその面白さが見えなくなる。
できなかったことができるようになった。それはとてもいいことのように感じる。
もちろん、いいことなんだろうけれど、そればかりに目がいってしまって大切なものを見落としている。そんなことって意外と多くあるかもしれない。
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