できないことへのプレッシャーが強過ぎる!周りの目を気にして積極的になれない小1息子【小川先生の子育てよろず相談室】

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できないことへのプレッシャーが強過ぎる!周りの目を気にして積極的になれない小1息子【小川先生の子育てよろず相談室】

「うちの子のこんなところが心配」「私の接し方、コレでいいの?」子育ての悩みは尽きません。でもそのお悩みも、教育のプロの目を通すと、お子さんの個性や魅力を再発見するきっかけになるかも!?
教育家の小川大介先生が、子育てに関する悩みに対してアドバイス。回答文最後の「大丈夫!フレーズ」が、頑張っているあなたの心をスーッとラクにしてくれますよ。連載第121 回のお悩みはこちら。

【お悩み】

小3と小1の息子がいます。相談は次男の方についてで、彼の積極的でないところが気になっています。先日も、小学生になったので何か習い事をさせたいと思い、上の子が通っているサッカーやバスケを一緒にやらないかと勧めたのですが「やりたくない」と言われてしまいました。昨年は、すごく楽しそうに体験をしていたので、理由を尋ねたところ、「お兄ちゃんの友達のA君とか、僕と同級生のB君がいるから」とのこと。周りを気にするあまり、入りたいけど入らない、いろんなことにチャレンジできていないような感じです。

長男の方は、そんな次男とは真逆でとにかく活発。好奇心旺盛で、「あれやりたい、これやりたい」と、家でもずっと喋っていて、私はいつも長男に振り回されています。そんな兄がいるためか、次男は空気を読む聞き分けのいい子ではあるのですが、ちょっと周囲のことを気にする言動が多いように思われます。また、「できない」ことへのプレッシャーも強く、公文などでも「宿題が終わらないと先生に怒られるから嫌だ。やめたい」と言って最近はお休みしています。

兄弟仲は普通ですが、ケンカはしょっちゅう。次男は、仲良しの子が近所に住んでいないため、放課後は兄が友達と公園で遊ぶのによくついて行くのですが、大体いつも怒られて帰ってきます。

次男は、ダンスや器械体操には興味があるようなのですが、親としては同じスポーツをやってくれたほうが絶対ラクだし効率よく思えてしまいます。でも、上の子とずっと一緒にさせていると、主体性が育たない気もして、やはり別のスポーツをさせたほうがいいのかもとも悩んでいます。(Hさん・40歳)

【小川先生の回答】

「できた経験」がなければ自信も持てない


周りを気にしてしまうのは、自信のなさの表れです。言い換えれば、「うまくやりたい」「できることをもっていたい」と思うからこそ、「やれない」「できてない」ことが気になってしまうのです。弟君の場合、お兄ちゃんのようにやりたいと思っても、この年次の2歳差というのは、知識の量もできることも大分違うもの。当然ながら同じようには遊べないし、プレイもできません。「友達がいるから嫌だ」というのも、お兄ちゃんと同じようにできていない自分を見られたくないという気持ちが働いているのでしょう。

加えて、お兄ちゃんは自分のやりたいことに精一杯な子のため、弟ができるように手助けするということはなく、弟にも同じレベルのことをいきなり求めてしまっています。弟君は、お兄ちゃんと遊んでいる結果、いつだって自分が一番できないポジションを何年も経験してきたのです。「できた経験」を持たせてもらえなければ、当然自信もつきません。自信がないから、何かをやることに対して気後れしてしまうのです。

兄とは引き離した弟くんゾーンを作る


そうであれば、お兄ちゃんとは別のところで「自分にはこれがある」という自信を持たせてあげたほうがいいでしょう。弟君は大分お兄ちゃんを意識しているように感じるので、そこは引き離して、弟君ゾーンを作ってあげるのが一番です。おすすめの方法としては、お兄ちゃんとパパ、弟君とママというように、チーム制で行動すること。それぞれのチームで別の習い事に行くことで、兄弟を比べることもなくなります。また、一家団欒の際に、「こんなことができるようになった」などと報告し合うと、兄弟としてもそれぞれのことを自慢できるし、家族や夫婦の会話ネタも増えて面白いですよ。

仕事などの都合でチーム制で行動するのが難しいようであれば、せめて弟君の話を意識的にしっかり聞く時間を作るようにしましょう。ダンスや器械体操に興味を持ったきっかけなども聞いてあげるといいですね。休日などは、パパと一緒にお風呂に入りながらいろいろ話を聞いてもらうなど、夫婦で協力して、お兄ちゃんとは切り離した弟君との時間を作ってあげてください。そういう中で、何をしている時が楽しいとか、どんなことに不安を感じているかなども教えてくれると思います。

「できないのは良くないこと」という刷り込みを剥がす


「できない」ことへのプレッシャーが強いというのも、その根っこにあるのはやはり不安感や自信のなさです。昔から聞き分けがいいとのことですが、それは聞いたことをちゃんとできるようにがんばる子だということ。保育園の頃も「先生の話をよく聞くんだよ」と言われたら、よく聞いて実行していたのだと思います。小さい頃はそれでいいのですが、小学校の環境に入ると、「できるできない」や「〇×」の話が混じってくるため、「うまくやれなかったらそれは良くないことだ」というイメージが本人の中に刷り込まれてしまったのでしょう。なので「間違えてもいいんだよ」と理屈だけで教えても、いきなり納得はできず、本人はすごく苦しいと思います。

そういう意味でも、習い事はお兄ちゃんとは比べられない、初めてスタートするもののほうがベスト。「すぐにできなくてもいい」と本人も納得しやすいと思います。新しいことをやる時は、うまくいかないことが何回かあったあと初めてできるようになる、という体験をさせながら、「公文も間違うから次に正解するんだよね」という話をかぶせていくのがいいと思います。そうやって「できないから嫌だ」「間違うから嫌だ」というのを剥がしていってあげる関わりを続けていくと、不安感も減り、気後れせずに行動できるようになると思います。

小川先生からの「大丈夫!」フレーズ
『根は言われたことをちゃんとやろうとするがんばり屋さん』
お兄ちゃんと同じようにやろうとがんばってもできず、今は自信を失くしているだけ。お兄ちゃんとは違うことで「できた経験」を積ませてあげれば、自信も取り戻せるでしょう。また、別行動することは、自分のことを自分でがんばるという過ごし方、振る舞い方も学べるため、主体性も育っていきますよ。

回答者Profile

小川大介先生
小川大介

教育家。中学受験情報局『かしこい塾の使い方』主任相談員。

京都大学法学部卒業後、コーチング主体の中学受験専門プロ個別塾を創設。子どもそれぞれの持ち味を瞬時に見抜き、本人の強みを生かして短期間の成績向上を実現する独自ノウハウを確立する。個別面談の実施数は6000回を数え、受験学習はもとより、幼児低学年からの能力育成や親子関係の築き方指導に定評がある。各メディアでも活躍。最新刊は『子どもが笑顔で動き出す 本当に伝わる言葉がけ』(すばる舎)。

小川大介の見守る子育て研究所YouTubeチャンネル公式LINEアカウントでも情報発信中。

文=酒詰明子

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