そもそも「爪もみ」とは?
「爪もみとは、爪の生え際を指でもんで刺激して、血液の流れをよくし、自律神経の乱れを整える健康法です。体調に異変を感じたときだけではなく、ふだんから爪もみを行なうことで不調を感じにくい体になります」(鳴海先生)
どうして爪をもむといいの?
「体の具合が悪い状態の多くは血液が手足から頭部に引き寄せられる『頭熱足寒』に陥っています。これを徐々に緩和するのが爪もみ。爪をもんで手足に血液を引き戻すことで『頭寒足熱』の体調が良好な状態に」(鳴海先生)

自律神経には活動モードの交感神経とリラックスさせる副交感神経があり、前者が優位だと『頭熱足寒』、後者が優位だと『頭寒足熱』になるといいます。
爪で健康状態が分かるって本当?
「爪は健康状態を表わします。健康な人の爪は光沢があり、筋やシワはなく、キレイなピンク色。これ以外の状態の爪は不調のサインです」(鳴海先生)
□白っぽい

爪の色は血行に直結するため、白っぽい爪は血流不足。冷え性、貧血の人に見られる。
□赤っぽい

栄養過多で赤血球が過剰な状態で、高血圧、心臓疾患に注意を。赤黒くなると過食、肥満も。
□黄色っぽい

肝臓やひ臓が弱っている可能性も。たばこのヤニが原因の場合もあり。
□青っぽい

白っぽい爪と同じく血流不足。そもそもの血液量が少ない、冷え性のことも。
□縦線がある

爪に縦じまのような線が入っている人は、胃腸が弱く、貧血の傾向あり。
□横線がある

ボーダー柄のような横線が入っている人は、過労や強いストレスを抱えている可能性が。
CHECK! こんな爪も要注意
反り返った爪の形は血が薄い人に多く、冷え性、貧血、不眠に注意。逆にタカのくちばしのように指先に巻き込んでいる爪の形は血が滞っており、糖尿病などの可能性が。肝臓が弱っている人は爪が割れやすい傾向も。
もっと元気に過ごしたい人におすすめのツボは「井穴」
「爪もみで刺激するのは、爪の生え際にある「井穴 (せいけつ)」というツボ。爪の横幅のいちばん広いところの両端からの延長線上に位置する爪の生え際にあります。自律神経のバランスを整えるツボで、末しょう神経や毛細血管が密集しています。臓器や器官の反応点も意識して爪もみを」(鳴海先生)
手指の井穴 (左右同じ)

◆親指:呼吸器系
風邪、鼻炎、アレルギーなど呼吸器に関係する不調や肌荒れの緩和を手助けする。
◆人さし指:腸
自律神経の影響を受けやすい腸。便秘解消を助け、心と体の緊張を緩めたり、のぼせやほてりを抑えたりする効果も期待できる。
◆中指:精神系
緊張を静めたり、抗ストレス力を高めたりするのをサポート。不安感や不眠、ストレスが影響する耳鳴りの緩和におすすめ。
◆薬指:血圧
血圧を調整することで、交感神経を刺激して代謝を高める効果が期待できる。耳の三半規管に作用してめまい改善を助ける。低血圧にも◎。
◆小指:循環器系
どうきの改善をサポート。循環器系を刺激して代謝アップが期待できる。血管の詰まりや汚れの改善にも◎。
足指の井穴 (左右同じ)

◆親指:新陳代謝
血の巡りをよくして冷えの解消を助ける。貧血など血液不足の補強や、水分の停滞を解消しむくみを緩らげる効果も期待できる。二日酔いにも◎。
◆人さし指:消化器系・食道
消化器の働きを助け、胃もたれや胸焼けなど、上腹部の消化器系不調の緩和が期待できる。逆流性食道炎やのどの痛みにも。
◆中指:消化器系・胃
消化ホルモンの分泌を活発にする効果が期待できる。血糖値の調整に。ストレス性胃炎、消化不良が気になるときにも◎。
◆薬指:胆のう
胆のうの働きを助け、脂肪分解の手助けをする。血液の巡りをサポートするため、脂肪肝、頭痛などにも。
◆小指:泌尿器系
腎臓やぼうこうの力を高める効果が期待できる。子宮、卵巣、前立腺といった生殖器系を助け、腰痛や足のだるさの軽減にも。
基本のもみ方
「ギュッと押し込みながら揺らしてつーんと響く反応があり、指を離したあと響く感じがあれば効いています。基本は10秒ずつで不調に対応した指か、もんで痛い指は20秒刺激して。寝る前に行なうと効果的です」(鳴海先生)
※しつこく押したり、力を入れ過ぎたりすると爪まわりが傷つくので注意してください。
【手の場合】

井穴に親指と人さし指を当て、痛気持ちいい強さでもみながら揺らす。親指から小指の順に10秒ずつもんで1セット×3セット左右とも行なう。
【足の場合】

足の井穴の場合も手と同じやり方でしっかりと刺激する。親指から小指の順に10秒ずつもんで1セット×3セット左右とも行なう。
「爪もみ」はいつでもどこでも簡単にできるから、忙しい日々のなかでも気軽に取り組めます。
今よりちょっぴり元気になりたい。そんな人はぜひお試しくださいね!
イラスト/のいぷらこ 編集協力/白倉綾子
文=さいとうあずみ