【最終回ネタバレ】「離婚してもいいですか? 翔子の場合」夫が大嫌いな主婦が選んだのは離婚?再生?

#くらし   

見知らぬアパート前に、夫の車が⁉

ある日、翔子と子どもたちは弟のナオのアパートをたずねることにしました。道すがら、バスの窓から景色を眺めていた翔子の目に、飛び込んできたものは…。

仕事って言ってたのにどうしてアパートに?

もしかして浮気現場?

許さない

なんと、外出していた夫の車が見知らぬアパートの駐車されていたのです。弟のナオに子どもたちを預け、夫の車があったアパートまで走る翔子。到着した翔子は、知らない男の子が夫を呼ぶ声に導かれるままに、ドアのチャイムを鳴らしたのでした。


ドアの向こうにいたのは、室井さんの息子。その先にいたのは、まぎれなく自分の夫・淳一でした。しかも室井さんの家になじんだ様子で、エプロンを付けて食器を洗っているではありませんか。その姿を見た翔子は「あんたなんかもう離婚だよ!」と叫んでアパートを飛び出します。


※この後から最終回のネタバレがあります。ご注意ください※


【最終回ネタバレ】翔子が選んだのは離婚?それとも

離婚してやる!

不満をためながらも夫に頼らず生きられる力をつけてきた翔子。
読者の誰もが離婚するだろうと思いながら読み進めてきたところで、なんと最終的に彼女が選んだ道は「保留」でした。つまり、さまざまな理由から、夫との生活を「自分の意思」で続けることになったのです。今までは受け身の状態で人の顔色をうかがいながら生きてきた翔子でしたが、「今の時点」では夫と暮らしていくことが最良の選択だと考えたのです。


まさかの結末!全話読んだ私の感想は…

衝撃の結末に、ネットのレビューでは賛否両論、さまざまな意見が出ていました。私としては、主人公を応援したい気持ちでいっぱいになりました。なぜなら、翔子の「私と子どもの心を守れれば、それでいい」という選択は、変わった自分を強く信じていないとできないものだと思うからです。愛情の持てない夫でも、子どものために家族として自分はやっていける、そのくらい前とは違う自分に生まれ変わったという実感があるのでしょう。

多くの方のレビューを見ても分かるとおり、この漫画は「自分が翔子の立場だったらどうするか」を考えずにはいられない作品。読み進むにつれ、友人の相談話を聞いているような気分になるのは、やはり野原広子さんという書き手の力量の凄さなのでしょう。
そして野原さんの漫画が支持される最大の理由は、登場人物やエピソードのディテールではないでしょうか。本作も"リアル"なセリフの連続で、何度も「あーこの夫ならこういうこと言いそう!」とムカつき、「翔子はそういうことしそうだよなあ…」とやるせないため息をつきました。この作品について作者の野原さんご自身はどう感じているのでしょうか?

著者の野原広子さんインタビュー

──レタスクラブという主婦向けの雑誌で「離婚」をテーマに書くことになったきっかけを教えてください。

野原広子さん:当時、私自身離婚について考えることが多く、タイミングよく編集さんから『離婚』をテーマに描いてみないかとご提案をいただきました。また同じ頃、ある集まりに参加していた女性のほぼ全員が離婚を考えながらも夫婦として生活を続けていると知りました。でも誰も離婚を実行していなくて、それはなぜだろうと思ったのがきっかけです。

──野原さんご自身は翔子のような主人公をどう思いますか?

野原広子さん:翔子のようなタイプの人間は自分に嫌なことをする相手に対して『怒る』とか『攻撃する』ではなくて『にこにこする』ということで自分を守っているのだと思うんですね。『にこにこする』ことで戦ってきて、でもそれだけじゃ限界がきてしまってそろそろ他のアイテムもなければ戦えないことにやっと気がついたんだと思います。心の中で夫の不満を呟くことしかしなかった翔子が自分と向き合って行動に移していく姿を『がんばれ〜!』って応援していました。

──最後に、夫婦関係に悩んでいたり、離婚を考えている人たちにメッセージやアドバイスがあればお願いします。

野原広子さん:実は私も数年前に離婚しています。当たり前ですが、人生変わりました。というか、変えました。翔子の話もセミフィクションと言いながらも、自分自身の体験や感情が滲み出てしまっていると思います。もし、今離婚するか悩んでいる方にはアドバイスするとすれば
1、仕事しましょう。
2、お金貯めましょう。
3、夫(妻)と極限まで仲悪くならないで。(極限まで仲悪くなりすぎて離婚後に子どもに会えなくなってしまっている方ってけっこういるので)
この3つでしょうか。

最後に

本作「離婚してもいいですか? 翔子の場合」は、夫の絶妙にモヤモヤさせてくる発言や、翔子の絶望とそこからの再生について、夫婦関係について悩んだことのある方が共感するポイントがあらゆるところで出てくると思います。最終回のネタバレを読んで、あなたは翔子の選択にどんな感想を持たれましたか?


文=山上由利子

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