「気持ちに寄り添う」とは?泣き止まない子どもを見かけた友人の言葉に学ぶ/大人になってもできないことだらけです(6)

「その子のために」と思うこと


このあいだ、掌の中(たなごころのうち)という言葉を知った。

文字通り「手のひらの中」のことなんだけど、転じて「手のひらの中にあるように、思いのままになること」のたとえとして使われるらしい。

そういえば相手を思い通りに動かそうとすることを「手のひらの上で踊らせる」と表現するな、とか、子どもの頃に読んだ『西遊記』という本にそんなエピソードがあったような気がするな、とか曖昧ながら思い出す。

相手を思い通りに動かしたいという欲求は人類の普遍的なテーマなのかもしれないな、と大層なことを考えながら、「けれど」と思う自分もいる。

そんな傲慢な思いばかりではないよなあ、と。純粋に、本当に心の底から相手のことが大切だからこそ、という思いは間違いなくあるはずなんだ。その思いを表現する方法を間違うことがあっても。

本心として「その子のために」と思ったことが自分の傲慢さなのかもと考えると、自分がその子を思う気持ちさえも否定されたように感じてしまう。全部が間違っている気がして前に進めなくなってしまう。

そんなことを思いながら「掌の中」という言葉について調べていると「思いのままになることのたとえ」だけでなく「大切に育て、取り扱うことのたとえ」としても使われることがあるらしいと知る。

同じ言葉なのに反対にも捉えられる意味を持っていて、その言葉が僕と同じように葛藤しているように見えた。

大切だからこそ掌の中で育ってほしい、そんな葛藤を子どもとの関わりの中では多く感じる。

「その子のために」と思えば思うほど、自分があれもこれも世話をしてあげたくなるけれど、「その子のために」と思うこと自体は悪いことではないんじゃないか。

もし「思い通りにさせたい」という"傲慢な僕"が顔を出したら、そんな僕を否定したり無理に無くしたりしようとせずに「それだけ大切に思っているんだ」って思うことにしよう。

そして「大切にする方法を間違えないようにね」って自分に言い聞かせながら、"傲慢な僕"を横に置いておいてあげるのだ。別の方法を見つけてみるから、君は側にいてもいいけれど大人しくしておいてね、って優しく諭しながら。

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